渡り鳥は自ら鎖に繋がれる
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ジンはセンゴクを見据え言った。センゴクは微笑む。
「よかろう、契約成立だ。“渡り鳥”クロスロード・ジン。本日付けで“次期”七武海として我々の指揮下に入ってもらう」
『……』
センゴクが無言で青キジに指示を出す。青キジはそれを見てジンから手を離した。
「戦争の時は“能力”を存分に発揮しろ」
『“リミッター”があるので使用のタイミングは僕が決めます』
「フッ…好きにしろ。“善戦”してくれたらいい」
『……。では、これを外して頂けますか?』
じゃらっと海楼石が入った手錠を前に出す。センゴクは頷き、部下に手錠を外させる。ジンは感覚を取り戻す様に手を動かした。
感覚が戻ったのを見てジンはどこかから取り出した白い手袋をはめる。そして海楼石入りの包帯を外し、どこかにしまっていた眼帯を新たに着ける。最後にポンッと手からシルクハットを出した。
「「「………」」」
周りの海兵達は目の前で起こるジンの行動に目をしばしばさせる。ジンは気にも止めず、シルクハットをかぶった。
『……さて、僕はどうしたらいいのでしょうか?』
「とりあえず、マリージョアで“七武海”と共に待機してもらう」
『いいでしょう。青キジさんがご案内して下さるのですか?』
「……え? …ああ。まぁ、そうだな。センゴクさんおれが連れて行きますよ」
センゴクの部屋を後にした青キジとジンはマリージョアへ向かう。
「……(こいつは何を考えてるんだ……?)」
『…どうかしましたか?』
青キジからの視線を受けたジンが前に目を向けたまま尋ねる。
「ん? いや。あっさり条件を飲んだから驚いてただけだ。最初にあれだけセンゴクさんにケンカ売ったのに“彼女”の話になった途端、歯切れが悪くなったが…」
『……』
「お前にとってそんなに大切なのか……?」
『……。僕は本当なのか知りたいだけなんです』
青キジの問いには答えず、ジンが言う。
「何を?」
『“彼女”が生きている、それが事実なのかを……です』
「……知ってどうする?」
『さぁ。それはお答えし兼ねます』
「………やりづらいな。アンタは」
『それはお互い様だと思いますよ、青キジさん』
ジンは笑い、青キジを見る。青キジははぁっと息をついた。
しばらく歩き、マリージョアへ着いた。 目の前の扉を入れば、その先には“七武海”が待っている。
『………』
「おれはここまでだ」
門を静かに見上げていたジンに青キジが告げる。ジンは青キジに目を向けた。
『そうでしたか。それでは、また“戦場”にて』
ジンはシルクハットを軽く上げ、お辞儀をする。
「あらら。海軍にお辞儀する“海賊”も“七武海”も見たことねェわ」
青キジの言葉にジンがシルクハットをかぶりなおしながら笑う。
『僕はまだ“どちら”でもありませんので。それでは、失礼します』
ジンは青キジに背を向け、開く扉へ歩いて行った。
「……そういやそうか」
青キジは苦笑混じりに呟き、本部へ帰って行った。
ゴゴゴゴと重い扉が開かれる。
その重く大きい扉をくぐれば、これから起こる巨大な戦いの渦から逃れられなくなることは容易に想像出来た。
(それでも、僕は……進まなければ)
ジンは一歩一歩確実な足取りで歩く。扉が開ききる瞬間、海兵の一人が声を上げた。
「“渡り鳥”クロスロード・ジン様、到着です!!」
扉からコツコツと中に歩くと、明かりが見えた。巨大な円卓を構える部屋。 円卓を囲むのは海軍将校と七武海とよばれる政府側の海賊達。
彼らはそれぞれが決して馴れ合うことはなく
しかし争う訳でもない
ただ、その境界線は曖昧なのは見てとれる。
その緊張感は半端な者なら耐えられないだろう。
(僕も一応、半端者ではない様ですね)
ジンはそんなことを思いながら円卓に近づく。七武海をはじめ、部屋にいる全ての視線がジンに集まった。 ふと背を向けていた海軍将校、少しばかり小柄な女性が立ち上がりジンに振り返った。
「アンタが“渡り鳥”クロスロード・ジン……だね」
『ええ。貴女は?』
ジンはシルクハットを取り、軽く会釈をしつつ尋ねた。
「私は海軍本部中将のつるさ。センゴク元帥から連絡は聞いたよ」
『貴女が、かの“大参謀”さんですか。よろしくお願いします』
ジンはニコッと笑う。つるはハァと息をついた。
「アンタも一筋縄とは、いかないみたいだね。……とりあえず、ここ待機してもらう。適当に座っておくれ」
『はい』
つるが席に戻る。ジンは席を探しつつ、改めて円卓のメンバーを見た。
左から
“鷹の目”ジュラキュール・ミホーク
“暴君”バーソロミュー・くま
ゲッコー・モリア
“黒ひげ”マーシャル・D・ティーチ
ドンキホーテ・ドフラミンゴ
(クセのありそうな方達ですね、本当に……)
ため息をつくジン。ジンはまだ浴びせられている視線を気にせず、“鷹の目”の隣の席を取る。
『“鷹の目”さん、お隣よろしいですか?』
「……ああ」
『ありがとうございます。失礼します』
ガタッと椅子を引き、席につく。
「…久しいな」
『ええ。お久しぶりです、その節はお世話になりました』
ミホークはククッと笑う。
「“世話”にか……よく言う。あの時、見事我が黒剣から逃れた者が…」
『あそこで死ぬ訳には参りませんでしたので』
ジンは肩をすくめる。向かいにいるドフラミンゴが話し掛けてきた。
「フフッ…てめェが5億ベリーの賞金首、“渡り鳥”か」
『ドンキホーテ・ドフラミンゴさんですね。初めまして』
「フフフフフ。フフッ、ご丁寧なこった。まさかアンタまでこの“戦争”に出てくるとはな。“噂”は聞いてるぜェ」
「ゼハハハ、まったくだ。しかし、女みてェな顔だな、本当に強ェのか」
『さぁ。見かけ通りだと思いますが……貴方が“黒ひげ”さんですね。今回の主犯の…』
「フン。見かけ通りだァ? おれのスリラーバークをめちゃくちゃにしてくれたクセによく言いやがる」
ジンは視線を移す。
『ああ。ゲッコー・モリアさん。貴方も生きていらして何よりですね』
「ケッ」
ジンの言葉にあからさまに嫌な顔をするモリア。ジンは隣のくまを見た。
「……」
(……バーソロミュー・くま。何も語らずですか)
ジンはくまから目を反らした。ふと目を伏せた瞬間、ドフラミンゴから紙が飛んできた。
『……!』
ジンはそれを左手で軽く受ける。そして中身を見た。それは戦争の陣形について書かれている作戦書。
(……七武海はやはり前線。そして最後尾に“火拳”、その下に大将ですか……)
『ご丁寧にありがとうございました、ドンキホーテ・ドフラミンゴさん』
ジンは紙を差し返す。ドフラミンゴは不敵に笑う。
「フフッ…なァ、“渡り鳥”。てめェに会ったら聞きたかったんだが。“どうやって一瞬で数百人の人間を殺した”んだァ?」
『………』
「ただの人間にそんな真似出来ねェよなァ??」
『はぁ…それはお答えし兼ねます。と言うよりも手の内明かすなんてバカな真似は致しません』
「…フフフフ。そりゃそうだな!! フフッ…まぁ、見れるのを楽しみにしておこう」
『ご期待に添わぬ様にしたいものです』
「フッフッフッフッフッ。フフ…」
『………』
ジンはドフラミンゴとの会話を打ち切り、出されたカップを手に取る。中身はコーヒーの様だ。ジンはそれに口をつけ、味を確かめてからポツリと呟いた。
『やはり、味が落ちますね……』
ジンは静かにカップを置いた。
⇒あとがき
「よかろう、契約成立だ。“渡り鳥”クロスロード・ジン。本日付けで“次期”七武海として我々の指揮下に入ってもらう」
『……』
センゴクが無言で青キジに指示を出す。青キジはそれを見てジンから手を離した。
「戦争の時は“能力”を存分に発揮しろ」
『“リミッター”があるので使用のタイミングは僕が決めます』
「フッ…好きにしろ。“善戦”してくれたらいい」
『……。では、これを外して頂けますか?』
じゃらっと海楼石が入った手錠を前に出す。センゴクは頷き、部下に手錠を外させる。ジンは感覚を取り戻す様に手を動かした。
感覚が戻ったのを見てジンはどこかから取り出した白い手袋をはめる。そして海楼石入りの包帯を外し、どこかにしまっていた眼帯を新たに着ける。最後にポンッと手からシルクハットを出した。
「「「………」」」
周りの海兵達は目の前で起こるジンの行動に目をしばしばさせる。ジンは気にも止めず、シルクハットをかぶった。
『……さて、僕はどうしたらいいのでしょうか?』
「とりあえず、マリージョアで“七武海”と共に待機してもらう」
『いいでしょう。青キジさんがご案内して下さるのですか?』
「……え? …ああ。まぁ、そうだな。センゴクさんおれが連れて行きますよ」
センゴクの部屋を後にした青キジとジンはマリージョアへ向かう。
「……(こいつは何を考えてるんだ……?)」
『…どうかしましたか?』
青キジからの視線を受けたジンが前に目を向けたまま尋ねる。
「ん? いや。あっさり条件を飲んだから驚いてただけだ。最初にあれだけセンゴクさんにケンカ売ったのに“彼女”の話になった途端、歯切れが悪くなったが…」
『……』
「お前にとってそんなに大切なのか……?」
『……。僕は本当なのか知りたいだけなんです』
青キジの問いには答えず、ジンが言う。
「何を?」
『“彼女”が生きている、それが事実なのかを……です』
「……知ってどうする?」
『さぁ。それはお答えし兼ねます』
「………やりづらいな。アンタは」
『それはお互い様だと思いますよ、青キジさん』
ジンは笑い、青キジを見る。青キジははぁっと息をついた。
しばらく歩き、マリージョアへ着いた。 目の前の扉を入れば、その先には“七武海”が待っている。
『………』
「おれはここまでだ」
門を静かに見上げていたジンに青キジが告げる。ジンは青キジに目を向けた。
『そうでしたか。それでは、また“戦場”にて』
ジンはシルクハットを軽く上げ、お辞儀をする。
「あらら。海軍にお辞儀する“海賊”も“七武海”も見たことねェわ」
青キジの言葉にジンがシルクハットをかぶりなおしながら笑う。
『僕はまだ“どちら”でもありませんので。それでは、失礼します』
ジンは青キジに背を向け、開く扉へ歩いて行った。
「……そういやそうか」
青キジは苦笑混じりに呟き、本部へ帰って行った。
ゴゴゴゴと重い扉が開かれる。
その重く大きい扉をくぐれば、これから起こる巨大な戦いの渦から逃れられなくなることは容易に想像出来た。
(それでも、僕は……進まなければ)
ジンは一歩一歩確実な足取りで歩く。扉が開ききる瞬間、海兵の一人が声を上げた。
「“渡り鳥”クロスロード・ジン様、到着です!!」
扉からコツコツと中に歩くと、明かりが見えた。巨大な円卓を構える部屋。 円卓を囲むのは海軍将校と七武海とよばれる政府側の海賊達。
彼らはそれぞれが決して馴れ合うことはなく
しかし争う訳でもない
ただ、その境界線は曖昧なのは見てとれる。
その緊張感は半端な者なら耐えられないだろう。
(僕も一応、半端者ではない様ですね)
ジンはそんなことを思いながら円卓に近づく。七武海をはじめ、部屋にいる全ての視線がジンに集まった。 ふと背を向けていた海軍将校、少しばかり小柄な女性が立ち上がりジンに振り返った。
「アンタが“渡り鳥”クロスロード・ジン……だね」
『ええ。貴女は?』
ジンはシルクハットを取り、軽く会釈をしつつ尋ねた。
「私は海軍本部中将のつるさ。センゴク元帥から連絡は聞いたよ」
『貴女が、かの“大参謀”さんですか。よろしくお願いします』
ジンはニコッと笑う。つるはハァと息をついた。
「アンタも一筋縄とは、いかないみたいだね。……とりあえず、ここ待機してもらう。適当に座っておくれ」
『はい』
つるが席に戻る。ジンは席を探しつつ、改めて円卓のメンバーを見た。
左から
“鷹の目”ジュラキュール・ミホーク
“暴君”バーソロミュー・くま
ゲッコー・モリア
“黒ひげ”マーシャル・D・ティーチ
ドンキホーテ・ドフラミンゴ
(クセのありそうな方達ですね、本当に……)
ため息をつくジン。ジンはまだ浴びせられている視線を気にせず、“鷹の目”の隣の席を取る。
『“鷹の目”さん、お隣よろしいですか?』
「……ああ」
『ありがとうございます。失礼します』
ガタッと椅子を引き、席につく。
「…久しいな」
『ええ。お久しぶりです、その節はお世話になりました』
ミホークはククッと笑う。
「“世話”にか……よく言う。あの時、見事我が黒剣から逃れた者が…」
『あそこで死ぬ訳には参りませんでしたので』
ジンは肩をすくめる。向かいにいるドフラミンゴが話し掛けてきた。
「フフッ…てめェが5億ベリーの賞金首、“渡り鳥”か」
『ドンキホーテ・ドフラミンゴさんですね。初めまして』
「フフフフフ。フフッ、ご丁寧なこった。まさかアンタまでこの“戦争”に出てくるとはな。“噂”は聞いてるぜェ」
「ゼハハハ、まったくだ。しかし、女みてェな顔だな、本当に強ェのか」
『さぁ。見かけ通りだと思いますが……貴方が“黒ひげ”さんですね。今回の主犯の…』
「フン。見かけ通りだァ? おれのスリラーバークをめちゃくちゃにしてくれたクセによく言いやがる」
ジンは視線を移す。
『ああ。ゲッコー・モリアさん。貴方も生きていらして何よりですね』
「ケッ」
ジンの言葉にあからさまに嫌な顔をするモリア。ジンは隣のくまを見た。
「……」
(……バーソロミュー・くま。何も語らずですか)
ジンはくまから目を反らした。ふと目を伏せた瞬間、ドフラミンゴから紙が飛んできた。
『……!』
ジンはそれを左手で軽く受ける。そして中身を見た。それは戦争の陣形について書かれている作戦書。
(……七武海はやはり前線。そして最後尾に“火拳”、その下に大将ですか……)
『ご丁寧にありがとうございました、ドンキホーテ・ドフラミンゴさん』
ジンは紙を差し返す。ドフラミンゴは不敵に笑う。
「フフッ…なァ、“渡り鳥”。てめェに会ったら聞きたかったんだが。“どうやって一瞬で数百人の人間を殺した”んだァ?」
『………』
「ただの人間にそんな真似出来ねェよなァ??」
『はぁ…それはお答えし兼ねます。と言うよりも手の内明かすなんてバカな真似は致しません』
「…フフフフ。そりゃそうだな!! フフッ…まぁ、見れるのを楽しみにしておこう」
『ご期待に添わぬ様にしたいものです』
「フッフッフッフッフッ。フフ…」
『………』
ジンはドフラミンゴとの会話を打ち切り、出されたカップを手に取る。中身はコーヒーの様だ。ジンはそれに口をつけ、味を確かめてからポツリと呟いた。
『やはり、味が落ちますね……』
ジンは静かにカップを置いた。
⇒あとがき