渡り鳥は自ら鎖に繋がれる
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『……ハァ……ハァ』
ジンは目を覚ました。 目に入ったのは白い天井。見慣れぬ天井だった。
『……ここは』
ジンは辺りを見渡す。どうやら一人用の病室の様で、横に小さなトナカイが寝ていたあの場所ではないことだけは理解できた。
『……?』
次にジンは右目を覆う包帯に触れる。その時じゃらっと鎖がついた錠がはめられているが目に入った。
『手錠……。!?』
包帯に触れた手の力が抜ける。ぱたっとベッドに落ちた。
「その包帯は微量の海楼石が含まれてるんだ。手錠もしてるし、あんまり触らん方がいいと思うぞ」
『!』
男の声が聞こえた。ジンは力の戻った手を使い、ゆっくり起き上がる。 目の前には頭にアイマスクをつけた大男。
『……貴方は?』
「“青キジ”だ。はじめましてと言うところかな、“渡り鳥”」
『……貴方が“青キジ”ですか、はじめまして。貴方がいらっしゃると言うことは、ここは…本部ですか?』
「ああ」
ジンの問いに青キジが頷く。
『そうですか。ちなみに僕は何日寝てましたか?』
「お前が黄猿に連れて来られてから5日程たったかな」
『………5日もですか』
ジンが呟く。青キジは頭をポリポリと掻いた。
「体調はもう良さそうだな」
『ええ。御心配には及びません。…ずっといらしたんですか?』
「いや、たまたま見に来たらお前が起きた」
『そうですか』
「ん~」
青キジは首を傾げる。
『どうかしましたか?』
「いや、捕まったのにえらく冷静だなって思ってな」
『……これで“二度目”ですので。順応したのだと思います』
ジンはニコッと笑う。
「………」
『ところで、青キジさん。僕は捕まったのになぜ本部に?』
「……。わかってるでしょ」
青キジがため息をつく。ジンは失礼…とクスッと笑った。
『海軍本部のトップ、センゴク元帥に会わすため……ですね?』
ジンの問いに無言の肯定を示す青キジ。ジンは息をついた。
「早速だけど、会ってもらうよ。アンタはあの時、黄猿を相手にしてたから知らないだろうけど、今結構面倒なことが起きててな」
『……面倒なことですか?』
「なんて言うか……あれだ。色々面倒くさいからおれは説明はしない。まとめてセンゴクさんが話してくれるから」
(…変わった人だ)
「立てるか?」
『ええ。もう大丈夫です』
ジンはベッドから立ち上がる。5日も寝ていたため、体がかたい。グッと筋を伸ばし、手のについた錠を見た。
『元帥はどこに?』
「部屋だよ。一応言うけど、抵抗はするなよ。センゴクさんの部屋にはおれも行くが、大人しくしてもらえるとありがたい」
『……敵にお優しい言葉を下さるですね』
身なりを整えながらジンが言う。青キジは肩を竦めた。
「丁重にとの命令なんでね」
『?』
ジンは怪訝な顔をする。青キジはまた頭をポリポリと掻いた。
「まぁ、センゴクさんに会えばわかるよ。行くぞ」
『………』
ジンは静かに頷き、青キジと共にセンゴクの部屋に向かった。
「元帥!! 大将、青キジが“渡り鳥”クロスロード・ジンを連れていらっしゃいました!!!」
海兵の一人が敬礼をしながら言う。センゴクは書類から顔を上げた。
「やっと起きたか。通せ!」
「はっ!!」
海兵が外に出て、青キジとジンを部屋へあげる。 青キジはジンの隣から離れ、壁にもたれる。
ジンはセンゴクの執務机の前に立った。センゴクと目が合う。
「久しぶりだな、クロスロード」
『ご無沙汰……と言う気分ではありませんよ、センゴク元帥』
「ふん。そんなもん望んでおらん」
『でしょうね』
「………(二人共、最初からケンカ腰だな)」
ジンとセンゴクの言葉を聞きつつ青キジはそう思った。
『……では、前口上はこれくらいで。早速ですが賞金首である僕を、元帥の部屋にまで呼んだ理由をお教え願えますか?』
「ふん、いいだろう。……我々は今、“白ひげ”との戦争を間近に控えておる」
『!? あの“白ひげ”とですか?』
ジンは思ってもない事態に驚いた。センゴクは続ける。
「先日、七武海に認定された“黒ひげ”ティーチにより、我々は白ひげ2番隊隊長ポートガス・D・エースを手に入れた」
(あの“火拳”のエースをですか…。その“黒ひげ”確か、スリラーバーグでバーソロミュー・くまが言ってた名ですね)
『……“仲間を第一”の白ひげ海賊団の仲間を捕まえるとは……“黒ひげ”という方は何者です?』
「……“黒ひげ”も元々は白ひげのクルーだ」
『つまり、裏切りですか…』
ジンはため息をつく。センゴクはゴホッと咳払いをした。
「“黒ひげ”のことはこれくらいでいい。時間もないので本題に入るぞ」
『……ええ』
「現在、七武海の一人“ジンベエ”をインペルダウンに拘束している」
『……? “海峡”のジンベエを……?』
「そうだ。この戦争の規模のデカさはお前もわかるだろう? ジンベエの裏切りもあり、我々は少しでも戦力を集めたいと考えている」
『……』
「“ジンベエ”はこのまま行くと間違いなく七武海の“称号剥奪”になる」
ジンはセンゴクの次に言わんことを悟った。目を見張る。
『まさか……』
ジンの言葉に頷き、センゴクが言った。
「我々はお前を次期“七武海”として迎え入れるつもりだ」
『!!』
ジンは驚きで、一瞬言葉を失う。訝しげな顔でセンゴクを見た。
『まさか貴方は、それに僕が応じるとでも思っていらっしゃるのですか?』
「今の立場でそれを言えるのか?」
ジンの問いにセンゴクは問い返す。ジンは笑う。
『ええ、言えますよ。僕は海軍に組みする気はありません』
「……貴様の罪は重い。呑まんのなら……ジンベエと同じ様にインペルダウンに放り込むことになるぞ」
センゴクが鋭い目で言う。ジンは冷たい目を返した。
『そんな安い挑発には乗りません。それに放り込みたければ、放り込めばいいでしょう。僕はそれでも構いません』
「……。貴様がこれに応じれば“罪を消す”と言ってるだぞ」
『僕の“罪を消す”…ですって?』
センゴクの言葉にジンはクスクスと笑う。
「「??」」
それを見たセンゴクや青キジは眉間にしわを寄せる。周りの海兵達は不思議そうな顔をした。ジンの笑いがフッと止まり、冷たい空気が流れる。
『バカにしないで頂きたい!!』
「「「!!!」」」
ジンは激昂した。センゴクを睨むジンの目はゾッとする程冷たい。
『“僕の罪”を僕が背負う。貴方なんかにどうこう言われる筋合いはありません!!!』
「……ほう、“たった一人の女”を助けるためにその手で何百人もの海兵の命を奪ったお前がそんな口を叩くのか? 我々はお前のせいで多くの部下を亡くしたんだぞ!!」
センゴクは立ち上がった。ジンは冷たい瞳のまま、センゴクを見据え続ける。
『“たった一人”を守って何が悪いのです!!? それに貴方には何も言われたくありません!! その“僕”を貴方は罰を与えるのではなく、罪を消し使おうとしているのですから。
貴方の“部下”が報われませんよ…!!』
「………貴様!!」
センゴクはバンッ机を叩いた。ジンはビクともしない。センゴクを睨みながら言った。
『……僕には、貴方達の考えがわかりません。僕を“七武海”の候補とすることも、“鳥かご島”を復活させたということも……!!』
ジンの言葉にセンゴクは顔をしかめる。
「なぜ、それを知っている?」
『戦桃丸から“お聞き”しました。なぜ復活させたのです?』
「それを言うと思うか」
『答えてください! “彼女”がいないのになぜ研究所を復活させたのですか?』
センゴクはジンをじっと観察し、言った。
「……“女”は生きていたと言ったら?」
『!!?』
ジンは目を見張る。
『嘘だ……あり得えません』
「あり得ない? なぜ言い切れる? その目で確認したのか??」
『……っ』
ジンは奥歯を噛み締める。
「……。お前にどう能力を移したか知らんが、あの日“女”は死んでいなかった。現在は治療が終わったので研究を再開したまでだ」
『!?』
(彼女は“死んでいなかった”……!?)
ジンは手が震える。必死に震えを抑えた。
『……なぜ、“能力を失った”彼女を今、再び研究対象にする必要があるんです!!? 貴方達は彼女をどれだけ苦しめる気なんですか!!』
ジンが怒鳴った。センゴクに掴みかかりそうな勢いだ。青キジが抑える。
「大人しくしろって言っただろ」
『……くっ!!』
センゴクは抑えられるジンをみて僅かに笑みを溢す。そして言った。
「ならば、貴様が条件を呑め。そうすれば“鳥かご島”の研究及び研究資料の全てを“破棄”しよう」
『なっ……!!』
ジンは目を見開いた。センゴクは続ける。
「“女”も貴様に渡す。我々は“赤目の一族”に今後一切関わらん」
『……』
「どうだ? 貴様にとってはいい条件だろ?」
センゴクの提案にジンは黙り込む。 センゴクはさらに付け入る様に話した。
「こちらの条件はお前が“次期七武海”として我々“海軍の指揮下”に入ること。そしてまもなく起こる“戦争”に参加し、善戦することだ」
『………』
ジンは目を瞑る。
『……。まず、彼女に会わせてください。彼女が本当に生きているのか確認したい』
「今は、無理だ」
『? なぜです』
「お前も知っているように“鳥かご島”は本部から離れておる。いつ起こるかわからん“戦争”を抱えた今、向かうことは出来ん」
『つまり……先に“戦争”に参加しろと?』
「そうだ。“戦争”が終われば“鳥かご島”へ船を出す。会いたければ条件を呑んでもらおう」
『………』
「信用出来んか? 呑む呑まないは貴様の自由だ」
『………っ』
「……」
ジンは手をギュッと血が出そうな程、握りしめる。青キジは抑えながらそれを見ていた。
数秒、時が止まったかの様に静かになった。ジンは息を吐き、そして決意する。
『わかりました。条件に“応じ”ましょう。――必ず約束は守ってください…!!』
ジンは目を覚ました。 目に入ったのは白い天井。見慣れぬ天井だった。
『……ここは』
ジンは辺りを見渡す。どうやら一人用の病室の様で、横に小さなトナカイが寝ていたあの場所ではないことだけは理解できた。
『……?』
次にジンは右目を覆う包帯に触れる。その時じゃらっと鎖がついた錠がはめられているが目に入った。
『手錠……。!?』
包帯に触れた手の力が抜ける。ぱたっとベッドに落ちた。
「その包帯は微量の海楼石が含まれてるんだ。手錠もしてるし、あんまり触らん方がいいと思うぞ」
『!』
男の声が聞こえた。ジンは力の戻った手を使い、ゆっくり起き上がる。 目の前には頭にアイマスクをつけた大男。
『……貴方は?』
「“青キジ”だ。はじめましてと言うところかな、“渡り鳥”」
『……貴方が“青キジ”ですか、はじめまして。貴方がいらっしゃると言うことは、ここは…本部ですか?』
「ああ」
ジンの問いに青キジが頷く。
『そうですか。ちなみに僕は何日寝てましたか?』
「お前が黄猿に連れて来られてから5日程たったかな」
『………5日もですか』
ジンが呟く。青キジは頭をポリポリと掻いた。
「体調はもう良さそうだな」
『ええ。御心配には及びません。…ずっといらしたんですか?』
「いや、たまたま見に来たらお前が起きた」
『そうですか』
「ん~」
青キジは首を傾げる。
『どうかしましたか?』
「いや、捕まったのにえらく冷静だなって思ってな」
『……これで“二度目”ですので。順応したのだと思います』
ジンはニコッと笑う。
「………」
『ところで、青キジさん。僕は捕まったのになぜ本部に?』
「……。わかってるでしょ」
青キジがため息をつく。ジンは失礼…とクスッと笑った。
『海軍本部のトップ、センゴク元帥に会わすため……ですね?』
ジンの問いに無言の肯定を示す青キジ。ジンは息をついた。
「早速だけど、会ってもらうよ。アンタはあの時、黄猿を相手にしてたから知らないだろうけど、今結構面倒なことが起きててな」
『……面倒なことですか?』
「なんて言うか……あれだ。色々面倒くさいからおれは説明はしない。まとめてセンゴクさんが話してくれるから」
(…変わった人だ)
「立てるか?」
『ええ。もう大丈夫です』
ジンはベッドから立ち上がる。5日も寝ていたため、体がかたい。グッと筋を伸ばし、手のについた錠を見た。
『元帥はどこに?』
「部屋だよ。一応言うけど、抵抗はするなよ。センゴクさんの部屋にはおれも行くが、大人しくしてもらえるとありがたい」
『……敵にお優しい言葉を下さるですね』
身なりを整えながらジンが言う。青キジは肩を竦めた。
「丁重にとの命令なんでね」
『?』
ジンは怪訝な顔をする。青キジはまた頭をポリポリと掻いた。
「まぁ、センゴクさんに会えばわかるよ。行くぞ」
『………』
ジンは静かに頷き、青キジと共にセンゴクの部屋に向かった。
「元帥!! 大将、青キジが“渡り鳥”クロスロード・ジンを連れていらっしゃいました!!!」
海兵の一人が敬礼をしながら言う。センゴクは書類から顔を上げた。
「やっと起きたか。通せ!」
「はっ!!」
海兵が外に出て、青キジとジンを部屋へあげる。 青キジはジンの隣から離れ、壁にもたれる。
ジンはセンゴクの執務机の前に立った。センゴクと目が合う。
「久しぶりだな、クロスロード」
『ご無沙汰……と言う気分ではありませんよ、センゴク元帥』
「ふん。そんなもん望んでおらん」
『でしょうね』
「………(二人共、最初からケンカ腰だな)」
ジンとセンゴクの言葉を聞きつつ青キジはそう思った。
『……では、前口上はこれくらいで。早速ですが賞金首である僕を、元帥の部屋にまで呼んだ理由をお教え願えますか?』
「ふん、いいだろう。……我々は今、“白ひげ”との戦争を間近に控えておる」
『!? あの“白ひげ”とですか?』
ジンは思ってもない事態に驚いた。センゴクは続ける。
「先日、七武海に認定された“黒ひげ”ティーチにより、我々は白ひげ2番隊隊長ポートガス・D・エースを手に入れた」
(あの“火拳”のエースをですか…。その“黒ひげ”確か、スリラーバーグでバーソロミュー・くまが言ってた名ですね)
『……“仲間を第一”の白ひげ海賊団の仲間を捕まえるとは……“黒ひげ”という方は何者です?』
「……“黒ひげ”も元々は白ひげのクルーだ」
『つまり、裏切りですか…』
ジンはため息をつく。センゴクはゴホッと咳払いをした。
「“黒ひげ”のことはこれくらいでいい。時間もないので本題に入るぞ」
『……ええ』
「現在、七武海の一人“ジンベエ”をインペルダウンに拘束している」
『……? “海峡”のジンベエを……?』
「そうだ。この戦争の規模のデカさはお前もわかるだろう? ジンベエの裏切りもあり、我々は少しでも戦力を集めたいと考えている」
『……』
「“ジンベエ”はこのまま行くと間違いなく七武海の“称号剥奪”になる」
ジンはセンゴクの次に言わんことを悟った。目を見張る。
『まさか……』
ジンの言葉に頷き、センゴクが言った。
「我々はお前を次期“七武海”として迎え入れるつもりだ」
『!!』
ジンは驚きで、一瞬言葉を失う。訝しげな顔でセンゴクを見た。
『まさか貴方は、それに僕が応じるとでも思っていらっしゃるのですか?』
「今の立場でそれを言えるのか?」
ジンの問いにセンゴクは問い返す。ジンは笑う。
『ええ、言えますよ。僕は海軍に組みする気はありません』
「……貴様の罪は重い。呑まんのなら……ジンベエと同じ様にインペルダウンに放り込むことになるぞ」
センゴクが鋭い目で言う。ジンは冷たい目を返した。
『そんな安い挑発には乗りません。それに放り込みたければ、放り込めばいいでしょう。僕はそれでも構いません』
「……。貴様がこれに応じれば“罪を消す”と言ってるだぞ」
『僕の“罪を消す”…ですって?』
センゴクの言葉にジンはクスクスと笑う。
「「??」」
それを見たセンゴクや青キジは眉間にしわを寄せる。周りの海兵達は不思議そうな顔をした。ジンの笑いがフッと止まり、冷たい空気が流れる。
『バカにしないで頂きたい!!』
「「「!!!」」」
ジンは激昂した。センゴクを睨むジンの目はゾッとする程冷たい。
『“僕の罪”を僕が背負う。貴方なんかにどうこう言われる筋合いはありません!!!』
「……ほう、“たった一人の女”を助けるためにその手で何百人もの海兵の命を奪ったお前がそんな口を叩くのか? 我々はお前のせいで多くの部下を亡くしたんだぞ!!」
センゴクは立ち上がった。ジンは冷たい瞳のまま、センゴクを見据え続ける。
『“たった一人”を守って何が悪いのです!!? それに貴方には何も言われたくありません!! その“僕”を貴方は罰を与えるのではなく、罪を消し使おうとしているのですから。
貴方の“部下”が報われませんよ…!!』
「………貴様!!」
センゴクはバンッ机を叩いた。ジンはビクともしない。センゴクを睨みながら言った。
『……僕には、貴方達の考えがわかりません。僕を“七武海”の候補とすることも、“鳥かご島”を復活させたということも……!!』
ジンの言葉にセンゴクは顔をしかめる。
「なぜ、それを知っている?」
『戦桃丸から“お聞き”しました。なぜ復活させたのです?』
「それを言うと思うか」
『答えてください! “彼女”がいないのになぜ研究所を復活させたのですか?』
センゴクはジンをじっと観察し、言った。
「……“女”は生きていたと言ったら?」
『!!?』
ジンは目を見張る。
『嘘だ……あり得えません』
「あり得ない? なぜ言い切れる? その目で確認したのか??」
『……っ』
ジンは奥歯を噛み締める。
「……。お前にどう能力を移したか知らんが、あの日“女”は死んでいなかった。現在は治療が終わったので研究を再開したまでだ」
『!?』
(彼女は“死んでいなかった”……!?)
ジンは手が震える。必死に震えを抑えた。
『……なぜ、“能力を失った”彼女を今、再び研究対象にする必要があるんです!!? 貴方達は彼女をどれだけ苦しめる気なんですか!!』
ジンが怒鳴った。センゴクに掴みかかりそうな勢いだ。青キジが抑える。
「大人しくしろって言っただろ」
『……くっ!!』
センゴクは抑えられるジンをみて僅かに笑みを溢す。そして言った。
「ならば、貴様が条件を呑め。そうすれば“鳥かご島”の研究及び研究資料の全てを“破棄”しよう」
『なっ……!!』
ジンは目を見開いた。センゴクは続ける。
「“女”も貴様に渡す。我々は“赤目の一族”に今後一切関わらん」
『……』
「どうだ? 貴様にとってはいい条件だろ?」
センゴクの提案にジンは黙り込む。 センゴクはさらに付け入る様に話した。
「こちらの条件はお前が“次期七武海”として我々“海軍の指揮下”に入ること。そしてまもなく起こる“戦争”に参加し、善戦することだ」
『………』
ジンは目を瞑る。
『……。まず、彼女に会わせてください。彼女が本当に生きているのか確認したい』
「今は、無理だ」
『? なぜです』
「お前も知っているように“鳥かご島”は本部から離れておる。いつ起こるかわからん“戦争”を抱えた今、向かうことは出来ん」
『つまり……先に“戦争”に参加しろと?』
「そうだ。“戦争”が終われば“鳥かご島”へ船を出す。会いたければ条件を呑んでもらおう」
『………』
「信用出来んか? 呑む呑まないは貴様の自由だ」
『………っ』
「……」
ジンは手をギュッと血が出そうな程、握りしめる。青キジは抑えながらそれを見ていた。
数秒、時が止まったかの様に静かになった。ジンは息を吐き、そして決意する。
『わかりました。条件に“応じ”ましょう。――必ず約束は守ってください…!!』