救えないっ!!
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破壊された大きなシルクハットから出てくる黄猿と戦桃丸。
「オジキィ!!! わいもいるんだから、ちっとは手加減してくれ!!」
「悪いねェ~加減は出来ないんだよォ~~。まァ、無事だったから良かったじゃない」
戦桃丸はため息をつく。
「……。ところで、オジキ。二人共逃がしちまったみたいだぜ」
「ん~“冥王”の方は今は構わないけど、“渡り鳥”の方は探さないとねェ」
『僕はここに居ますよ』
「「!!?」」
黄猿と戦桃丸は後ろを振り返る。さっき出てきたシルクハットはすでになくなっていた。その跡地にジンが立つ。
「逃げなかったんだねェ~~。“冥王”は逃げたのかい?」
『ええ。退いて頂きました。ここからはあの方は関係ありませんから』
「ここからァ~?? 大人しく捕まる気になったんじゃないのォ?」
『いえ。今のところそのつもりはありません。…僕はあなた方に尋ねたいことがあるのです』
「はん! 答えると思ってんのか」
戦桃丸が腕を組みながら言葉を返す。ジンはクスクスと笑った。
『……残念ですが、素直に答えて頂きます』
「……嫌だねェ~」
黄猿が動こうとする。ジンがすかさず言った。
『黄猿及び戦桃丸。“動かず”に僕の質問に“答えなさい”…!!』
「「!!?」」
二人の脳にビリビリと声が届く。動きが止まった。
『本当に“動けない”でしょう? これが、貴方達の求めてる“能力”ですよ』
「………。ん~“声”の能力ってのがここまでのモノだったとはねェ」
「う……クソッ!」
黄猿は冷静に自分に起こっていることを受け入れていた。戦桃丸は抵抗しようと必死だ。ジンは息を吐く。
『ハァ……。時間がありませんので、本題を…』
「「………」」
ジンはじっと二人を見据えた。
『“知っていることをお答えください”――――“彼女”が生きてると言うのは本当ですか?』
ジンが問いかける。二人は怪訝な顔をした。
「……? “彼女”って、あの“赤目の一族の子”だよねェ? そんな報告あったっけなァ~」
「フン。わいは知らねェな……“あの日”に死んだって報告があったじゃねェか」
『………本当に知らないのですか? “それに関連する”であろうことでも構いません!! ペガパンクは何も言っていなかったのですか??』
ジンは息を切らしながらも、さらに問う。気持ちが焦り、自然と語尾が強くなっていく。
(あのバーソロミュー・くまがわざわざ言ってきたこと、簡単に嘘だとは思えない…。それが、例え仮説であったとしても……)
『“お答えください”!!』
ジンの声がビリビリと二人の脳に刺激を与える。黄猿が先に答えた。
「……。残念だけどわっしは知らないよォ。今、それどころじゃないからねェ~」
「わいも知らん」
(戦桃丸すら知らないとは…)
ジンは落胆する。戦桃丸が言葉を続けた。
「ただ…」
『……ただ?? なんです?』
ジンが戦桃丸に尋ねる。戦桃丸を能力に反発するのをあきらめ、答えた。
「ペガパンクが“鳥かご島”の施設を復活させたぜ」
『……“鳥かご島”!? “あの研究島”をですか!!?』
(もしそれが、本当なら……。でも、そんなのあり得ない…!!)
『他には何か知りませんか?』
「わいはそれ以上は知らんな」
『そうですか…。………っ!?』
ジンの頭に痛みが走った。頭を手で抑える。
「! お、体が動くねェ~」
『!?』
(まだ、“解除”はしていないのに………なっ!?)
ガクッと急にジンは崩れる様に膝をつく。
『………これは…!?』
「……どうやら限界みてェだな。“声”でも体の機能を操りきれなくなってやがる」
戦桃丸も動ける様になり、ジンを見下ろした。ジンは汗がワッと噴き出し、体が一気に重くなる。疲労が限界に来ていた。
『……ハァ…ハァ……』
「ふぅ、自分でつけた“リミッター”でそうなってたら世話ないねェ~」
『……まだ、“動ける”』
ジンは自分に言い聞かせ、“声”で少しずつ感覚が戻す様に試みる。しかし上手く戻らない。
『…“動け”……!』
「そこまでだよォ~~!」
『!?』
黄猿は左手でジンの“口”を抑え、体を持ち上げる。
『………ぐっ……!!』
「これで“声”は出せないよねェ?」
ジンは黄猿の手を掴む。しかし黄猿の力は強く、外れない。ジンは逃れようと“紙”の能力を使うため残る力を集中させた。
(“無数の ……”)
ヒュン
『……うっ!!?』
空いている右手から出した黄猿のビームがジンの体を突き抜ける。光が貫通したジンの体には黒い焦げた跡が残り、全身に激痛が走った。
「わっしの光線は“紙”によく効くだろうねェ~」
ヒュンヒュン
『……ぐっ!!……んっ!!』
黄猿のビームが突き抜けるたびジンは焼ける痛みが体に走る。ジンの体には黒く貫通した穴が開く。
『……ハァ……ハァ…』
ジンは息も絶え絶えになる。徐々に黄猿の手を掴んでいた力が弱まり、だらりと垂れた。
『………っ』
ジンは体の疲労と痛みで目眩に襲われ苦しそうに顔を歪める。
「おっ、抵抗は終わりかい?」
(……まだ…だ……)
黄猿の言葉にジンは手に力を入れる。
「……しぶといねェ~。楽になりなよォ」
ヒュンヒュン
『………うっ…!!』
黄猿は再びジンにビームを撃つ。ジンは痛みで目を見開いた。再び手から力が抜ける。
「おいおい、オジキ。あんまり痛めつけすぎんなよ!」
「大丈夫だよォ~。自然系 はすぐには死なないからねェ~」
『………ぐっ……』
ジンの穴の開いた体が再生するのを見ながら言った。
「ねェ、渡り鳥ィ。君、そんなに“彼女”のことが気になるなら海軍本部に来て自分の目で確かめてみなよォ」
『………』
ジンはボヤけてくる視界の中、黄猿に目を向ける。
(…わかっている、それが一番確実だと言うことは。……でも、……)
ジンは意識が遠のき始めているのを感じた。さっきの黄猿の言葉を最後に、黄猿や戦桃丸が話し声がほとんど耳には入らなくなっていたからだ。
意識を失いそうになる中、ジンはただひたすら想う。
(………お嬢様が、生きている……)
ガチャリとジンの垂れ下がった手に手錠が嵌められる。同時に黄猿が手を離したので、体はドサッと地面に叩きつけられた。
ジンは叩きつけられた痛みで途切れそうだった意識が蘇る。
『………ぐっ!!? ……ハァ……ハァ……』
痛みで荒く息をした。ジンは自分の手に重みを感じ、見ようとするが動かせない。
(力が…入らない……。この感覚は……海楼石……か)
ジンは覚えのある感覚に項垂れる。もう力が入る気配すらなかった。また意識が薄れ始める。
『………』
「これで“渡り鳥”は確保だな」
「そうだねェ~」
地面に倒れているジンを黄猿と戦桃丸が見下しながら言う。もうジンに声は届いていない。
ジンはゆっくり目を閉じる。
『……お嬢様……』
そう呟くと、ジンは意識を手放した。
⇒あとがき
「オジキィ!!! わいもいるんだから、ちっとは手加減してくれ!!」
「悪いねェ~加減は出来ないんだよォ~~。まァ、無事だったから良かったじゃない」
戦桃丸はため息をつく。
「……。ところで、オジキ。二人共逃がしちまったみたいだぜ」
「ん~“冥王”の方は今は構わないけど、“渡り鳥”の方は探さないとねェ」
『僕はここに居ますよ』
「「!!?」」
黄猿と戦桃丸は後ろを振り返る。さっき出てきたシルクハットはすでになくなっていた。その跡地にジンが立つ。
「逃げなかったんだねェ~~。“冥王”は逃げたのかい?」
『ええ。退いて頂きました。ここからはあの方は関係ありませんから』
「ここからァ~?? 大人しく捕まる気になったんじゃないのォ?」
『いえ。今のところそのつもりはありません。…僕はあなた方に尋ねたいことがあるのです』
「はん! 答えると思ってんのか」
戦桃丸が腕を組みながら言葉を返す。ジンはクスクスと笑った。
『……残念ですが、素直に答えて頂きます』
「……嫌だねェ~」
黄猿が動こうとする。ジンがすかさず言った。
『黄猿及び戦桃丸。“動かず”に僕の質問に“答えなさい”…!!』
「「!!?」」
二人の脳にビリビリと声が届く。動きが止まった。
『本当に“動けない”でしょう? これが、貴方達の求めてる“能力”ですよ』
「………。ん~“声”の能力ってのがここまでのモノだったとはねェ」
「う……クソッ!」
黄猿は冷静に自分に起こっていることを受け入れていた。戦桃丸は抵抗しようと必死だ。ジンは息を吐く。
『ハァ……。時間がありませんので、本題を…』
「「………」」
ジンはじっと二人を見据えた。
『“知っていることをお答えください”――――“彼女”が生きてると言うのは本当ですか?』
ジンが問いかける。二人は怪訝な顔をした。
「……? “彼女”って、あの“赤目の一族の子”だよねェ? そんな報告あったっけなァ~」
「フン。わいは知らねェな……“あの日”に死んだって報告があったじゃねェか」
『………本当に知らないのですか? “それに関連する”であろうことでも構いません!! ペガパンクは何も言っていなかったのですか??』
ジンは息を切らしながらも、さらに問う。気持ちが焦り、自然と語尾が強くなっていく。
(あのバーソロミュー・くまがわざわざ言ってきたこと、簡単に嘘だとは思えない…。それが、例え仮説であったとしても……)
『“お答えください”!!』
ジンの声がビリビリと二人の脳に刺激を与える。黄猿が先に答えた。
「……。残念だけどわっしは知らないよォ。今、それどころじゃないからねェ~」
「わいも知らん」
(戦桃丸すら知らないとは…)
ジンは落胆する。戦桃丸が言葉を続けた。
「ただ…」
『……ただ?? なんです?』
ジンが戦桃丸に尋ねる。戦桃丸を能力に反発するのをあきらめ、答えた。
「ペガパンクが“鳥かご島”の施設を復活させたぜ」
『……“鳥かご島”!? “あの研究島”をですか!!?』
(もしそれが、本当なら……。でも、そんなのあり得ない…!!)
『他には何か知りませんか?』
「わいはそれ以上は知らんな」
『そうですか…。………っ!?』
ジンの頭に痛みが走った。頭を手で抑える。
「! お、体が動くねェ~」
『!?』
(まだ、“解除”はしていないのに………なっ!?)
ガクッと急にジンは崩れる様に膝をつく。
『………これは…!?』
「……どうやら限界みてェだな。“声”でも体の機能を操りきれなくなってやがる」
戦桃丸も動ける様になり、ジンを見下ろした。ジンは汗がワッと噴き出し、体が一気に重くなる。疲労が限界に来ていた。
『……ハァ…ハァ……』
「ふぅ、自分でつけた“リミッター”でそうなってたら世話ないねェ~」
『……まだ、“動ける”』
ジンは自分に言い聞かせ、“声”で少しずつ感覚が戻す様に試みる。しかし上手く戻らない。
『…“動け”……!』
「そこまでだよォ~~!」
『!?』
黄猿は左手でジンの“口”を抑え、体を持ち上げる。
『………ぐっ……!!』
「これで“声”は出せないよねェ?」
ジンは黄猿の手を掴む。しかし黄猿の力は強く、外れない。ジンは逃れようと“紙”の能力を使うため残る力を集中させた。
(“
ヒュン
『……うっ!!?』
空いている右手から出した黄猿のビームがジンの体を突き抜ける。光が貫通したジンの体には黒い焦げた跡が残り、全身に激痛が走った。
「わっしの光線は“紙”によく効くだろうねェ~」
ヒュンヒュン
『……ぐっ!!……んっ!!』
黄猿のビームが突き抜けるたびジンは焼ける痛みが体に走る。ジンの体には黒く貫通した穴が開く。
『……ハァ……ハァ…』
ジンは息も絶え絶えになる。徐々に黄猿の手を掴んでいた力が弱まり、だらりと垂れた。
『………っ』
ジンは体の疲労と痛みで目眩に襲われ苦しそうに顔を歪める。
「おっ、抵抗は終わりかい?」
(……まだ…だ……)
黄猿の言葉にジンは手に力を入れる。
「……しぶといねェ~。楽になりなよォ」
ヒュンヒュン
『………うっ…!!』
黄猿は再びジンにビームを撃つ。ジンは痛みで目を見開いた。再び手から力が抜ける。
「おいおい、オジキ。あんまり痛めつけすぎんなよ!」
「大丈夫だよォ~。
『………ぐっ……』
ジンの穴の開いた体が再生するのを見ながら言った。
「ねェ、渡り鳥ィ。君、そんなに“彼女”のことが気になるなら海軍本部に来て自分の目で確かめてみなよォ」
『………』
ジンはボヤけてくる視界の中、黄猿に目を向ける。
(…わかっている、それが一番確実だと言うことは。……でも、……)
ジンは意識が遠のき始めているのを感じた。さっきの黄猿の言葉を最後に、黄猿や戦桃丸が話し声がほとんど耳には入らなくなっていたからだ。
意識を失いそうになる中、ジンはただひたすら想う。
(………お嬢様が、生きている……)
ガチャリとジンの垂れ下がった手に手錠が嵌められる。同時に黄猿が手を離したので、体はドサッと地面に叩きつけられた。
ジンは叩きつけられた痛みで途切れそうだった意識が蘇る。
『………ぐっ!!? ……ハァ……ハァ……』
痛みで荒く息をした。ジンは自分の手に重みを感じ、見ようとするが動かせない。
(力が…入らない……。この感覚は……海楼石……か)
ジンは覚えのある感覚に項垂れる。もう力が入る気配すらなかった。また意識が薄れ始める。
『………』
「これで“渡り鳥”は確保だな」
「そうだねェ~」
地面に倒れているジンを黄猿と戦桃丸が見下しながら言う。もうジンに声は届いていない。
ジンはゆっくり目を閉じる。
『……お嬢様……』
そう呟くと、ジンは意識を手放した。
⇒あとがき