突風磁気
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ルフィ率いる麦わら海賊が目指す島。
そこに一足先に降り立つ影がひとつ。その影は一見女性と見間違うが青年のようだ。
シルバーピンクの髪を後ろでまとめ、白いシャツに黒のストライプのパンツにベスト。首に蝶ネクタイをつけ、シルクハットをかぶっていた。つまりマジシャンような恰好をしている。
その怪しい風貌にさらに磨きをかけているのが、右目に大きな黒い眼帯をしていること。そのせいで顔の右半分が隠れていた。
『ふう、まさかログが勝手に変わるなんて驚きですね』
その青年は白い船から降りる。するとその船がみるみるうちに“紙”が溶けるように崩れていった。
その光景に目もくれず青年はうーんっと伸びをする。
『さて、とりあえずあちらに見える街に行ってみましょうか』
青年はずれたシルクハットをかぶりなおし、眼の先にある街に向かって歩いていった。
着いた街はなかなか活気のあるようで、青年も頬を緩める。
ふと、大きな壁に目に入った。その壁には手配書がズラーッと貼られていた。しかし、紙の大部分は風化して文字がかすれている。周りを見渡してもこの壁を見る住人はいない。
どうやらこれはあるだけで使われていないようだ。
『これは……』
青年はひとつの賞金首の紙を手に取った。
“賞金首【渡り鳥】クロスロード・ジン 懸賞金4億8千万ベリー”
『なつかしいのがありますね。自分で言うのはなんですが、少し若い』
青年…否、クロスロード・ジンはクスッと笑い、自分の手配書を両手で包み込む。
次に手を開いたときにはその紙は何もなかったかのように消えていた。
「あれ、旅の人かい?」
クロスロード・ジンは声をかけられて振り返る。住人が自分の右目に目をやり少し動揺したようだがジンは気にせず、笑顔で答えた。
『ええ。急にログが変わってしまいまして。寄せて頂きました』
住人はなるほどっと原因が分かるように頷いた。
「そりゃ、この島特有の風“突風磁力”に当たっちまったんだな」
『”突風磁力”…ですか?』
「ああ、この島のログをまれに風が持って行っちまうんだ。それに当てられた船のログが一時的に変わっちまうって訳だな」
『それはそれは。しかし一時的なら、また変わるのですか?』
「ああ。しかも旅人さんはちょうどいい。ここのログは1週間で1回だけ変わるんだが、それが明日なんだ。明日になれば島から出発できるぜ」
『それはよかった!』
状況がわかり一安心のジン。
次は今日一日過ごすことを考え、この気のいい住人に尋ねる。
『それで質問続きで申し訳ありませんが、宿と、マジックが出来るようなバーはこの島にありますか?』
「旅人さんマジシャンなのかい!? 丁度いい。うちは飲み屋なんだ。宿も提供するから、ぜひ来てくれないか」
思ってもみない提案に、この店主を信用できる人物だと認めたジンはその案に乗る。
『それは助かります。では客寄せは任せてください』
そういうとジンはカバンを置き、中を開けて少し派手な細工の仮面を取り出した。
『ここの広場でマジックをしても構わないですか?』
「ああ、かまわねぇが……ところで旅人さん。あんたの名前聞いてなかったが」
『あ、そういえばそうですね』
「言いにくい名前なのかい?」
『少しばかり……』
「なら、なんて呼べばいいかな?」
『そうですね。では“カッコウ”と呼んでください』
クロスロード・ジンはニコッと笑い仮面をかぶると、ファンファーレのような音と共にマジックを始めた。
あとがき→
そこに一足先に降り立つ影がひとつ。その影は一見女性と見間違うが青年のようだ。
シルバーピンクの髪を後ろでまとめ、白いシャツに黒のストライプのパンツにベスト。首に蝶ネクタイをつけ、シルクハットをかぶっていた。つまりマジシャンような恰好をしている。
その怪しい風貌にさらに磨きをかけているのが、右目に大きな黒い眼帯をしていること。そのせいで顔の右半分が隠れていた。
『ふう、まさかログが勝手に変わるなんて驚きですね』
その青年は白い船から降りる。するとその船がみるみるうちに“紙”が溶けるように崩れていった。
その光景に目もくれず青年はうーんっと伸びをする。
『さて、とりあえずあちらに見える街に行ってみましょうか』
青年はずれたシルクハットをかぶりなおし、眼の先にある街に向かって歩いていった。
着いた街はなかなか活気のあるようで、青年も頬を緩める。
ふと、大きな壁に目に入った。その壁には手配書がズラーッと貼られていた。しかし、紙の大部分は風化して文字がかすれている。周りを見渡してもこの壁を見る住人はいない。
どうやらこれはあるだけで使われていないようだ。
『これは……』
青年はひとつの賞金首の紙を手に取った。
“賞金首【渡り鳥】クロスロード・ジン 懸賞金4億8千万ベリー”
『なつかしいのがありますね。自分で言うのはなんですが、少し若い』
青年…否、クロスロード・ジンはクスッと笑い、自分の手配書を両手で包み込む。
次に手を開いたときにはその紙は何もなかったかのように消えていた。
「あれ、旅の人かい?」
クロスロード・ジンは声をかけられて振り返る。住人が自分の右目に目をやり少し動揺したようだがジンは気にせず、笑顔で答えた。
『ええ。急にログが変わってしまいまして。寄せて頂きました』
住人はなるほどっと原因が分かるように頷いた。
「そりゃ、この島特有の風“突風磁力”に当たっちまったんだな」
『”突風磁力”…ですか?』
「ああ、この島のログをまれに風が持って行っちまうんだ。それに当てられた船のログが一時的に変わっちまうって訳だな」
『それはそれは。しかし一時的なら、また変わるのですか?』
「ああ。しかも旅人さんはちょうどいい。ここのログは1週間で1回だけ変わるんだが、それが明日なんだ。明日になれば島から出発できるぜ」
『それはよかった!』
状況がわかり一安心のジン。
次は今日一日過ごすことを考え、この気のいい住人に尋ねる。
『それで質問続きで申し訳ありませんが、宿と、マジックが出来るようなバーはこの島にありますか?』
「旅人さんマジシャンなのかい!? 丁度いい。うちは飲み屋なんだ。宿も提供するから、ぜひ来てくれないか」
思ってもみない提案に、この店主を信用できる人物だと認めたジンはその案に乗る。
『それは助かります。では客寄せは任せてください』
そういうとジンはカバンを置き、中を開けて少し派手な細工の仮面を取り出した。
『ここの広場でマジックをしても構わないですか?』
「ああ、かまわねぇが……ところで旅人さん。あんたの名前聞いてなかったが」
『あ、そういえばそうですね』
「言いにくい名前なのかい?」
『少しばかり……』
「なら、なんて呼べばいいかな?」
『そうですね。では“カッコウ”と呼んでください』
クロスロード・ジンはニコッと笑い仮面をかぶると、ファンファーレのような音と共にマジックを始めた。
あとがき→