青根くん
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(もにわさんと)
「もに先輩!」
「名前!お前マジでうちにきたんか、女子ほとんどいないだろ」
「クラスにあたしだけです、金属加工科」
「まじか…あ、でも金工ならウチのがいんぞ、青根ってでっかいのと」
「あっ!!あおね、くん?もに先輩なんで青根くん知ってるんですか」
「え?だからうちの…バレー部の後輩だって、期待の新人なんだよ。あと二口な、あいつ見た目はチャラチャラしてるけど真面目でいいやつだよ」
「わあ、もに先輩って青根くんとにろちゃんの先輩なんですね」
「おう、なんだ仲良いのかお前」
「そう、最初のお友達です」
中学校の後輩は
板金塗装というイカツイ趣味に反して
しあわせの象徴みたいな女の子である。
まさか本当に工業高校に来たのはびっくりだけど
そうかあの青根と友達なのか
ちょっと二人の絡みは見てみたいかも。
「あー茂庭さんが女の子ナンパしてる~」
「にろちゃーん!」
「うえ、名前じゃん、なんなの知り合いなの」
「もに先輩ねー、近所~」
「お前ら名前のこといじめたら俺が許さないからな!まじだからな!」
(ブンッ)
「べっつに茂庭さんが心配しなくても俺らチョー仲良いんで心配ないっすよ」
「うわ、いまのはチャラいな」
「うん」
***
(かまちと)
「ごめんくださーい!」
部室の外から女子の声がする
今どき古風な掛け声だが
どうやらうちの部室に用事らしい
俺は慌てて着替え掛けだったズボンをはき
おそるおそるドアを開けた
「すみません、にろちゃ…えーと…二口くんか青根くんは来てますか?」
「いや、まだ俺しか来てねえけど」
「そっか…どっかで追い抜かしたかなあ」
「なんか用事スか」
「えっと、担任の先生からお届け物頼まれて、」
「お前もしかしてあれか、名前か」
「なんでご存じなんです」
「二口がいつも話してっからな。デキてんのかお前ら。結局イケメンがいいのか」
「そんなまさか、にろちゃんは仲良しのお友達です」
「(あっさり言いやがって)そんならあれか、青根の方が好きか」
「え!あ!…あ!!え!?いや、そんなことは、いやそんなことも、」
「………マジか…」
二口より青根の方がいい女子がいるなんて
世の中捨てたもんじゃねえ
**
「おつかれさまにろちゃん、青根くん!」
「おお名前!応援ありがとな」
(ブン)
「ところでお前どーやって帰るの?俺ら学校のバスだけど」
「わたし?バイク!」
「…は!?」
「あれ、うちバイク屋さんって言わなかったっけ、色とか自分でやったんだよ、そのうち乗せてあげるね~」
「名前、めっちゃかっこいな」
(ブン!)
**
『仙台市にお住いの川本さんご夫婦、そして奥様のお腹には新たな命が宿っておられるそうです』
『年末には三人家族になる予定でして、』
珍しくつけていたテレビでは
若い夫婦の新婚生活を紹介し始めた。
同棲をはじめて一年、結婚して二か月半
小動物のように身を寄せて眠る名前が
痛がったり苦しんだりするのが怖くて
決して自分は手を出さない。
どんなアタッカーだって怖くなかった自分が
目の前の女から逃げ続けている。
テレビに映る臨月らしい新妻の腹を見ながら
名前がそっと自分の腹に手をやった。
「…のぶくーん」
「のぶくんはさー、小さい子供は好き?」
(ブン)
「例えばそれがさあ…自分の子ども、でも?」
(ブン)
「…ごめんね変なこと聞いて、なんか幸せそうだなーって思ってね、でも私たちまだハタチだしねー、二人でのんびり過ごすのもすっごい幸せだもんねー、」
名前は画面から目を離さない
俺が逃げても名前は責めやしない
今までだってそうだった
恥ずかしいとか照れくさいとか
そういう感情に、なかなか勝てない。
名前を強く抱きしめる
小さくてとてもやわらかい。
「痛い思いを、させるのがこわい」
「…のぶくんはやさしいよ」
「今まで逃げて、悪かった」
「それなら私も一緒だけど」
「…いいのか」
柔らかい背中の肌
首筋のにおいに
意識が揺らぎかける
ああ、こんなにずっと近くにいたのに。
「のぶくん、大好きよ」
(ブン)
**
ちょっと番外編的に。
夏休み終わっちゃう死にたい