青根くん
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あおねくんは私のスーパーヒーローだ
電車でお尻触られてるところ
助けてくれたのは青根くんだった。
男子ばかりのクラスで
ちょっと寂しい私と目を合わせてくれるところ
高いところにあるものを取ってくれるところ
見た目はくまさんみたいにおっきくて少し怖いけど
ほんとうはとても優しい男の子。
「名前さあ」
「なあににろちゃん」
「青根とは付き合わないの」
「なんでそうなるの」
「だって~絶対両思いじゃん」
「なんでそうなるのにろちゃんばか、おもしろがってる」
「そんなことないって」
青根くんと仲良しの
にろちゃんことふたくちくんは
いつもこう言って私のことをからかうのだけど
青根くんはバレーを一生懸命頑張っていて
私とはお友達でいてくれて
これ以上なんて望んだら罰が当たってしまいそう。
そしてチャラいチャラいと冷やかされるにろちゃんは
本当はそんなことなくって
気配りのあるやさしい性格で
男の子ばかりのクラスで馴染めない私に
簡単に声をかけてくれて
そして口数の少ない青根くんのことも
にろちゃんはただ同じ部活とかそういうんじゃなくて
本当に好きでかまっているんだし。
「お、噂をすれば青根じゃん、進路相談済んだ?」
(ブン)
「今日名前ね、部活見にくるって」
「ってゆーかね、もに先輩に借りてた漫画返しに行くの」
「気合い入るなあ青根」
(ブン!)
****
「名前さあ」
「んーなあにー」
「二口と付き合ってんの?」
「にろちゃん?ちがうよ、なんで?」
「最近前にもまして仲良い気がして」
「んー、にろちゃんなんか私のこと面白がってるんだよね」
「じゃあさあ、好きな奴とかいんの?」
「なになに突然やめてよ恥ずかしいじゃんか」
「なになに~楽しそうな話してんじゃーん」
「お、二口!なあお前名前の彼氏とか知らねえの?」
「え?名前その辺疎いからなあ、俺が発破かけてもびくともしねえの」
「なんだーおもしろくねー」
「バーカ野郎がそんな可愛らしい話題で盛り上がっても気持ち悪いだけだろ」
「まーな」
「…にろちゃん、」
「名前ねえ、動揺しすぎだって、だからさあ、お前青根のこと好きなんだよ」
「に!!にろちゃん!!」
「青根も青根でさあもう俺見てらんないもん絶対お前ら両思いなんだって!早くしないと高校生活なんかすぐ終わっちゃうんだぞ」
「だから!う!うしろ!」
「…あ、あおね…」
「ごめ…まじほんと…わたし…いたたまれない…」
「あ!おい名前待てよ」
*****
顔がかあっと熱くなって
もうどこを見たらいいかわからなくなって
青根くんの方なんか絶対見れなくて
これってまるで本当に
私が青根くんのこと好きみたいで
…ちがう、にろちゃんがひやかすから
青根くんと一緒にいるのは楽しいけど
それはにろちゃんだって同じ
二人は似ているタイプじゃないけど
そおっと触れてくる青根くんの掌とか指先や
無表情がちな青根くんの
時々泳ぐ目線や赤くなる頬や、
こうして飛び出してきてしまって
青根くんはどう思うだろうか
教室に戻ったらまた目線を泳がせるのだろうか
わたしの方をもう向いてくれないんだったら
にろちゃんぜったい許さない
「名前」
「…にろちゃん、わたしは怒っています」
「おこ、ってやつ?」
「おこが50個くらいあってもたりないくらい」
「…それはたいへんだ」
「青根くんと仲直りできなかったら悲しい、もっと仲良くなりたかったのに」
「ごめんな、お前らが喧嘩したわけじゃないんだから、仲直りなんて言うなよ」
「だって」
「大丈夫、青根も同じだ、俺怒られた」
「え」
金属加工実習室に続く渡り廊下に
ぬっと青根くんの大きな影が現れる
あとは若いお二人でと
立ち上がろうとしたにろちゃんのうでを
思わず掴んだ
「わたしは家がバイク屋さんでね、不良の人のバイクの加工とか中学くらいから一緒にやってたの、あのハネみたいなのつけたりとか」
「…え、まじか」
「それでここにきたの、でも周りはやっぱり男子ばっかりだったんだけど、青根くんとにろちゃんが仲良くしてくれて嬉しかったし、お陰様でまわりにも慣れました」
「…そーだったんか、知らなかったわ」
「二人が仲良しでね、部活を頑張ってるところがすごく好きなの。私も家で機械触るの楽しいし…その辺の高校生みたいにデート、みたいなこと、少しも望んでいなくってね、それで、でもね、さっきね、もう前みたいに青根くんと居られなくなるかもって思ったらとっても悲しくなったよ」
「ごめん、名前も、青根も、ごめんな、茶化し過ぎた」
(ブン)
「青根くん、仲直りにぎゅうしよう」
青根くんは必要な時には
躊躇わず腕をひいたり肩を叩いたりしてくれる
大きな掌とがっちりした腕が
ゆっくり伸びてきて
そおっと私の体に回るから
思い切り強い力で抱き締め返した。
「にろちゃんも、仲直り、悪ふざけはいけない」
「…うん」
にろちゃんも、やさしい
よかった、これで二人と一緒に居られる。
と、腕をひかれて青根くんの
大きな背中の後ろに隠される
「青根くん?」
「ヤキモチだ、だいじょーぶ心配しなくても、俺は名前には絶対手を出さないよ」
(ブン)
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