烏養くんのカノジョ
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予想通り、繋心は
連休が終わっても体育館に通い続けている。
インターハイの予選を見に行こうと
嶋田たちに誘われたけど
いやいや、私が行ったら誰が店番するのよ。
繋心のエプロンからは
タバコのにおいがする。
そういえば最近あまりしてないけど
タバコ味のキスははじめ嫌いだったけど
すっかり慣れてしまったな。
「あれえ、名前ちゃん?繋心ちゃんは?」
「繋心ね、バレー部のコーチに行ってるの。仕方ないから私がお留守番よ」
「あらまあ、そうなの。そういえばあんたたち結婚したんだっけ?」
「それがねえ、してないのよ~おばちゃん、今度繋心とあったらよーく言っといてよね」
「まあ、情けないね繋心ちゃん」
***
繋心が試合から帰ってこないので
おばさんに甘えて晩御飯をごちそうになる。
昨日はどうやら勝ったらしいが
今日はどうだか連絡の一つもない。
おばさんの方にも連絡はないらしく
繋心のタバコ臭い部屋で
ジャンプを読むことにした。
「…い、おーい、起きろよ」
「…けーしんちゃん?」
「何ひとんちで寝てんだよ」
「だって~おばちゃんがカレー作ってくれたんだもん。食べてないの?」
「あー、今日、おすわりで済ませてきた」
「そーなん?そいえば試合は?」
「負けたよ」
「…そっか、おつかれ」
「送る」
「え?やっさしいじゃん!槍でも降る?」
「ざっけんな俺はいつも優しい」
****
青葉城西との試合に敗れ
奴らを飯に連れて行って帰宅すると
部屋で名前がぐっすり寝ている
人の布団に涎垂らしやがって。
高校の頃、俺は正セッターになることはなかった。
それは俺の実力だった。
あの体育館に行くと、夢中になっちまう。
名前を叩き起こして家に連れて帰る
実家が近いのに商店街の近くのアパートを借りていて
家からは歩いてすぐ。
ネット関係のデザインを個人で受けている名前は
基本的に家での仕事。
だからといって店番の片手間にするのは
それなりに大変だろうけど
そんなそぶりは一切見せない。
1人になった帰り道は
湿気を含んだ夜の空気が
なんだか心地いい
感謝してる、なんて言ったら
あいつは笑うだろうか。
***
インターハイの予選が終わると
多くの3年生は引退する。
私もそうだった。
男子バレー部の3年は
春高の予選まで残ることを決めたらしい。
じじいの所に行くからすまん、と言われて
昼間から店番をしていると
見慣れた男子が入ってくる。
「あれ、今日は昼間から名前さんがいるんですか」
「おう、澤村くんにスガちゃん」
「うっす」
「繋心ちゃんはじいちゃんのおつかいです。お昼買いに来たの?」
「いや、弁当は食べたんですけど、ちょっと散歩がてら」
「あ、ところで聞いてみたかったんですけど、コーチと名前さんって長いんですか?」
「…うん?」
目線をパソコンの画面から
やつらの顔に移すと
にやっと笑った悪い顔。
2人とも爽やかイケメンだと思ってたのに。
「あ、ごまかさなくていいですよ。単細胞組は気づいてないと思いますけど」
「げ…マジで言ってる…?」
「烏養さんももごまかせてると思ってるみたいですけど」
「うわ…高校生こわ…てゆーか繋心ダッサ」
「身もふたもないですね」
「子供の頃からずっと知ってるけど、付き合い始めたのはえーっと、大学出るころだからね、4年前くらいかな。いや~高校生こわいわ…多感だわ…」
「あれだけ夫婦っぽさだされたら気づきますよ」
「まじかー、内緒にしてた意味なかったな」
「まあ俺たちも、みんなに言う気はないですから心配しないでください」
「ゲッできた子!もうやだお前ら」
「やっぱ笑った顔がコーチに似てますね」