大学生
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「どういったアクセサリーをお求めですか?」
「…どのような…とは…」
「婚約指輪、結婚指輪などもあれば、ペアリング、ピアスやネックレスなどの普段使いしていただけるものまで色々と取り揃えております」
「…えっと、ペアリング、シンプルなので」
「それでしたら、おすすめのものをお持ちしますから、おかけになってお待ちください。お飲み物はどうなさいますか?」
「えっと、紅茶、ストレートで」
「じゃあ俺も」
めかしこんで、というか
なるべくきれいなかっこうで。
初めて入るジュエリーショップ
駅ビルで買い物をしても
私には縁なんかないと思っていたけど。
やたら明るい店内で
国…じゃない、あきらくんの横顔は
一層透明感あふれる、
長い睫毛やしゅっとのびた鼻先に
強く優しい照明の光がとまっている。
「あんま、見ないでください、俺も緊張してるんで」
「だよね、慣れないもんね」
「名前さん、アクセサリーとかしないですもんね」
「面倒だからね」
きれいに化粧して
スーツを着込んで
白い手袋をはめた女性が
最近はこういった形が人気、とか
シンプルながら指の付け根にフィットする形状、とか
いろいろ説明してくれる。
少しウェーブした形の
細いそれが気に入って
イニシャルを入れてもらう約束をして
店を後にする。
「やっば、まじでキンチョーした」
「でも楽しみですね」
「わ、国見ちゃんずるい!」
私の掌を掬いながら
にっこり顔をのぞき込んできた国見ちゃん
美少年すぎる、ずるい、
「あ、言った、はい罰ゲーム」
「あんたこんな往来で何言ってんの?」
「家帰ってからに決まってるでしょ」
******
「俺決めた、名前さんと結婚する」
「ん!ゴッフゴッフゴッ…はあ!?」
「こないだ話して、ペアリング買いに行った」
「おっまえ、久しぶりに会ったと思ったらよくそんなびっくりさせてくるな」
「先輩たちにはまだ言うなよ、面倒だから」
久しぶりに会った国見は
相変わらずの死んだ魚のような目で
さらっと爆弾発言。
梅酒サワーが気管に入った。
「…まあ言いふらしたりしないけど…なんかあったのか」
「何もないよ。名前さんがこっちで仕事探すって言うから、じゃあ俺もそうするって話」
「それで結婚ってことになんのか」
「まあ、なったから。ふたつも下なの時々いやだったけど、今回は結果オーライ」
「はーまじか、結婚式呼べよ」
「結婚式?めんど…やらないとだめなのかな」
「考えてみろよ、名前さんドレス絶対似合うぞ」
「…やる」
「お前こんなにチョロかったっけ?」
東京に来て
みんなばらばらになって
酒を覚えて
他のことは変わらない、
変わらないと思っていた。
名前さん、道端で出会ったら
あの頃のように嬉しそうに
声をかけてくれるだろう。
送っていくと言ったら
笑ってくれるだろう、その手を、お前が。
「先輩たちが引退した後な、俺が夜走ってる公園、名前さんがよく歩いてて」
「あるく?」
「ウォーキングって言ってた。そんで、出会ったときは話して送って行ってさ」
「それ絶対あの人、嬉しかったんだよ、金田一に会えて」
「…わかんないけどよ、俺はうれしかった」
「うん、これからも、喜んでやって」
「やじゃないの」
「バレー部の人は特に特別。先輩たちにイライラしたって仕方ないしおまえだってそうじゃん。名前さんがすきなんだからさ、俺はそんなの縛る気なんかさらさらないよ」
「でも名前さんめっちゃ酒豪じゃん」
「うん、さすがに潰れちゃうのは心配だけど。まあ大体先輩らと一緒だし大丈夫じゃん?」