大学生
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「久しぶり~飲むべ飲むべ」
「ビールの人!」
「はいはいはーい」
「げっ名前もかよ」
「悪いかよ」
「金田一は?」
「えっと…ウーロン茶」
「国見ちゃんは?」
「カルピスで」
「は~~~早く一緒に飲みたいね」
「矢巾さらっとビール頼んでるけど?」
「数えでハタチなんで許してくださーい」
上野の居酒屋で
金田一と国見の上京を祝って集まると
まだこの雰囲気に慣れない一年生は
遠慮がちにソフトドリンクを頼む。
(半年後にはどうなってることやら)
「渡さんは地元でしたよね」
「そうそう。帰った時も会えるといいね」
「それなら溝口くんも誘ってあげようよ」
「溝口くんってまだ独身なのかな」
「え!結婚とかしてたらビビる!ないでしょ!」
「及川ひどいな」
「そーうゆうお前たちはどうなんだよ!彼女の一人や二人!」
「二人いたら私がしばくわ」
そういう話になると困る。
俺には話すことはない。
彼女ができたとか合コンに行ったとか
めちゃめちゃに盛り上がる奴らの
矛先がこっちに向かないように
ビールをごくごく飲み干す、
「名前ちゃんは?彼氏できないの?」
「は?私に振る?岩泉じゃなくて?」
「岩ちゃんがさっきからやたら飲んでるのは気づいてるけど」
「聞きたい?私がわかりやすく捨てられた話」
「は?」
「言ってなかったっけ、一年の時」
「そんな前!?」
「バレーサークルの先輩に声かけられて付き合ったもののやることやったら色気がなさすぎるって言われてポイよ。おかげでサークルも行きにくくなってフェードアウト」
「重いし直球だしどうすればいい?こんなあっけらかんと言うこと?名前ちゃんちょっとデリカシーってものが!」
「金田一耳塞いで!」
「なんで?もう二年もたってるのに。そこから先は話すことはありませーん!いい人いませーん!別に彼氏なんかいなくても生きていけるもん」
「お前ほら、酒がなくなるぞ!」
「まっつん日本酒のも~よ~」
「わ、名前が酔ってる」
「悪かったね可愛くなくて!エッチな声なんか出るわけないじゃんAVの見すぎかよ」
「おいおいおい不貞腐れるなよ」
「あー誰だよこんな話始めたの!ほらだし巻き卵食べなさい名前ちゃん!そんな悪い男とは別れて正解です!」
「つーかそいつが普通にヘタクソやったんやん?」
「うまい下手なんかわかるかボケ」
「じゃあ名前さん俺と付き合いましょうよ」
「おうおうこの野郎、…は?」
「は?」
名前はひどいめに、じゃなく!
俺たちはみんな開いた口がふさがらない。
爆弾発言をかました本人は
枝豆をぷちぷちと口に入れ込んだところ。
「…国見ちゃん酔ってる!?」
「いや俺カルピスです」
「…正気か?話聞いてた?」
「いや、正直高校の頃から名前さんのことかわいいなって思ってましたけど」
「嘘だろ…」
「名前?だめだ思考停止してる」
「もともと酔ってるからな」
「国見ちゃん言ってることわかってる!?及川さんびっくりしたよ!?」
「わかってますけど。名前さんが変な男にちょっかい出されてへそ曲げたままって思ったら黙ってられないですよ」
「国見って時々そういうとこあるよな」
「で、どーすんの?こんなことなら日本酒飲まなければよかったのに」
「最寄り隣みたいなんで送りますから」
「げ!送り狼になる気満々じゃん!ちゃんとあれ持ってる!?」
「なりませんよ、あんな話聞いて。」
「名前さん?お水!お水飲みますか?」
****
「国見ちゃんほんと大丈夫?同じ電車だしついていこうか?」
「及川さんと一緒にしないでください」
「名前大丈夫?」
「ん~、また会おうね~」
「わっは、べろべろじゃん」
「日本酒飲んでたからね」
「おまえもじゃねーかよ」
眉間にしわを寄せた
名前さんの腕をとる。
久しぶりの楽しい雰囲気と
思わずこぼれてしまった自分の本音と。
正直先輩たちに遠慮もあり
でもキャラメルをつまんだ指先が
唇にちょっと触れたあの日から
俺は少なからず意識してたんだけど。
岩泉さんがちゃんと持っとけと
名前さんに俺のカバンの紐を握らせたけど
あっという間に離れてしまう、
腕を引いて、肩を抱いた。
「ほら、しっかり歩いてください」
「ん~」
「酔いすぎですよ」
「ん~、ごめんね国見ちゃん~」
「いいえ」
「やめといたほうがいいよ、今のうちに」
「なんでですか」
「だって国見ちゃんにまでがっかりされたらほんとに辛くなっちゃう」
「しませんよ、がっかり。そんなに嫌なら名前さんがいいって言うまでセックスはしません」
「う~頭いたい~」
「ほらほら歩いてください」
「う~」
****
「つーか金田一は知ってたのか」
「え?知りませんよ」
「やるな、国見のやつ」
「先輩方が名前さんのこといいかげんに扱いすぎなんですよ」
「じゃなきゃやってけないだろ、男ばっかの中で」
「そうなんすかね」
「まーでも、国見の奴マジっぽかったしうまくいくといいな」
****
あー頭いた…
あー日本酒飲んだんだった
なんか嫌な話して…それから、
国見ちゃんになんか言われたような…
まさかまさか気のせい…
「ん”…」
「ん!?」
重たい頭に
ゆっくり目を開けると
ベッドにもたれて眠る美少年
(睫毛なっが…)
「あ、名前さん…おきました…?」
「国見ちゃん!?!?なんで!?」
「昨日俺が連れて帰って…部屋着さがしてる間に名前さん寝ちゃったんですよ…そんで俺も眠たくなっちゃってつい…あ、なんで服着てください」
「ふぁ!え!これは!」
「だって昨日なんか苦しそうな服着てたじゃないですか。脱がしただけなんで」
「あ、はい」
「名前さん」
「はい」
「昨日のこと、覚えてますか?」
「……付き合おうっていった?」
「本気ですからね」
わかる、わかるよ。
その顔を見たら。
昔からボーっとしているようで
よく考えてる子だった。
「俺じゃだめな理由ってありますか」
「…いえ…」
「お昼とか誘っていいですか」
「…国見ちゃんどこの学食使ってんの?」
「第3です」
「なんだ、一緒じゃん」
「じゃあ来週誘いますから」
「…おっぱいないけど」
「そんなの前から知ってますよ」