1年１０月





「元気ないじゃん」

「あ～まっつん～今ダイエットしてて～お腹すいたけどおやつがまんしてるの～」

「…おやつ？」

「朝練でパワー切れしちゃうからさ～いっつもおにぎり食べてたんだけど今週我慢中～」

「お腹すくほど動いてんなら食べても問題ないんでないの？」

「3キロ減らすって決めたんだ…それまでおにぎり禁止」

「どしたの急に、お前らしくない。恋でもしちゃった？」

「いや、最近痩せた友達が、体軽くなって動きやすいって言うから…」

「…それで？ダイエット？」








机の上にだらりと体を預けた友人の
口許におやつのクッキーを差し出すと
ぱくりと指ごと噛みつかれる


「食ってんじゃん」

「…くそう…まっつんきらい…」

「俺のせいなの？」

「わたしを誘惑してくれるな！」








＊＊＊










「まっつん、どしたん…？」

「気が抜けてやがる…」

「名前となんかあったろ」

「名前？松川のクラスの？」

「え？テニス部の子でしょ？まっつんあの子が好きなの？うっそ、意外だ」

「でしょ、もっとこう、えろい感じの雰囲気の子が好きなんだと思っていた」

「あいつ体育委員でいっしょだったぞ。いいやつじゃねーか」

「げ、岩泉も？あいつモテんだな」

「は？俺はそんなんじゃねーわ。お前らといっしょにすんな」

「…まっつんまじでしゃべんないね」






（くちびる…くちびる…）
（例えようのない…マシュマロとかじゃない…）
（俺もう一生手あらわん）
（唾液ついた…？？？？？は？？？？？？）