高校生

卒業式、中学から一緒だった澤村と離れてしまう。
私は仙台の短大に行くし、それで
こんどこそ、この日こそ
一世一代の告白をしようと
わたしは、心に決めて、






「おー道宮」

「ヒイッ!?」

「なんだよ失礼な奴だな」

「そっちこそ朝から心臓に悪いな」

「はは、呼んだだけだろ。今日そっちはどうすんの?」

「そっち?」

「部活でなんかあんだろ、うちは後輩たちがなんか企んでるらしい。あ、じゃあ道宮とは今日会えないかもしれないし、ちょっと早い気もするけど、おめでとう」


「そっちこそ、」




今日会えないかも、と
言われて、あーたしかに!!
私のばかばか!どうする!?
えーいままよ!!


「さ、さわむら!」






****





突然名前を呼ばれて
道宮が止まっちゃったので振り返ると
ああ寒い冬に何度も見てきた
赤い鼻の頭と頬


「ん?」

「さわむら、あの、」



いつでも会えたのにな。
道宮がいるって俺にとっては
すごい心強いことだったのにな。
なあ、そんな
改まって何か言いそうな顔しないでくれ、







「道宮、春休み会おうな」

「え?」

「さすがにすぐは引っ越ししないだろ?」

「あ、うん」

「大学生になってもさ、たまには会おう」

「…っ、うん」

「だから、お別れはなし」





赤い、鼻の先っちょを
ぴっとつまむと
澤村の手あったかい、と
道宮は笑った。







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