高校生
「えっなにそれ!ラッピング?」
「彼氏にあげようと思って、どーせなら可愛い方がいいじゃん?」
「げ…まじか…」
「唯は?誰かにあげるの?」
「え!?あ!!あ、うんまあね!ちょっとなんていうか!」
「なんていうか?」
「男バレにたかられたというか、はめられたというか、結果オーライというか…」
「…大丈夫?顔色悪いよ?」
****
昼飯食ったら階段集合、と
メールをもらったのは昨日の晩。
急いで昼ご飯を食べ終えて
前髪の具合を整える。
ひえー!はねとる!てゆーか
三角巾巻いてたからあとついちゃった!
「おーい、道宮」
「うわ!澤村!ごめんすぐ行く!」
「ごめんね、待ってた?」
「いや、教室の前通ったら見えたから。急がせた?」
「あー、えっと、三角巾してたから髪の毛あとついちゃって」
「ほんとだ、いつもと違うとこがはねてる」
大きな掌が
こっちに伸びて
たぶん横ちょの髪の毛をちょっとつまんだ。
あったかいのが一瞬頬をかすめてもう死!
「じゃ、いただきます」
「おー、たべよたべよ!なんかみんな気合入っててさ~、思ってた以上にいいのができちゃったよ」
「なんか色ついてる」
「こっちはココアで、こっちは抹茶」
「このキラキラしてるのは?」
「これはねー東峰が教えてくれたんだけど、焼く前に飴ちゃんを置いておくとね、溶けてこんなになるの」
「げ、旭そんなこと知ってんのか、引くわ」
「クラスの女子に聞いたらしいよ」
「ああ」
色気のない透明のビニールに
家のと同じキッチンペーパー
そんなこと気にもせずに
ぱくぱく食べる澤村
えーっ東峰まじでありがとう!
一生感謝する!
心臓が!口から出そうだけど!
でもついつい食べちゃう、うまい!
「うらやましいな、俺たち家庭科は去年で終わってるから」
「あー、進学クラスはそうだよね。数学、3とかやってんの?」
「おー、やってるやってる」
「ヒエー私には無理だ!尊敬するよ!」
***
「げ、東峰めっちゃにやにやしてるけど大丈夫?」
「相原いいところに!道宮からなんか聞いた?」
「いや、なにも?」
「それが、今な、」
「ええええ!!唯と澤村が!?」
「いや~、偶然だったんだけど俺ファインプレーだべ」
「おいおいおい伊達に髭はやしてないな」
「…褒められた…?」
「きゃー、今日唯と放課後会う約束してたんだ~、これはいい話が聞けそうね」
「だろ、まあ大地の方は全然なんだろうけどな…」
「残念だったな男子!てゆーか二次予選もうすぐでしょ、頑張ってね」
「おう、ありがと」
「まあ、決勝くらいまで残ったら、唯のお供で応援行くから」
「なんだよ俺たち完全におまけじゃんか」
*****
「おっす大地、そーいえばどうだった?クッキー」
「おお、やっぱ焼き立てはうまいな!道宮ももりもり食べてた」
「え、何の話だよ大地と道宮なんかあったの?」
「いや、まあ色々あって調理実習のクッキー一緒に食べたんだ、うまかった」
「そっか、家庭科か。道宮のクラス今日実習だったんか」
「…三角巾で、髪がはねたって騒いでた、面白いよな、全然かわいいのに」
「…!!!旭いまの録音してない?」
「…ごめん…」