高校生
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学校で練習試合をすると
名前が切り出してきたのは
水曜のことだった。
俺にはそれがなんのことだか意味が分からない
「私はインハイで引退するんだけどさ、他の3年はもうみんないなくて、チームは後輩だけなのよ」
「そーやったん」
「ウチとしてはチームに経験がほしいわけ。向こうは県代表と試合がしたいわけ、まあお互いメリットがあって受けてもらえたんだけどさ」
「なんかー名前かっこいいな」
「それでな、スガ、見に来てほしい」
「え?」
「やーまあお前も部活とは思うけど、休み時間とか、ちょっとでもいいから」
「いや、まあフツーに行くけど、どした?急に」
「うん!なんとなく!わたしの雄姿をだな!」
「はいはい」
日向と同じ町から
同じように自転車で山を越えてくる名前
俺が帰る頃にも
真っ暗な外周をランニングしてる
バレーボールに天候は殆ど関係ない
朝から青空が広がる
こんな日は名前は機嫌よく
大きな声で教室に入ってくる。
うん、たぶん、テニス日和
そういえば名前のテニスを
俺は見たことがなかった。
たぶん俺がバレーしてるとこは
授業やクラスマッチで何度も見られてる。
バレー部は午後からの練習だから
9時ごろのんびりテニスコートの見える
フェンスの脇の木陰を目指すと
名前はもう試合を始めている。
鮮やかな水色のワンピースが
雲一つない青空と日光によく映える。
(やべえ、かっけえ…)
いつもあんなにくにゃりとしている背中が
ぴんとのびて大きく見える
すがぁ~と呼ぶ時の間延びした声はしない
ポイントを奪うと
力強く、小さく短いガッツポーズをひとつ
淡々と、確実に。
「あ、スガ~」
「おー、おつかれ~」
「ほんとに来てくれたん」
「お前が言ったんだべ。名前かっこいいなあ、いつもの3倍くらいはしゃきしゃきしてる」
「そーか?あとまだ3試合くらいすると思うんだけど、そっちも部活でしょ」
「ん、昼から」
「忙しいのに来てくれてありがとね」
「んーん、やっぱ名前かっけーわ。もっちょい見惚れていく」
いつかノヤが言ってたっけ
テニスは全部一人でするんでしょ、なんて。
ラケットを持ってるとはいえ
バレーより広いコート
照りつける陽射し
控えめなボリュームで凛と響く掛け声が
鼓膜に振動を与える。
気の合う名前とはずっと仲がいい。
名前のことが大好きだ、けど
今日もっと好きになった。
名前を、尊敬してる。
◎ああ、ひまわり。