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「は、就職?」
「おう、俺も就活してんだべ、スーツ着て」
「はは、いいじゃんあんた人当たり良いんだし、すぐ決まるって」
「いやーそこを先輩にぜひご指南いただきたく…」
「なに言ってんの私なんか仕事選んでないもん、地元で事務職なんていくらでもあるんだからさ、面接だって一回しかなかったし」
「それでも合格は合格だべ」
「そこで食い下がられても」
正月の帰省中に家に寄った菅原は
随分トーンを落ち込ませて就活の話を始めた。
地元高校から地元短大に進み
地元で事務の仕事に就いた私とは
たぶん就活のレベルが全然違う。
一応リクルートスーツで畏まって面接に出向いたものの
もうその場で合格が決まっていたし
お茶でも飲んでいきなよなんて
なんだかほっこりした、ちょろい就活だった。
よしよし頭を撫でると
素直にされるがままになっている
おもしろい。
就活って全人格否定されるとか聞くしな、
あれって東京だけじゃないのかな。
「柔らかくないけどひざまくらしてあげるよ」
「名前さん面白がってるだろ」
「んー、半分はね」
「おいこらそこ否定してよ」
「スガはさあ」
「んー」
「どこで仕事探してんの?県外?東京?」
「え、と、」
「なんだ口ごもりやがって」
「都会は合わないし地元かな、名前もいるし」
「え、わたしのせいみたいなこと言う?」
「あ、いや、そーゆうわけじゃ」
素直に私の太腿に頭を乗せたスガは
だけどそっぽを向いてしまって
ばつが悪そうに言葉を濁す。
私たちは前から友達で
高校時代は飽きるほどつるんでいた
(飽きなかったから今に至る)
こういう態度は珍しい
なぜかってスガはわたしへの
上手な喋り方をよく知ってるから。
そんなスガが言葉を濁す、
「あのさー」
「なんだべ」
「遠くに行くなら、ついて来いくらい言ってよねー」
「…何言ってんの名前さん」
「私どこでも生きていけるし、安心していいよ」
「それはまあそうなんだろうけど」
***
ついてこいくらい、なんて
さも当然のような言いぶりが
やっぱり好きだと思った。
名前はかっこいい、あの頃から変わらない。
俺の髪を撫でる手はガサガサに荒れて
それからすっごく力強い。
内側からひねり出したものを
簡単に突き返されると
それはそれはなんというか
聞いてはいたから覚悟してたけど
なかなかなショックだった。
名前のあんまり柔らかくないお腹に顔をうずめて
もうどんな顔すればいいのかもわかんないし
あったかい掌が背中を撫でる
ああもうずっとこうしてたいけど
俺はこの頑丈な女の子を
護れるような人間になりたい。
「ほら、難しい顔してないで、どうだおっぱいでも触るべ」
「名前さん何言ってんすか」
「ほれほれ、むぎゅっと」
「う~…」
***
◎頑張る力がほしい