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『こんどねえ、ミックスの試合出ることになったの』
「ミックス?」
『男女ペアのダブルスのこと。同じスクールの女の子が怪我しちゃって、ピンチヒッター』
「へー、おもしろそうじゃん」
『そうそう、今までになく頭つかってテニスしててねえ、けっこう楽しいよ』
「相棒はどんな人なの?」
『んー…そーだなあ……ああ!はじめちゃんがバレーしてるときとちょっと似てるかも!年はよっつ上で、口数は少ないけど、パワーあるし戦略的で頼りになるかな』
「ふーん」
『…スガあ』
「なに?」
『ね、試合見に来てよね』
「…まいったな、予定空けとく」
『ふふふん、たのしみにしててよね』
青い空によく映える
水色のワンピースを思い出す。
(名前、かっこいいんだよなあ…)
(なんつーか、)
あ、わかった、嫉妬。
(かっこわりー)
名前、名前、
ああ、おかしいなあ。
つい、この夏休みが来るまでの2年くらい
ずっと会ってなくたって平気だったのに。
弱いなあ、薄いなあ、
それに引き換え名前は歪みないなあ。
「あ!スガ!きてくれた!」
「おお、ユニホーム久しぶりだ」
「いつか練習試合見に来てくれて以来でしょ。あ、ペア組んでるケンさん!あ、ケンさん、スガです」
「あ、噂の名前ちゃんの彼氏」
「どうも」
「いやあ今回は助かってるんだ、普段ヨメさんと組んでるんだけど、怪我しちゃってさ。そんでヨメが名前ちゃんに頼もうって言い始めて」
「ほんと、びっくりしましたよ!まあクラブの代表ってことで、今日はよろしくおねがいします」
「こちらこそ、国体選手と組めるなんて光栄だよ」
「それ、去年の話ですしー」
「あ、今年負けたのまだ気にしてんだ」
「そりゃあ!来年は負けないですもん」
「まあ名前ちゃんまだ若いし、何度もチャンスあるって」
「ええ、がんばりますとも」
くしゃっとした笑顔が
よく似た二人でいいコンビだと思ったけど
そうか、この人既婚なのか。
妙な安堵とか やっぱり嫉妬とか。
俺がテニスをしていれば
名前の隣にああやって立てなかったとしても
名前のこともっと、わかれたろうか。
試合前のコート脇でガットをそろえながら
肩を寄せて悪い顔で話す二人は
きっとチームとしていいコンビだろう。
俺たちはまだハタチだ。
名前はまだまだ、選手として先が長い。
今回この大会で結果を残したら
この人とは違う若かったり、強かったりする人と
ペアを組むことになるかもしれない。
そんなこと、俺たち二人の関係に
何も関係ないと跳ね除けられるほど
強くなりたい
強くなりたい
俺たちは3年間を近くで過ごして
だけどお互い一番にしていた
テニスのことやバレーボールのことは
そういえばあまり話してこなかったかもしれない。
試合が始まると、名前たちのペアは
緩急をつけたプレイで
がんがん点を重ねていく。
名前はパワーもスピードも抜けていると思っていたけど
男子選手との対戦では
やっぱりそこは負けていて
うまく凌ぎながらチャンスを作る
ミックスダブルスの面白味のようなものは
なんとなくわかる気がした。
そしてその面白味を
誰よりも味わっているのは
中の選手だということは
よく、知っている。
だけど俺がテニスやってみようかなんて言い出すこと
名前は望んでない、それも、よく知っている。
「スガさあ」
「なに?」
「あのさ、けっこう顔に出るんだよ」
「なにが?」
「ケンさんに妬いてたでしょ、かわいいなあ、わたしスガの彼女なんだもんね」
「なに突然、でも名前は、俺とテニスしたいとは思わないだろ」
「さすがよくわかってる。いいじゃん、私は私で頑張るから、スガはスガで頑張ってよ」
「ってもバレーももうサークルでやってるくらいだし、そーだな、就活?」
「そうそう、名前さん寿退職したいし」
「ぐえ、鋭意努力します」
「あ、別にプレッシャーかけるつもりとかじゃないんだけど」
「え、むしろかけてもらった方がいいくらいなんだけど」
「そうなの?ま、心配しなくてもお互いそんなボケてないし」
「でもさあ、面白そうだったね、ミックス」
「わかる?ミックスの練習してから、シングルスでも凌ぎ方がうまくなってきたって褒められるんだよね」
「凌ぐ?名前が?女子相手に?」
「まあそう思うでしょ?私もそう思ってたんだけどさ、やっぱ試合って流れってもんがあってさ、それがわかってちょっとレベルアップした気がするよ」
「あらら、齢二十にしてね、まだまだぐいぐいいきますね」
「うっせえ、ババア扱いすんな」
「国体狙ってんでしょ?楽しみにしてるよ」
「もー!っぷははは、」
「なに!どうした!」
「あたしら結局スポーツバカなんだなあと思って」
「え?名前さんだけでしょ」
「あー、そんなこと言って、麻婆豆腐作ってあげようと思ったのに」
◎進歩?ないね
「ミックス?」
『男女ペアのダブルスのこと。同じスクールの女の子が怪我しちゃって、ピンチヒッター』
「へー、おもしろそうじゃん」
『そうそう、今までになく頭つかってテニスしててねえ、けっこう楽しいよ』
「相棒はどんな人なの?」
『んー…そーだなあ……ああ!はじめちゃんがバレーしてるときとちょっと似てるかも!年はよっつ上で、口数は少ないけど、パワーあるし戦略的で頼りになるかな』
「ふーん」
『…スガあ』
「なに?」
『ね、試合見に来てよね』
「…まいったな、予定空けとく」
『ふふふん、たのしみにしててよね』
青い空によく映える
水色のワンピースを思い出す。
(名前、かっこいいんだよなあ…)
(なんつーか、)
あ、わかった、嫉妬。
(かっこわりー)
名前、名前、
ああ、おかしいなあ。
つい、この夏休みが来るまでの2年くらい
ずっと会ってなくたって平気だったのに。
弱いなあ、薄いなあ、
それに引き換え名前は歪みないなあ。
「あ!スガ!きてくれた!」
「おお、ユニホーム久しぶりだ」
「いつか練習試合見に来てくれて以来でしょ。あ、ペア組んでるケンさん!あ、ケンさん、スガです」
「あ、噂の名前ちゃんの彼氏」
「どうも」
「いやあ今回は助かってるんだ、普段ヨメさんと組んでるんだけど、怪我しちゃってさ。そんでヨメが名前ちゃんに頼もうって言い始めて」
「ほんと、びっくりしましたよ!まあクラブの代表ってことで、今日はよろしくおねがいします」
「こちらこそ、国体選手と組めるなんて光栄だよ」
「それ、去年の話ですしー」
「あ、今年負けたのまだ気にしてんだ」
「そりゃあ!来年は負けないですもん」
「まあ名前ちゃんまだ若いし、何度もチャンスあるって」
「ええ、がんばりますとも」
くしゃっとした笑顔が
よく似た二人でいいコンビだと思ったけど
そうか、この人既婚なのか。
妙な安堵とか やっぱり嫉妬とか。
俺がテニスをしていれば
名前の隣にああやって立てなかったとしても
名前のこともっと、わかれたろうか。
試合前のコート脇でガットをそろえながら
肩を寄せて悪い顔で話す二人は
きっとチームとしていいコンビだろう。
俺たちはまだハタチだ。
名前はまだまだ、選手として先が長い。
今回この大会で結果を残したら
この人とは違う若かったり、強かったりする人と
ペアを組むことになるかもしれない。
そんなこと、俺たち二人の関係に
何も関係ないと跳ね除けられるほど
強くなりたい
強くなりたい
俺たちは3年間を近くで過ごして
だけどお互い一番にしていた
テニスのことやバレーボールのことは
そういえばあまり話してこなかったかもしれない。
試合が始まると、名前たちのペアは
緩急をつけたプレイで
がんがん点を重ねていく。
名前はパワーもスピードも抜けていると思っていたけど
男子選手との対戦では
やっぱりそこは負けていて
うまく凌ぎながらチャンスを作る
ミックスダブルスの面白味のようなものは
なんとなくわかる気がした。
そしてその面白味を
誰よりも味わっているのは
中の選手だということは
よく、知っている。
だけど俺がテニスやってみようかなんて言い出すこと
名前は望んでない、それも、よく知っている。
「スガさあ」
「なに?」
「あのさ、けっこう顔に出るんだよ」
「なにが?」
「ケンさんに妬いてたでしょ、かわいいなあ、わたしスガの彼女なんだもんね」
「なに突然、でも名前は、俺とテニスしたいとは思わないだろ」
「さすがよくわかってる。いいじゃん、私は私で頑張るから、スガはスガで頑張ってよ」
「ってもバレーももうサークルでやってるくらいだし、そーだな、就活?」
「そうそう、名前さん寿退職したいし」
「ぐえ、鋭意努力します」
「あ、別にプレッシャーかけるつもりとかじゃないんだけど」
「え、むしろかけてもらった方がいいくらいなんだけど」
「そうなの?ま、心配しなくてもお互いそんなボケてないし」
「でもさあ、面白そうだったね、ミックス」
「わかる?ミックスの練習してから、シングルスでも凌ぎ方がうまくなってきたって褒められるんだよね」
「凌ぐ?名前が?女子相手に?」
「まあそう思うでしょ?私もそう思ってたんだけどさ、やっぱ試合って流れってもんがあってさ、それがわかってちょっとレベルアップした気がするよ」
「あらら、齢二十にしてね、まだまだぐいぐいいきますね」
「うっせえ、ババア扱いすんな」
「国体狙ってんでしょ?楽しみにしてるよ」
「もー!っぷははは、」
「なに!どうした!」
「あたしら結局スポーツバカなんだなあと思って」
「え?名前さんだけでしょ」
「あー、そんなこと言って、麻婆豆腐作ってあげようと思ったのに」
◎進歩?ないね