誰にもなびかないマネージャー
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今日のところは洗濯物がまだないので、シーツと毛布と枕カバーを宿泊棟の各部屋に配って歩く。食事と風呂の予定を自然の家の職員さんと確認してから体育館に戻ると、ちょうど全体休憩が終わってゲーム形式が始まるところらしい。集まったからのボトルをかごに重ねて流しの足元にどんと置くとあんたさあ、と後ろから声がかかってふりかえる。
「あ、えっと、山王の、」
「今俺の頭見て判別しただろ」
「ぐ、あたりです。海南の原田です。1年です」
「2年の沢北」
「さわきたさん」
そこまで話して、ボトルの蓋をゆるめて中身をゆすぐ手を再開した。いろんなとこから集まっていると言っても人数的には普段とそんなに変わらない。ゲーム形式なら合間合間に飲むだろうからここにあるボトルをいっぱいにしたら今中にあるやつと取り替えに行かなくては。
「他の子は中にいるのになんであんたはいないの?」
「あの2人は経験者でしょ、バスケにも詳しいし」
「たしかにパスだしとかしてたな」
「私はバスケのことはよくわかんないんで。洗濯とかやってるのが好きだし落ち着くんです」
「それで俺のことも知らないんだ」
「えっ、さわきたさん有名人なんですか?あの試合見てたけど桜木くんの怪我が気になってあんまり他のことは、ああでも去年負けたって牧さんが言ってました」
「なんでマネージャーやってんの?」
「なんで?なんでですかねえ、まあ結構性に合ってるんで」
「なんだそれ、変なやつだな」
「失礼な人ですね」
からっぽを水洗いして、ここにスポドリの粉をいれていくのにもずいぶん慣れてきた。まわりに散らさないように気を付けていると、こっちにやってきた沢北さんが私の顔を覗き込む。
「なんですか」
「怒った?」
「怒ってないです、集中してるんでそこどいてください」
「おお、ごめん」
「変なやつなのは自分が一番良くわかってます」
「なんだそれ」
「さーわーきーたー」
「いないと思ったら女子にちょっかいかけてるピョン」
「ミキオくんのお兄さん」
「河田だ」
「かわたさん」
「…ピョンの人」
「えっ、深津さんのことも知らないの?ほんとになんにも見てないんだ」
「ふかつさん」
「おもしろ!すげー名前確かめるじゃん」
「だって人数多いし、山王の人は髪型も一緒じゃないですか」
「あっちの背が高いのが野辺」
「のべさん」
「フォワードのとこにいんのが松本」
「まつもとさん、あ、武藤さんが褒めてた人だ!」
「武藤ってどいつだ」
「あの、ふわんふわんのリーゼントの人です」
「ほお」
「シューティングガードのイチノ」
「いちのさん」
「いちのくら」
「いちのくらさん」
「監督はゴローピョン」
「ゴローピョン」
「ピョンはいい」
「ああ、そうか」
さわきたさん、かわたさん、ふかつさん
のべさん、まつもとさん、いちのくらさん、ゴローピョン
復唱したところでちょうどボトルのキャップを閉め終わる。ふん!と声をあげて重たいかごを持ち上げると3人がおお!と声をあげる。いやそこは持ってくれないんかい、いいけど私の仕事だから。