誰にもなびかないマネージャー
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昼御飯を食べたら解散になるからか、なぜかみんな早起きだ。河田家の砂浜ランに今朝は沢北さんもついてったらしい。今度こそ本当のおわかれなので沢北さんは山王の先輩たちにべったりしている。
「今日は洗濯ないから、掃除あたしたちでやっちゃいましょ。えーと、風呂場とトイレと?」
「それぞれの部屋はこの後やってもらうようにお願いしてるので、ふとんの畳み方のチェックとごみの回収していきましょう。」
「じゃあ晴子ちゃんは体育館行っててくれる?ひとりでいいかしら」
「まかせてください!」
この楽しいやりとりも今日で終わりだ。大きな故障する人もなく、最終日まで来れたのは大きい。水回りの掃除ならお手のものだけどそういえば学校のシャワー室は無事かしらとふと頭をよぎる。
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掃除を終えて体育館にいくと、ミニゲームの真っ最中だ。もう一面では田岡先生と堂本先生がミキオくんに色々言ってるところだ。陵南と言えば2メートルの魚住さんだけど、入学した頃は体力もなくてへたくそだったらしい。とはいってもこんなにもちもちしたミキオくんが魚住さんやゴリさんのようなごつごつ系になった姿は想像しがたい。ノブが奥歯噛み締めながらスーパーサイア人たちにくらいついていくのもなかなかの見物だ。気のせいかもしれないけど深津さんもぴりぴりのきれきれだ、もったいないなあ終わりになっちゃうの。
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お手紙をかきます、と言ってくれたのはミキオくんだった。素晴らしい提案に、おたがいの合宿のしおりに、わたしは自宅の住所、ミキオくんは寮の住所をかいてくれた。えーっおれも!と駆け寄ってきた沢北さんにアメリカいくんでしょ?と言うと、そりゃおまえ、エアメール送ってやる!と言うのでやれるもんならどーぞと同じように住所をかいた。
「なんだなんだおめーら可愛いとこあんじゃねーか!俺も手紙かいてやるからおしえろ!!」
「いやですよ家バレて襲撃されたら困るもん」
「俺は!更正したの!」
「だいたい湘北は冬の予選で会いますからね!首洗って待っててくださいよ」
「そりゃこっちの台詞だ!牧によーく言っとけ!」
「俺がなんだって?」
「ヒィ!」
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退所の挨拶などを済ませて外に集まる。秋田に帰る山王の選手たちとそれぞれに言葉を交わす。河田には弟のことで丁寧に礼を言われた。
「弟と沢北がお前んとこのマネージャーにすっかり懐いちまった」
「3人寄ると可愛らしいな」
「ハッ、おめえほんとバスケしてねーと人が違うな」
「国体で会おうぜ」
「おーよ」
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「美紀男、海南のマネさんといつの間にあんな仲良くなってたの」
「へへへ、卵雑炊作ってもらってからっすぅ~」
「なにそれ、楽しそう」
「同じ一年生がいてよかったっす」
「松本もほら、体臭の謎がとけてよかったじゃん。野辺嗅いだらあの子とおなじにおいするよ」
「やめてくれぇ!」
人の少ない路線バスで、大きな荷物を抱えて乗るのに気兼ねがなくてよかった。海沿いの道をゆっくり進む。黙って外を見つめる深津の表情は、心なしかここへ来る前より柔らかい。
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じゃあ、と言って彩子さんと晴子ちゃんとぎゅうっとハグしてわかれる。彩子お姉さまのおっぱいはすごい弾力だし晴子ちゃんは全体的にちっちゃくて柔らかくてふわふわでどきどきだ。連絡先も教えてもらって近々デートの予定。ごめんね男子のみんな、特に秋田の人たち。
ボトルとタオルは先生が車で運んでくれるので、みんなで歩いてボールを持って帰ったら解散だ。みんなのところに合流する。
「おまえ、それ持てるのか?こっちに寄越せ」
「何をいいますこんくらい!わたしもけっこう力持ちなんですよ!」
パンパンのスポーツバッグに、ボールケースを2本背負って貧弱なちからこぶを披露したわたしを見て先輩たちが笑った。
「お前があんまりよく働くんで、よそのやつに連れてかれるんじゃないかとヒヤヒヤしたんだ。うちにいてもらわないと困るからたまには甘やかしとかないとな、ほら貸せ」
「まきさぁん、そんなのファンクラブの人だったら卒倒しますよ」
「ん、お前がへっちゃらなのもよく知ってる」
「ふふふふ」
ふたつ背負っていたボールケースのうちひとつを牧さん、もうひとつを高砂さんがとっとと取り上げて歩きだしてしまった。
「そんなことしなくたって~徒歩圏内で平和な進学校で制服も可愛くてわたしはちゃんと海南気に入ってますから!!」
「そーゆーことじゃねえ!」
「いたい!むとうさん!反撃!」
まだまだ日差しの照りつける午後の歩道に、6人分の笑い声が響く。角を曲がると学校が見えてきて、わたしはほっと肩の力を抜いた。
(誰にもなびかないマネージャーおしまい)
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