誰にもなびかないマネージャー
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おはよーございますぅ!
元気いっぱい大阪イントネーションの挨拶が食堂いっぱいに響き渡る。起き抜けで食事中のみんなはびくっとしたり、うっとかはっとか声を出したりしている。
「仙道さん!ふくさん!今日は俺カメラ係ゆーんで!張り切ってきましたわ!要チェックや!あっ!かんとくぅ!!!!おはよおございますう!!!」
「ウッ…こっちくるな…」
「えええーー!?あんまりですわー!だいたいマネージャーさん来てはるなら俺やって最初から来たかったですぅ!」
こいつ……神奈川のやつらはため息ついてるし山王はぎょっとしてるよ。よく朝っぱらからこんな声出るな、と顔をしかめながら、近付いてくる彦一におおとかなんとか返事をしていると今度は背後から彦一くんこっちです!とまたでかい声がする。今度は海南の…朝からやるなあ、俺も年かな。
「彦一くん!今日は急なお願いながらありがとうございます!カメラ担当よろしくお願いします!スケジュールなんですけど、」
朝からボリュームマックスの原田に、彦一がわかりました!要チェックや!と合いの手を入れまくる。ぐるんと見回すと、仙道も牧も頭を抱えている。
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「おはようございます、週バスの相田です」
「中村です、よろしくお願いします」
「あっ!相田さん」
自然の家の体育館にやってくると、洗濯物を干していた女の子に声をかけられる。
「えーっと、」
「海南の原田です。今日は人手足りなくて彦一くんにも来てもらってます!昨日田岡先生から姉弟ってきいて、びっくりしてます」
「彦一がお世話になります」
「いいなあ、わたしもこんなかっこいいお姉ちゃんほしいですよ、兄っぽい人なら中にいっぱいいますけどね。先生たちには声かけておきますのでどうぞ。」
「ありがとう、失礼します。」
体育館の中にはいると、近くにいる子達が挨拶をしてくれる。声かけておきます、と言ったあのこは、本当に監督やキャプテンたちに声をかけて回っている。田岡先生、高頭先生、安西先生の神奈川組に、山王の堂本先生。体育館のなかは緊張感がありながらも、会話をしながらいい雰囲気で練習をしている。練習試合のチーム分けをキャプテンたちが相談しているらしかった。
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「まどか」
「ノブ!調子は?」
「ん、悪くねえ。ありがとな」
「珍しいじゃん、わざわざ」
「武藤さんと松本さんがお前のこと話してて」
「なによそれ。今日だいじよ、しっかりいいとこ見せな」
「たりめーだわ」
両腕を伸ばしたら、素直に抱き締めてきたノブのごわごわした髪の毛が久しぶりにくすぐったい。もうすっかり元気らしく、もーちょっと大きいおっぱいならなー、と心底残念そうに漏らしたので思い切り蹴り上げておいた。
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海南大のみなさんに、今日はよろしくお願いしますと頭をさげると、スゲーメンツだな、と返される。
「え?」
「あの山王に、山王に勝った湘北からもきてるだろ。海南はインハイ2位だし、翔陽のフジマも1年の時からみてる」
「さすがですね、OBさんですか」
「そうそう。牧とやんのも楽しみだな。きみは?」
「あ、申し遅れました!海南1年の原田です!湘北からもマネージャーさん来られてます。何かあれば言ってください」
「あれ、マネージャーなかなか続かないんだよなうち。お前は大丈夫そ?」
「わたしは洗濯と掃除の係なので!高頭先生がお小遣いはたいて洗剤買ってくれる限りやめません」
「あれ、ちょっと変なやつだな、こりゃあいい!よかった、牧狙いのギャルとかじゃなくて」
「そんな人のこと殺し屋みたいに言わないでくださいよお!お茶ここに用意してるので、好きに飲んでくださいね、もし空になったら教えてもらえると助かります」
「ん、よろしく」
背後で要チェックやあ!と声が響いて慌てて戻る。最初に出番の山王のみなさんがユニホーム姿でアップをしている。キャンキャンうるさい沢北さんも静かだし、話してみれば穏やかで恥ずかしがり屋の松本さんはぴりりとした空気を身にまとっている。さっすが王者と呼ばれるチームだ。彩子さんはスコア、晴子ちゃんは得点、反対側はノブがめくってる。福田さんの計時に花方さんの審判でばっちしだ、ドリンクも満タンのはずだから取り敢えず洗濯だ。
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洗濯回して、乾いた分をおろして、終わったら干して、合間にドリンクを補充して空いたのを洗ってってじたばたしているうちに、最初の試合は終わってしまったらしい。ミキオくんはお兄さんと野辺さんに手取り足取りされながら反省会、他のみんなも深津さんの周りで話し込んでいる。よっぽど暑いのかみんな上は脱いでて、普段の部室を思い出しながら確かめた、綺麗に並べて置かれたボトルは空で、慌てて手元のかごに入っているのを配る。
「気が利くピョン」
「いえすみません、終わるまでに持ってこようと思ってたんですが。こっち置いとくので足りなければどうぞ、じゃあ…あ、試合は?」
「勝った」
「おお、さすがですね。お疲れ様です」
「原田!」
「はい?…っぶ!」
「わらうなよ!ありがとう!」
「いや笑かしに来てるでしょ!」
セクハラで注意されたもんでかおっぱいを隠したポーズで声をかけてきた沢北さんの絵面が面白すぎて吹き出した。けっこうほんとにアホなんですねと言ったら3年のみなさんはおおきく何度も頷いた。
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「今スゲー笑ってた、可愛い」
「いいやつだなあ」
「沢北口きいてもらえてよかったな」
「ほんとっす……」
「男の裸なんか空気って感じだったな」
「武藤は部室でパンイチって」
「へー」