こまちちゃんと沢北くん
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ほくほくしたいい匂いで目が覚める。昨日は長旅の疲れで風呂にも入らず倒れるように寝たんだった。先に起きて夏が風呂に入っているらしい。人が違うからか、なんでかすごくいい匂いがする。歯磨きをしていると風呂の中からまさしくん?と声がして顔を出すときゃあとかなんとか言って慌てて腕で前を隠そうとしている。
「なんの匂いだべ」
「これねえ、松本先輩がすっごい好きなんだって。いっぱいくれたの、温泉の入浴剤、これは別府」
「別府な。ちょうどいい、俺も入る」
「ん、じゃあ出るからちょっと待っててね」
「んや、すぐ終わるから一緒にはいんべ」
「えっ!?」
「響くから、静かにせ」
とっとと身に付けてるものを洗濯かごに放り込む。本当に俺が裸で入ってきたのをみて、夏は背中を向けてしまった。別府の入浴剤のおかげでいつもの無機質な風呂場が違う場所みたいに思える。
「別府ってほんとにこんな匂いすんのかな」
「ひぇ」
「ちょっと詰めれ」
「ん、」
こっちに背中を向けて小さくなった夏の両脇に脚をのぱす。
「いつぶりだべな」
「えー……保育園のときとか?みきおもいたのは覚えてる」
「おめえの兄貴もいた」
「そうだっけ?中学校さ上がるまではお風呂の時間一緒だったもんねえ」
「なんか、」
「っ、」
「ちっちゃくなったなあ」
「まさしくんが大きくなりすぎなんだべ。でもみきおも大きいしまきちゃんもおっちゃんも大きいべ」
「んだべな」
「どうしよう、わたしは普通のサイズなのに、我が子が2メートルとかになったらいたたまれないなあ、足して2で割ったくらいになんねえかなあ」
「そりゃあまず、ひとり拵えてみてから考えるべ」
「ゲッあっ、ちょ、」
「安心せ、半分冗談だ」
「んぅ」
口まで湯船に沈めてぶくぶくやりだした夏の白くて丸い背中に、なるべく静かに話しかける。
「俺は子どもはほしいべ」
「わたしも、バスケのチームできるくらいほしい」
「それはおめえ、俺を入れても4人要るぞ」
「うん、でもまさしくん、」
「ん」
「1年くらいはふたりでいたいかな。だめ?」
首をちょっと回して、目を合わせてきた夏にくちびるを寄せる。くちゃ、ぴちゃ、と、舌を絡める音や身を捩るときの水音や、小さな音を風呂場のかべが全部拾って、響いてくるのが興奮を加速させる。ぐったりとろとろになった夏を風呂の縁に座らせて体の水分を拭き取る。されるがままを許され、俺は夏を布団にはこんだ。ひんやりしてさらさらの肌触りに、夏は目を細めて丸まった。カーテンは閉めたままでも部屋はすっかり明るいので、隅々まで丸見えだ。
「まさしくん、」
「俺ももうちょっと、2人でいてえ」
「んぅ、ひゃ、」
隅々まで、全部。
隣の部屋から掃除機の音がし始めて、逆もしかり、くらいの頭は回ったらしく、唇を噛み込んで声を鼻から逃がしはじめた。乳房に舌を這わせながらそっと下をなぞると、ぐちゃ、と風呂の水とは明らかに違う音がする。前に触れたのは去年の夏だからもう1年近くたつ。
「えらいべ、よく覚えてたな」
「ひっ、は、」
「今日は入れる」
「ん、」
から、しっかり良くしとかねえとな、指先で届く奥の方をとんとん叩いたり擦ったりしながら、3本目を入れたところでふと、赤い突起に舌を這わす。嬌声こそ喉の奥に飲み込んだらしかったが、快感を全部拾ったからだが大きく反った。
「大丈夫か」
「も、むり、きもちいのむり、やぁ、」
「ん、えれえな」
手の届く押入のすみっこに寝かせておいたコンドームをかぶせて、そのさきっぽを入口に擦る。まさしくん、とすがってきた腕の力が抜けて、俺の手の甲に指の腹を食い込ませる。深呼吸、というと素直に、なるべく長く息を吐こうとするその二回目の吐息のところで、ぐっと腰を進めた。
「まさしくん、」
「夏、どした」
「あったかい」
「ん」
「すきにして、いっぱい、」
「おめえなあ、」
夏の浅い呼吸にあわせて吸い付いてくる中を、ちょっとずつ、ちょっとずつ進んで、根元までおさめて耳許で入った、と言うと口許をへにゃりと緩めた。ここ、と臍の下をすこし押し込むと、ぎゅっとしまる。
「いたくねえか」
「いたくねえ」
「だいじょぶか、」
「わかんない、けど、きもちぃ、んゃ、」
混乱してるらしい夏に、俺もちょっと混乱して、反応のいい奥をがつがつ突き上げる。夏のめんたまからいっぱい涙がこぼれて、悪いことをしているようで、それにまた興奮している自分に呆れつつ、
「…おきてるか?」
「んー…」
「寝るか?」
「うーん」
「おめえ、あんまかわいいと心臓にわりいべ」
「そう、いわれても、」
ぐったりしていた夏は、息の声でゆっくり返事をしかけて、そのまま寝てしまった。
明日から練習に戻ることにしている。夕方くらいにはちょっと走りに出ようか。綿布団にくるまって眠る、妻になった夏を、布団の上から抱き締めて、首筋の匂いを吸い込みながら目を閉じた。
(別府ってほんとにこんな匂いなんだろか)