こまちちゃんと沢北くん
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「こまちちゃんはなんでかわっさんのことあんなに好きそうなんですか」
「なんでもへちまもねえ、他に人がいねえからだべ。俺の弟の美紀男とも仲いいけどな、」
他に人がいねえ、と言っても沢北はぴんときていないらしい。俺んちや夏んちは農家で、かなり広い田んぼをやっている。林の際にひっそりと2軒が並んで、次のとなりの家までは、走って5分くらいかかる。そういうところなので子供は少なくて小学校は複式学級、5対5のバスケットボールなんてのは、俺にとっては夢のまた夢だった。小学校に上がるとトラクターやハーベスタの運転を習ったし、高学年になる頃には草刈り機も使えるようになった。そういう地域だった。
もっと小さい頃は、俺のひいばあちゃんがまだ元気で、田植えや稲刈りで忙しい時期は親族の子供を全部うちで面倒みていた。その中に夏もいた。年の離れた兄や姉は田んぼにでていて、1人でうちに置いていかれて、うちの従兄弟やらなんやらにもみくちゃにされていた。俺はなんだか放っておけなくてのんきな美紀男とまとめて面倒みているうちに、すっかり懐かれてしまい今に至る。そんな話をかいつまんでしたけれど、沢北は首をかしげている。
「で、河田さんとこまちちゃんは結局付き合ってるんですか?」
「えっ?」
「それは………」
首を捻っても何もでてこない。小学生くらいの夏の顔が浮かんできた。まさしくん、と呼ぶ声がすきだ。
「そーゆう話はしたことねえ」
「ええっ!?」
「4歳からずっと、大きくなったらって、そんで小学生、中学生、とうとう高校生になっちまった」
「えーっ!?でも俺ばっさり断られましたけど!絶対河田さんのせいっすウワアー!!ギブギブ!!いててててて!!!」
「河田はこまちちゃんのこと心配してるベシ」
「心配ってのも違う気がするけどよお。俺は今こんなところにいるけどあいつ、田んぼの真ん中で生まれ育って、俺と結婚なんかしてみろ、死ぬまで田んぼの真ん中だべ。あいつもいつか、どっか行きたいとか思うんじゃねえかって、それを待ってる」
「っ~~!河田さんかっけえ~」
「変なやつだベシ」
「じゃあ俺がこまちちゃんのこと、遠くにつれてったら怒りますか」
「人のこと物みてえな言い方すんな。あいつが誰とどこ行くかは、あいつが自分で決められる」
「…愛だなあ」