堂本の妻、高齢出産の巻
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寮の食堂からのびた渡り廊下を歩いて、離れの監督室は2階建て、といっても2階はほぼ物置だ。風呂とトイレはついているが台所は寮のを共用している。俺達が高校生の頃からかわらない。結婚してすぐのころ、監督の話をもらって、頭を下げた俺を見て早苗が仕方ないなあと言ったのを思い出す。寝る支度を整えて、布団の上で頭を下げた俺を見て、今度は早苗は長いため息をついて、そして親戚もさあ、と切り出した。
「結婚した頃は、子供は若いうちに産んだ方がええって言ってたよ。それが五郎が監督になったら五郎さんも大変だろうからねえって。最近はもうね、大きな息子がたくさんいていいわねって。そういうの全部五郎には届いてなかったんだよね。わたしひとりで受け止めてきたんだよね」
「悪かった。必死だったからお前のこと、少しも考えてなかった。悪かった」
15で親元を離れる選手たちの、親代わりを黙って務めてくれていた。泣いているものがいれば温かいお茶をだし、心配して電話をしてくる保護者とも話をしてくれる。毎月米を届けてくれる河田の母親ともすっかり打ち解けている。
「お前に甘えてた」
「うん、知ってる」
「どうしたらいいかな」
「子供は諦めようってはっきり言ってほしい」
「…1年チャンスをくれないか」
「チャンスってあんたまさか、えー、産むのはわたしなんですけど。37で初産とか恥ずかしいじゃん!だいたいもう最後にしたのいつか思い出せないんだけど」
「ぐ…すまない…」
全部のつけが今回ってきている。すっかり縮み上がった俺を見て早苗は鼻で笑ったが、早速、と抱き締めると仕方ないなあと抱き締め返される。