年下男子の仙道くん
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「葉子さん」
「はいよ、おかわり?」
「おねがいします」
「何回目?」
「2回目」
「大盛りでいいの?」
「はぁい」
「よく食べるねぇ」
「葉子さん」
「ん?」
「葉子さん、彼氏います?」
「…いないけど、なによ」
「ううん、女子大生って休みの日何してるのかなあと思って」
「ふふふ、私ね、史跡巡ってるの」
「……しせき?」
「私ね、鎌倉時代がすごい好きなの。それでここの大学にしたのよ、熱心に研究してる先生がいてね。源頼朝ってまじでやばいの、せっかく集まった兄弟みんな殺しちゃうのよ。頼朝が死んでもずっと、血で血を洗う抗争でね、イタリアンマフィアもびっくりよ」
「……それが好きなんですか」
「そうなの。それで休みの日は自転車で、戦のときの首塚とかね。あちこち見に行くのよ」
「すげー、そんな話聞けるとは思わなかった」
「彰くんは?休みの日なにしてんの?」
「俺はもっぱら釣りだな。海が近くて助かりますよ」
「それはいいね」
「じゃ、話戻るけど、いい男はいないの?」
「なによしつこいわねぇ。そりゃいるといえばいるけど?でもまあ先輩たちは大人っぽくて近付きがたいかな」
「年上がすきなんだ」
「そういうわけじゃないけど。時代劇の時代考証の比較をするのが好きな先輩がいてね、中世だと文章記録がなかなか正確なものがなくて、何をどこからとってきてるのか考えると面白いのよ」
「なるほど、そんなの考えたことなかったな。それでその先輩のことがすきなんだ」
「違うってば、尊敬してるの。専門ジャンルのお話をするのが楽しいの」
「強情だな、じゃあ俺が立候補してもいいですか?」
「は?」
「葉子さんの彼氏」
「…は?」
カウンターに頬杖ついて、向かいで皿洗いをしていると、少しだけ見上げられるようになる。首を少し傾けてにっこりされると、くそ、かわいいな。自分の活かし方をわかっている。
「彰くん、モテるでしょ」
「んー、まあね」
「さてはお姉さんをからかって楽しんでるな」
「そんなあ、本気ですよ本気」
「やめてよ、高校生に手ぇ出したら捕まっちゃうよ」
「そうなの?でも彼氏いないって言質とったんで、アプローチはしてもいいですよね」
「やめてよ、なんかいけそうだと思われてるみたいでムカつく!どーせ東京に彼女の1人や2人いるんでしょーが」
「かわいい、怒ってる」
「もう、早く食べて帰って寝なさい!」
「はは、まあ今日はこんくらいにしとこうかな」
これ以上怒らせてもよくない、などとぼやぼや呟きながら、大きな少年はご飯をきれいに平らげた。最後のお客が帰ったので、台所をきれいに片付けて、テーブル席で新聞を読んでいたおじさんに声をかける。
「おつかれさま、もういいよ」
「はーい、おやすみなさい」
「彰くんに懐かれてるねえ」
「もう、聞いてたなら助けてくださいよ!絶対面白がってるでしょあいつ」
「そう?お似合いだと思うけど」
「やだおじさんまで!もう帰ります!」
「はいはい、また明日」