神さんになびかないマネージャー
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「はじめまして!マネージャーの原田まどかです!神さんとお付き合いしています!今日はお招きいただきありがとうございます!これはうちの母からです!」
「は、はじめまして、宗ちゃんの母です!どうぞ上がってください!」
「ブッフ、ちょっと、ふたりともキャラ違いすぎ」
「じんさん!やかましいです!こういうのは最初が肝心なんです!ご挨拶だけはきちんとしなくては!」
「なんでそんな声でかいんだよ」
彼女いるんだ、会いたいなあというと、息子はあっさりいいよ、と返事をした。もう大学生だしもうそういうの、照れたり隠したりする年頃ではないのかも。数日後におそろいの海南ジャージで練習帰りにやってきたのは、元気で素朴な女の子だ。すごい派手とか露出が激しいとかだったらどうしようと思っていたのでひと安心だ。居間で待ち構えていた弟妹にもきちんともう一度名乗ってにこにこしている彼女を横で笑ってる宗ちゃん、かあさんどうすればいいんだい。
「座って座って」
「手を洗わせてもらってもいいですか」
「ああ、宗ちゃん」
「こっちだよ、おいで」
「はあい」
ふたりが外したその瞬間、下の子達と目を合わせる。高3の春佳は小さい声でかわいい、と言った。
「すみませんね、親御さんにまで気を遣わせて」
「いえ、うちのとーさんとかーさんが神さんにべたぼれなので」
「えっ宗ちゃん!聞いてない!」
「ふふ、言ってないからね」
「昨日もうちでマリカーしてました」
「うそ、全然知らなかった」
「なんで言ってないんです?」
「隠してた訳じゃないけど」
「いつから付き合ってるの?」
「いつから?」
「えーと、俺が引退するときだから…」
「去年の……1月?」
「そう、そんくらい」
「えー!?1年以上たってる!全然気付かなかった」
「ねえねえ、どっちが告白したの~」
「うっさい春佳なんでいるんだよ」
「だって宗ちゃんが彼女連れてくるなんて一大イベントだよ!?ねえ、それで?」
「黙ってるってことは宗ちゃんか~ねえねえまどかさんは宗ちゃんのどこがいいの?」
「えっ!どこ?どこか~難しいな~」
「難しいの?ひどくない?」
「強いて言うなら気長なところかな。わたしがぼーっとしてても、ずっと待っててくれるとこ」
「わー、宗ちゃん顔赤い、いいなー!わたしも彼氏ほしい~ドキドキしたい~」
「春佳ちゃんはいくつなんですか?」
「わたし高3です!末っ子の悠ちゃんは中3」
「あら、2人とも受験生だ!」
「げ、痛いとこつかれた」
「わ、ごめんね」
「そーだよそーだよ、まどかちゃん頭いいし教えるの上手いから教えてもらいなよ。悠もそのにらめっこしてるやつ持っておいでよ」
「えっ宗ちゃん彼女使い荒い」
「ほんとのこと言ってるの」
「ほんと?二次関数のグラフ問題なんですけど」
「任せて!できの悪い幼馴染みがいるので!」
「ブッ」
「じんさんさっきからほんと楽しそうですね」
「うん、うちの家族とまどかちゃんの組み合わせ面白いなと思って」
「そう?あ、これね、まかせて!このタイプの問題はやり方が決まってるんです、まずは交点の座標なんだけど」
鉛筆を握って説明しはじめたまどかちゃんの手元をふたりが覗き込む。こうなっちゃうと俺は暇なので、まどかママが持たせてくれた美味しいクッキーの包み紙をびりびりに破る。
「えっ!?そんな簡単に交点でるの!?」
「うん、これは比較的簡単かな。二次関数と一時関数の組み合わせでも行けるはず、あーほらこっちの問題」
「えっこれ?ここイコールでいいの?」
「そうそう賢い!飲み込み早いねえ」
「わー!なんかできる気がする!」
「待って、わたし化学見てほしい、モルんとこ」
「いいけど御宅のお兄さん理学部なのにわたしでいいの?」
「宗ちゃん教えるのへたくそだもーん」