あこがれの武藤先輩
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「なんかいー匂いさせてんな!」
今年最後の調理実習、カップケーキを作り終わってタッパの中をほくほくにさせてエプロン姿のままで歩いていると、嬉しそうに近寄ってきた武藤先輩がまどかの肩を抱く。
「なあ、何個持ってるの」
「生憎行き先は全部決まってますけどよっつ持ってます」
「えーっ!かわいくねーやつ!誰が食べるんだよー」
「わたしとわたしとわたしとわたしです」
「はっ!?」
指を一本ずつ折り曲げながら、要は自分で全部食べると宣言したまどかに、武藤先輩はこの世のおわりみたいな顔をしてわたしたちの顔を見る。
「おまえよお……」
「そんなにカップケーキ欲しかったんですか?」
「ちっが…違わないけどお前、俺はともかくせめて神にはいっこやれよ………」
「んー、練習おわりまで残ってたら考えます」
「うんうん、お前はそういうやつよ」
じゃーな、とまどかの髪の毛をわしわしまぜくった武藤先輩を呼び止めて、急いでタッパのふたを開けて差し出すと、武藤先輩は少し体を傾けてわたしと目を合わせた。
「くれんの」
「は、い」
サンキュー、と言ってタッパの中身に手を伸ばす。取り出した1個をそのまま口に運んでかじると、うまい、と言った。大きな手のひらが伸びてきて、まどかにやるのと違う、優しい触り方で撫でられてもうわたしは武藤先輩の顔も見れない。
「大事に食べるわ」
武藤先輩がいなくなると、わたしたちの様子をじっと見ていたらしい2人がフェードインしてくる。
「仲良くなってる」
「いや、あの、」
「わたしナイスアシストじゃん?」
「あんたのは食い意地じゃん」
「だってわたしが作ったんだし」
「そーじゃなくて」
「ねえねえ、放課後もう一個あげたらいいじゃん、預かろうか?」
「はあ!?自分で行きなさいよ」
「まどかが渡してくれるなら……」
(神くんはちゃんともらえました)