神さんになびかないマネージャー
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(牽制されないモブ)
「大事をとるに越したことはないと思う」
「それはもちろんなんだけど、モチベーションが無くなったらそれこそリハビリする意味なくない?」
「まあそうなんだけどさあ……堂々巡りだなあ」
「難しいねえ。日常的な違和感なら早期発見できなくもないけど部活顧問はプロじゃないし、接触とかの怪我は予想できないしねえ」
2人1組でリハビリのプランを検討する演習で、原田と組むのは今回で3回目だった。高校からバスケ部のマネージャーを務めているとあって、でも…と切り出すときのリアリティーがすごい。高齢者を想定するのと中高生を想定するのとで話が変わってきたりするのもむずかしい。その日もそのまま2人で食堂に歩いていって、あーでもこーでもないと話しながら注文をして席に着く。原田はあっさりさっぱりした性格で、よく気がつくしこちらの顔色など少しも気にせずストレートに意見を伝えてくるので俺の方も素直に話せて寧ろ心地よく感じる。他の女の子達と違って見かけにこだわりも感じない。化粧っけもないし伸ばしっぱなしの髪の毛を耳くらいの高さでわしわしとひとつに結んでいる、まるっと顕になってるみみにも、流行りの飾りのひとつもついてない。すっきりしてる。さっぱりしてる。カレーを口いっぱいに頬張りながらさっきの講義のレジュメとにらめっこしている原田はもう俺が隣にいることを忘れている気すらする。
うーっと唸って水を飲んだ原田は、入り口の方を見て大声をだした。
「じんさーん!おつかれさまでーす!!」
「まどかちゃん」
色白で長身のその人は、名前を呼ばれてゆっくりこっちに向かってきた。きっとバスケ部の先輩だ。
「もー、なんか勉強してるみたいだったからそっとしておいたのに」
「え、そんな気遣いする人でしたっけ」
「こら、聞き捨てならない」
「いったー」
「ほら、急にでかい声だすから友達ドン引きしてるよ。ごめんねうちのマネージャーが、お世話になっております」
「いっ!いえ!こちらこそお世話になっております!」
「いやそんなお世話してないってば」
急に話題を振られておれは面食らった。ちゃんと勉強やんなよとか、夕練出るかとかいくつか口を聞いて、先輩は手をふっていってしまった。
「すげー仲いいね」
「うん、いちばん仲良しの先輩」
「へー、もしかして好きなんだ」
「もしかしなくても、付き合ってるからね一応」
「えっ!?」
「じんさんね、わたしのこと大好きでいてくれるの。でもまあ半分くらいは、お兄ちゃんってかんじかな」
「なるほどぉ?」
じんさん、と呼ばれたその先輩は、匂わせもせず、殺気も出さず、にっこり笑ってお世話になっておりますと言った。牽制もされない。逆に怖いじゃねーかよどんな自信だよ。
「お前も好きなんだな」
「んー…なんてゆーか、長く待たせちゃったけど、でももうずっと一緒がいい。それってすごく好きってことじゃない?」
なるほどな。こんな風にかわいく笑うのかと、こんな形で知っちゃうのか。ボールがとんでこないんだから、俺はもう大人しく見守る係に徹しよう。
(おわり)
「大事をとるに越したことはないと思う」
「それはもちろんなんだけど、モチベーションが無くなったらそれこそリハビリする意味なくない?」
「まあそうなんだけどさあ……堂々巡りだなあ」
「難しいねえ。日常的な違和感なら早期発見できなくもないけど部活顧問はプロじゃないし、接触とかの怪我は予想できないしねえ」
2人1組でリハビリのプランを検討する演習で、原田と組むのは今回で3回目だった。高校からバスケ部のマネージャーを務めているとあって、でも…と切り出すときのリアリティーがすごい。高齢者を想定するのと中高生を想定するのとで話が変わってきたりするのもむずかしい。その日もそのまま2人で食堂に歩いていって、あーでもこーでもないと話しながら注文をして席に着く。原田はあっさりさっぱりした性格で、よく気がつくしこちらの顔色など少しも気にせずストレートに意見を伝えてくるので俺の方も素直に話せて寧ろ心地よく感じる。他の女の子達と違って見かけにこだわりも感じない。化粧っけもないし伸ばしっぱなしの髪の毛を耳くらいの高さでわしわしとひとつに結んでいる、まるっと顕になってるみみにも、流行りの飾りのひとつもついてない。すっきりしてる。さっぱりしてる。カレーを口いっぱいに頬張りながらさっきの講義のレジュメとにらめっこしている原田はもう俺が隣にいることを忘れている気すらする。
うーっと唸って水を飲んだ原田は、入り口の方を見て大声をだした。
「じんさーん!おつかれさまでーす!!」
「まどかちゃん」
色白で長身のその人は、名前を呼ばれてゆっくりこっちに向かってきた。きっとバスケ部の先輩だ。
「もー、なんか勉強してるみたいだったからそっとしておいたのに」
「え、そんな気遣いする人でしたっけ」
「こら、聞き捨てならない」
「いったー」
「ほら、急にでかい声だすから友達ドン引きしてるよ。ごめんねうちのマネージャーが、お世話になっております」
「いっ!いえ!こちらこそお世話になっております!」
「いやそんなお世話してないってば」
急に話題を振られておれは面食らった。ちゃんと勉強やんなよとか、夕練出るかとかいくつか口を聞いて、先輩は手をふっていってしまった。
「すげー仲いいね」
「うん、いちばん仲良しの先輩」
「へー、もしかして好きなんだ」
「もしかしなくても、付き合ってるからね一応」
「えっ!?」
「じんさんね、わたしのこと大好きでいてくれるの。でもまあ半分くらいは、お兄ちゃんってかんじかな」
「なるほどぉ?」
じんさん、と呼ばれたその先輩は、匂わせもせず、殺気も出さず、にっこり笑ってお世話になっておりますと言った。牽制もされない。逆に怖いじゃねーかよどんな自信だよ。
「お前も好きなんだな」
「んー…なんてゆーか、長く待たせちゃったけど、でももうずっと一緒がいい。それってすごく好きってことじゃない?」
なるほどな。こんな風にかわいく笑うのかと、こんな形で知っちゃうのか。ボールがとんでこないんだから、俺はもう大人しく見守る係に徹しよう。
(おわり)