神さんになびかないマネージャー
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昼休み、お弁当のあと本を読んでいたら教室がざわっとしたけど、どうせ関係なかろうと顔をあげずにいたら、目の前にでかい影がたちはだかる。
「うわあ、牧さんだ」
「おう、ちょっといいか」
「はい?」
「試合のことで相談だ」
「私に相談してどーするんですか」
「まあ付き合え」
廊下に連れ出されると、角度的に逆光になる。牧さん、より一層黒くて、そして歯が目立つ。笑わないようにそとを見ると、牧さんも同じようにそとを見る。
「マネージャーがベンチに入れるんだ」
「はあ」
「選手の人数とは別枠だ。今、中間テストが終わったあとのインターハイ予選のエントリーを先生と相談してるんだが、座ってみないか」
「座るんですか」
「そうだ」
うーん、と首を捻る。二つ返事を予想していたのか、牧さんも首を捻る。
「わたし、今まで掃除ばっかやってるんで、バスケのルールもわからないしですね、ほら、いわゆる、お疲れさま!はいタオル!みたいなキャラでもないので困るんですが」
「なるほど、言われてみれば確かにそうだな」
「牧さんってけっこうおもしろいですよね」
「週末練習試合があるんだけど、来れそうだったらスコアブックつけるの練習してみるか」
「スコアブック」
「うん。それならベンチにいる口実として十分だろ」
「牧さんはわたしをベンチに座らせたいんですか」
「まあ上で見ててもらってもいいんだけどな。練習の間ずっとよそで仕事してくれてるし、バスケが面白いって思ってもらういい機会かと思って」
わたしは牧さんの顔を見た。頬を指でぼりっとして、ちらちらこっちの様子をうかがっている。なんか高校生みたいだ。
「わかりました。じゃあスコアの付け方覚えるんで、本とかあれば貸してください」
「そうか?部室にあるから練習のときに渡す」
「はい」
「よかった、先生にも伝えておく。ありがとうな」
「いえ」
じゃあ、と言って歩いていく牧さんの後ろ姿をちらっとみると、なんだか軽やかで機嫌良さげだ。案外かわいい?