神さんになびかないマネージャー
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(高砂さんとマネージャー)
大学生になってもまどかちゃんの、あんまりバスケに興味ないスタイルは変わりなく、むしろマミ先輩がいることによって、遠慮なく掃除や洗濯などに勤しむスタイルに磨きがかかっている。そんなまどかちゃんが珍しく、誰かをみている、誰かを、
「高砂さん」
たかさごさん、と小さいけどはっきりした声で言った。口元に手を当てるまどかちゃんに合わせて高砂さんが大きな体を横に傾けると、まどかちゃんに押し出されるように2人で体育館から出ていった。30分するころに戻ってきた高砂さんは牧さんに一声かけてたぶん帰っていった。洗濯機が止まる音がして、まどかちゃんが走っていく。ここまで全部横目で確認したおれ、ちょっとどうかと思う。
ーーーーーーーーー
ちがってたらすみません、と前置きして声をかけてきた原田の口元に合わせて体を傾ける。
「なんか走り方変です、痛めてませんか」
めったなことでは練習中に声かけてきたりしないマネージャーの、あんまりにも簡単な問いに、俺は思わず正直に頷いてしまった。誰にもばれてないと思ったのにとんだ伏兵だ。軒下に押し出されて、ならんで座り込む。
「痛いってほどじゃない」
「どこですか」
「右のふくらはぎの、外側」
「じっとしてると平気ですか」
「うん、何も感じない」
「ちょっと仰向けに、脚触りますよ。違和感出てくるとこで教えて下さい」
仰向けがすんだらうつ伏せに。聞かれたことに素直に答えると、マネージャーは紙にペンを走らせる。
「よし、じゃあ冷やしましょう」
氷嚢と飲み物を俺に手渡すと、なぜかマネージャーも俺のとなりに腰を下ろす。近い近い、肩が当たりそうだって。いちど懐にいれた人間にたいしては、パーソナルスペースが少ないタイプだと、ずいぶん前から知っていた。神が頭を抱えているのはわかってるので、それとなく距離を取るようにしているけどこうなったら不可抗力だ。
「なんか、元気なくないです?」
「…元気だぞ」
「なんかありましたっけ」
「……また赤木に、してやられた」
「ああ、でも、勝ちましたよ」
「わかってる、でもセンターが弱いって言われるのはな。今に始まったことじゃないけど」
「あー、ほんとね、跳び蹴りしてやろうかと思いましたよ」
「やめろよ物騒だな」
「ショーホクの人ですよね、赤木さん」
「そうそう」
「赤木さんは試合でみたのはあの年だけでしたけど、ショーホクって治安悪いじゃないですかあ、柄悪いけどパワーあるみたいな。だからあの人も力出てたんじゃないですかね。高校のときの方がなんか、迫力あった気がします」
「よく見てるな」
「なんとなくですよ」
「悪いな、気を遣わせて」
「なんでです?いやだって仮に赤木さんの方が高砂さんよりいい選手だったとしてですよ?牧さんと赤木さん同じチームってきつくないです?キャラ的にも絵柄的にも大渋滞ですよ」
「それは、考えたこともなかったな」
絵柄とかなんとか面白いことを真顔で捲し立てて、でしょ?そうでしょ?という顔で覗き込んでくるのがあんまり面白くて吹き出した。
「なに笑ってるんですか!もう!本気!本気ですからね!バランスってもんがあるでしょうがよ」
「わかったわかった」
「なんでわたしがあしらわれてるんですか」
「あしらってない、元気出た」
「神さんの年もノブの年もめちゃ強かったんですよ、淡々としてて」
「うん」
「でもわたしは3年の先輩がいる方が楽しいです。これは個人的な感想ですけど。高砂さんも、みんなですけど、顔見たら安心します」
「お前なあ、誰にでもそういうこと言うもんじゃない」
「神さんのことですか?それとこれとは別の話なんで」
「わかってるよ、よそのやつには気を付けろってことだ」
「ねえそれ、みんな言いますよね、牧さんも武藤さんもさあ…あれ?なんの話でしたっけ?あ!そうそう!脚、どうします?冷やして休めば平気な気もするけど、安心のためには病院に、」
「ああ、そうする。その紙持ってっていいか」
「もちろん!」
さっさと立ち上がって、わざとらしく大げさに立てますか?と言った原田の手は借りないで立ち上がると、小さめの頭をぽんと撫でた。
(おわり)
たかさご、お前が気になる。もっと偉そうにしてていいんだぞ。海南は淡々とつよい。
大学生になってもまどかちゃんの、あんまりバスケに興味ないスタイルは変わりなく、むしろマミ先輩がいることによって、遠慮なく掃除や洗濯などに勤しむスタイルに磨きがかかっている。そんなまどかちゃんが珍しく、誰かをみている、誰かを、
「高砂さん」
たかさごさん、と小さいけどはっきりした声で言った。口元に手を当てるまどかちゃんに合わせて高砂さんが大きな体を横に傾けると、まどかちゃんに押し出されるように2人で体育館から出ていった。30分するころに戻ってきた高砂さんは牧さんに一声かけてたぶん帰っていった。洗濯機が止まる音がして、まどかちゃんが走っていく。ここまで全部横目で確認したおれ、ちょっとどうかと思う。
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ちがってたらすみません、と前置きして声をかけてきた原田の口元に合わせて体を傾ける。
「なんか走り方変です、痛めてませんか」
めったなことでは練習中に声かけてきたりしないマネージャーの、あんまりにも簡単な問いに、俺は思わず正直に頷いてしまった。誰にもばれてないと思ったのにとんだ伏兵だ。軒下に押し出されて、ならんで座り込む。
「痛いってほどじゃない」
「どこですか」
「右のふくらはぎの、外側」
「じっとしてると平気ですか」
「うん、何も感じない」
「ちょっと仰向けに、脚触りますよ。違和感出てくるとこで教えて下さい」
仰向けがすんだらうつ伏せに。聞かれたことに素直に答えると、マネージャーは紙にペンを走らせる。
「よし、じゃあ冷やしましょう」
氷嚢と飲み物を俺に手渡すと、なぜかマネージャーも俺のとなりに腰を下ろす。近い近い、肩が当たりそうだって。いちど懐にいれた人間にたいしては、パーソナルスペースが少ないタイプだと、ずいぶん前から知っていた。神が頭を抱えているのはわかってるので、それとなく距離を取るようにしているけどこうなったら不可抗力だ。
「なんか、元気なくないです?」
「…元気だぞ」
「なんかありましたっけ」
「……また赤木に、してやられた」
「ああ、でも、勝ちましたよ」
「わかってる、でもセンターが弱いって言われるのはな。今に始まったことじゃないけど」
「あー、ほんとね、跳び蹴りしてやろうかと思いましたよ」
「やめろよ物騒だな」
「ショーホクの人ですよね、赤木さん」
「そうそう」
「赤木さんは試合でみたのはあの年だけでしたけど、ショーホクって治安悪いじゃないですかあ、柄悪いけどパワーあるみたいな。だからあの人も力出てたんじゃないですかね。高校のときの方がなんか、迫力あった気がします」
「よく見てるな」
「なんとなくですよ」
「悪いな、気を遣わせて」
「なんでです?いやだって仮に赤木さんの方が高砂さんよりいい選手だったとしてですよ?牧さんと赤木さん同じチームってきつくないです?キャラ的にも絵柄的にも大渋滞ですよ」
「それは、考えたこともなかったな」
絵柄とかなんとか面白いことを真顔で捲し立てて、でしょ?そうでしょ?という顔で覗き込んでくるのがあんまり面白くて吹き出した。
「なに笑ってるんですか!もう!本気!本気ですからね!バランスってもんがあるでしょうがよ」
「わかったわかった」
「なんでわたしがあしらわれてるんですか」
「あしらってない、元気出た」
「神さんの年もノブの年もめちゃ強かったんですよ、淡々としてて」
「うん」
「でもわたしは3年の先輩がいる方が楽しいです。これは個人的な感想ですけど。高砂さんも、みんなですけど、顔見たら安心します」
「お前なあ、誰にでもそういうこと言うもんじゃない」
「神さんのことですか?それとこれとは別の話なんで」
「わかってるよ、よそのやつには気を付けろってことだ」
「ねえそれ、みんな言いますよね、牧さんも武藤さんもさあ…あれ?なんの話でしたっけ?あ!そうそう!脚、どうします?冷やして休めば平気な気もするけど、安心のためには病院に、」
「ああ、そうする。その紙持ってっていいか」
「もちろん!」
さっさと立ち上がって、わざとらしく大げさに立てますか?と言った原田の手は借りないで立ち上がると、小さめの頭をぽんと撫でた。
(おわり)
たかさご、お前が気になる。もっと偉そうにしてていいんだぞ。海南は淡々とつよい。