神さんになびかないマネージャー
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(妻、体育館へ)
「まどかさんだ」
「へ?」
フッキーに言われて顔をあげたのと、信長がてめー何しにきやがった!と喧嘩売りに行ったのがほぼ同時。仕事着のスクラブで体育館に元気いっぱいあらわれたのはまごうことなき俺の奥さんである。聞いてないよ。
「仕事よ仕事」
「は?」
「橋下さん今日からこっちでしょ。城田さんの経過も確かめに。あ!じんさーん!おーい!」
のんきに手を振ってくるまどかちゃんに、軽く手を振りかえす。注目を浴びて顔に熱が集まってくるのがわかる。ほう、れん、そうがかなり欠如していると思うよ。
うちのチームがお世話になっている整形外科の田村先生はスポーツ医療、リハビリの世界ではかなり有名な人で、うちのチームどころか日本代表に帯同したりする人だった。まどかちゃんの話を持ちかけたとき、まさか直接先生と働くことになるとは思ってなかったけど、ジーパンに白いシャツで試合会場に現れた彼女の雰囲気を一目見て気に入ったらしい。2人が少し話をしたあと、よし、こっちきたらうちで働いてよと言われてしまい、何度も聞き返した。
「人手たりないんだよ。新米とはいえマネージャーの経験もあるし、神くんの紹介だし、地に足ついてるしいいと思う。うちで育てる」
はっきり言いきった先生の言葉に、彼女の目が輝くのがわかった。わかる人にはわかるんだと、俺もちょっとじーんとした。そういうわけで3年ばかり理学療法士として働いたまどかちゃんは、しっかり田村先生の信頼をえてこうしてここにやってきてるわけだ。全体練習のメニューをコーチと確認し始めたその視界には俺も信長もいなくなっている。こういうところを好きになったんだよなって、初心を思い出しながらストレッチを再開した。
「神、今日聞いてなかったのか?」
靭帯損傷から復帰した橋下さんに声をかけられる。練習の間中、こまかに痛みや可動域を確認して、ゲーム形式は休んでストレッチをしていた。ゲームは週末先生に見てもらってからにして、と念押しされたらしい。お前の奥さんしっかりしてんなあ、と肩を叩かれる。
「びっくりしましたよ、何も言ってなかったんで」
「田村先生に気に入られるのもなんかわかるわ」
「それは、俺も」
「いつから付き合ってるんだ?」
「えー、俺が高校卒業する前だから、8年?とかですかね、わー、いつの間にけっこうたってる」
「卒業するまで待つってゆーのがお前っぽいな」
「いや違うんですよ、うちの子あんまりにも鈍くて」
話すと長くなりますよ、とおどけてその場をやり過ごす。さっさと着替えて体育館の出口に向かうと、座り込んでフッキーと喋っているまどかちゃんの後ろ姿をみつけた。こっちに来てからすっかり打ち解けてるこの不思議なコンビが俺はけっこう好きだったりする。
「おそいですよ、ふっきーさんがおいしいご飯食べれる喫茶店見つけたんだって!」
「俺、ピラフ」
「はいはい、ほら行くよ」
全日本に選ばれた報告と日程をおしらせしたら、私も先生の助手でついていきまーす!と言われて頭抱えるのはもうちょっと先のはなし。
(おわり)
「まどかさんだ」
「へ?」
フッキーに言われて顔をあげたのと、信長がてめー何しにきやがった!と喧嘩売りに行ったのがほぼ同時。仕事着のスクラブで体育館に元気いっぱいあらわれたのはまごうことなき俺の奥さんである。聞いてないよ。
「仕事よ仕事」
「は?」
「橋下さん今日からこっちでしょ。城田さんの経過も確かめに。あ!じんさーん!おーい!」
のんきに手を振ってくるまどかちゃんに、軽く手を振りかえす。注目を浴びて顔に熱が集まってくるのがわかる。ほう、れん、そうがかなり欠如していると思うよ。
うちのチームがお世話になっている整形外科の田村先生はスポーツ医療、リハビリの世界ではかなり有名な人で、うちのチームどころか日本代表に帯同したりする人だった。まどかちゃんの話を持ちかけたとき、まさか直接先生と働くことになるとは思ってなかったけど、ジーパンに白いシャツで試合会場に現れた彼女の雰囲気を一目見て気に入ったらしい。2人が少し話をしたあと、よし、こっちきたらうちで働いてよと言われてしまい、何度も聞き返した。
「人手たりないんだよ。新米とはいえマネージャーの経験もあるし、神くんの紹介だし、地に足ついてるしいいと思う。うちで育てる」
はっきり言いきった先生の言葉に、彼女の目が輝くのがわかった。わかる人にはわかるんだと、俺もちょっとじーんとした。そういうわけで3年ばかり理学療法士として働いたまどかちゃんは、しっかり田村先生の信頼をえてこうしてここにやってきてるわけだ。全体練習のメニューをコーチと確認し始めたその視界には俺も信長もいなくなっている。こういうところを好きになったんだよなって、初心を思い出しながらストレッチを再開した。
「神、今日聞いてなかったのか?」
靭帯損傷から復帰した橋下さんに声をかけられる。練習の間中、こまかに痛みや可動域を確認して、ゲーム形式は休んでストレッチをしていた。ゲームは週末先生に見てもらってからにして、と念押しされたらしい。お前の奥さんしっかりしてんなあ、と肩を叩かれる。
「びっくりしましたよ、何も言ってなかったんで」
「田村先生に気に入られるのもなんかわかるわ」
「それは、俺も」
「いつから付き合ってるんだ?」
「えー、俺が高校卒業する前だから、8年?とかですかね、わー、いつの間にけっこうたってる」
「卒業するまで待つってゆーのがお前っぽいな」
「いや違うんですよ、うちの子あんまりにも鈍くて」
話すと長くなりますよ、とおどけてその場をやり過ごす。さっさと着替えて体育館の出口に向かうと、座り込んでフッキーと喋っているまどかちゃんの後ろ姿をみつけた。こっちに来てからすっかり打ち解けてるこの不思議なコンビが俺はけっこう好きだったりする。
「おそいですよ、ふっきーさんがおいしいご飯食べれる喫茶店見つけたんだって!」
「俺、ピラフ」
「はいはい、ほら行くよ」
全日本に選ばれた報告と日程をおしらせしたら、私も先生の助手でついていきまーす!と言われて頭抱えるのはもうちょっと先のはなし。
(おわり)