クラスメイトの牧くん
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(牧くんの試合を見に行く)
冬は東京、と言われて楽しみにしていたその日がやってきた。学校の人がいるかもしれないので、三つ編みに、でも地味めの私服で。会場にはいると長身で揃いのジャージを着た集団がたくさんですごく場違いに感じる。2階席に行くといいと牧くんが言っていたので、入ってすぐの会場図とにらめっこする。
「あっ、こんにちは」
「あっ、マネージャーの、」
「原田です、先輩。牧さんの応援でしょ?ゴールの近くがいいと思います、連れていきましょうか」
「できれば学校の人のいないとこがいいんだけど」
「じゃあ反対側ですね、こっち」
「ありがとう、ねえ、牧くんがなにか言ってた?」
「えっ、なにも言ってませんけど、でも牧さんたぶん先輩のこと好きですよね。あ、誰にも言ってませんよ」
うん、それはあたりなんだけど。
早足で階段を上りきると、前の試合の後半の途中だった。
「牧さん気合い入ってるんで、ゴールの近くがいいと思います」
「ふ、ありがと」
「いえ、じゃあ」
しばらくすると試合がおわり、海南と対戦相手がフロアに出てくる。牧くんはもう、肩から湯気が上っているのではというほどの殺気を放っている。スタメンの五人が出てきてセンターサークルのまわりに広がる。3年の武藤くんに高砂くん。2年の神くんはマネージャーに片想い中というのは牧くん情報。1年の清田くんはマネージャーの幼馴染み、なるほど。あの子は高頭先生の横にちんまり座ってノートを広げた。ゴールの近くがいいと思います、というあの子の言葉を、試合開始早々に思い知る。高砂くんが競り勝って、清田くんがドリブルで切り込む。相手のブロックを受けたルーズボールを、牧くんがリングに叩き込んだ。これはすごい、どきどきする。
牧くんは身長こそ抜群に高い方ではないけど、筋肉のついたがっちりした体で押しまくっている。切り込むにもパスを出すにも優位を感じる。なるほど、サーフィンで鍛えた体がここで役立つのか。
「どらぁ!」
「清田いくぞ上がれ!」
「撃て!」
いつもよりかなり乱暴な物言いさえ、わたしを驚かせるいいギャップに思える。ピアノを弾き終えて振り返ると目が合う、そのやさしい眼差しとはまったく別物だ。
圧勝で終わった試合のあと、原田さんがそっと牧くんに耳打ちした。こちらのスタンドに目を泳がせた牧くんと目が合うと、牧くんは目元を緩めた。ずるい、そんなの。かっこいいよ、もっと好きになっちゃった。
(おわり)
冬は東京、と言われて楽しみにしていたその日がやってきた。学校の人がいるかもしれないので、三つ編みに、でも地味めの私服で。会場にはいると長身で揃いのジャージを着た集団がたくさんですごく場違いに感じる。2階席に行くといいと牧くんが言っていたので、入ってすぐの会場図とにらめっこする。
「あっ、こんにちは」
「あっ、マネージャーの、」
「原田です、先輩。牧さんの応援でしょ?ゴールの近くがいいと思います、連れていきましょうか」
「できれば学校の人のいないとこがいいんだけど」
「じゃあ反対側ですね、こっち」
「ありがとう、ねえ、牧くんがなにか言ってた?」
「えっ、なにも言ってませんけど、でも牧さんたぶん先輩のこと好きですよね。あ、誰にも言ってませんよ」
うん、それはあたりなんだけど。
早足で階段を上りきると、前の試合の後半の途中だった。
「牧さん気合い入ってるんで、ゴールの近くがいいと思います」
「ふ、ありがと」
「いえ、じゃあ」
しばらくすると試合がおわり、海南と対戦相手がフロアに出てくる。牧くんはもう、肩から湯気が上っているのではというほどの殺気を放っている。スタメンの五人が出てきてセンターサークルのまわりに広がる。3年の武藤くんに高砂くん。2年の神くんはマネージャーに片想い中というのは牧くん情報。1年の清田くんはマネージャーの幼馴染み、なるほど。あの子は高頭先生の横にちんまり座ってノートを広げた。ゴールの近くがいいと思います、というあの子の言葉を、試合開始早々に思い知る。高砂くんが競り勝って、清田くんがドリブルで切り込む。相手のブロックを受けたルーズボールを、牧くんがリングに叩き込んだ。これはすごい、どきどきする。
牧くんは身長こそ抜群に高い方ではないけど、筋肉のついたがっちりした体で押しまくっている。切り込むにもパスを出すにも優位を感じる。なるほど、サーフィンで鍛えた体がここで役立つのか。
「どらぁ!」
「清田いくぞ上がれ!」
「撃て!」
いつもよりかなり乱暴な物言いさえ、わたしを驚かせるいいギャップに思える。ピアノを弾き終えて振り返ると目が合う、そのやさしい眼差しとはまったく別物だ。
圧勝で終わった試合のあと、原田さんがそっと牧くんに耳打ちした。こちらのスタンドに目を泳がせた牧くんと目が合うと、牧くんは目元を緩めた。ずるい、そんなの。かっこいいよ、もっと好きになっちゃった。
(おわり)