神さんになびかないマネージャー
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「バスケ部のマネージャーになったってどの子よ」
2年生らしい女子の先輩が教室の入り口で呼んでいるので、はい?と立ち上がった。
「わたしのことですかね、洗濯の助っ人として呼ばれたんですけど」
「ちょっと話さない?」
「まだ一週間しか部活に行ってないのにどうしてご存知なんですか?お耳がはやいですね」
「なにそれ嫌味?ねえ、誰狙いなの?練習中は牧先輩と話してたじゃない」
「あ、見にこられてたんですか?牧さんはキャプテンなんで、なんでも牧さんに聞くのが手っ取り早いんです」
「ふーん。一応私たちのこと伝えておこうかと思って」
「わたしたち?」
「牧先輩のね、ファンクラブ。抜け駆けは禁止なの」
「ファン、クラブ…?まきさんの…?」
「なによ、笑ったわね」
「いやあさすがに…おじさんすぎませんか…」
「お、大人の色気って言いなさいよ…なによあんた、それで結局なにが狙いよ」
「狙い?わたしそんな、殺し屋とかじゃないんですけど」
「部員と付き合いたくてマネージャーになったんじゃなくて?」
「えっ、あの臭さでさすがに付き合いたいとは思いませんねえ。先輩も一緒にお洗濯しませんか?牧さんのにおい嗅ぎ放題ですよ?」
「うっ、それは、」
「もういいですか?わたしのことバスケ部に引っ張りこんだのは、同じクラスの清田信長です。前のマネージャーがやめてしまったってんで、頼まれて行ってるんです」
「もーいいわ、なんかあんたとは話しても無駄って感じ」
「はあ…あの、いつでも取り次ぐので」
あの人結局なにが言いたかったんだろう。教室に戻ると不思議そうな顔のノブと目が合う。
「だれ?知り合い?」
「なんか牧さんのファンクラブ?入会はしなかったけど」
「は?!なんだそれ、ファンクラブかーっ!さすが牧さんだぜ、かっけーっ!!」
「心配しなくてもあんたのファンクラブは最後までできないさ」
「てめーそんなことまだわかんねーだろ!インターハイの予選で大活躍してキャーキャー言われてやるわ!」
「あんたのそーゆー心底アホなとこ嫌いじゃないよ」
うん、わたしの心配とかはないのかな。まあ別にいいけど。午後の授業で教室にやってきた高頭先生から、そういえばお前入部届けは?と言われて、それをかばんにしまいっぱなしだったことを思い出す。
「また逃げられるのかとハラハラしたわい」
「はは、だいぶん部室の匂いも薄くなってきたところですからね。最後までシャワー室にカビを生やさずに引退してやりますよ」
「牧が入部したときより心強いな」
先生と、わっはっは、と笑い合う。これでわたしも改めて、バスケ部マネージャーとなりましたとさ。