神さんになびかないマネージャー
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大学まで実家から通いきった神さんは、大人の一人暮らしを満喫している。アパートに荷物を置くと、嬉しそうに銭湯にいこうと誘ってきた。カーテンを捲って、窓の外に見える煙突を指差す。まあまあ近くにありそうだな、着替えと必要な洗面用具をもって、サンダルひっかけて、ぶらぶら手を繋いで。いちじかんごに約束して、ほかほかに温まって髪の毛を乾かして、待ち合いに出るとマッサージチェアに座って唸っているジャージ姿に思わず吹き出してしまう。
「おまたせでーす」
「んー、もうちょっとで終わるからー…あ"ー…」
「いいですよ、ゆっくりで。すごい似合う」
「アイス買っていく?」
「んーん、いい」
ゴン、ウィーン、と音がして、椅子は動かなくなった。サンダルをはいて、今度こそ本当に、暖かい指先を絡めて、今から何が起こるのか、意識せずにはいられないし、神さんの耳が赤いのもたぶん、お風呂のせいだけではない。ポケットから出した鍵をがちゃがちゃして、ドアをあけて先にいれてくれた。神さんは、出会ったばかりの頃から優しかったよな、と思い出すことがおおい。
「ね、る?」
「うん」
「電気、消す?」
「消してください」
「じゃあ、消すよ」
「じんさん」
「ん?」
「ぎゅってしてほしい、わたしが好きなやつ」
「っ、おいで」
「んふ、あったか」
「ん、きもちいね」
下唇をまた、ぢゅっと吸われて、口のなか全部食べられそうなキスに、夢中になってちょっと動かした舌を絡め取られてもう頭がふわふわしている。Tシャツの裾から入ってきた手が更に、ブラジャーの横ちょこからぬっと入ってきて、乳首をぐにっとしごかれる。鼻から抜けるような変な声が出てしまって、暗闇のなかで神さんの、真ん丸な瞳と目があった。
「だいじょうぶ?」
「はずかしい」
「うん、それは、だいじょうぶ」
「あ、んぁ、ちょっ、」
「今からもっと恥ずかしいことするからね」
「ん、ぅ、」
ーーーーーーーーー
声を出さないことに集中してるらしく、ぎゅっと握った手の甲を口許に押し当てている。目をつぶって眉間にもシワを寄せて、腰をぴくぴくさせている、その絵面が脳を侵食してくる。普段性の匂いを感じさせない子だけに余計にそう思うのかもしれない。暖かい内側を指の先で探りながら、涙のたまった目尻にくちびるを寄せる。
「悪いことしてるみたい」
「じん、さん、」
「大丈夫?」
「ん、」
「ごめんね、入れるね」
「っ、ん、」
体格があんまり違うので、伸ばしてきた腕が背中まで届かなくて落っこちていった。かわいい、全部、シーツの上に墜落した拳をそっとひらいて指を絡める。
「ん、じんさん、」
「ん?」
「すき、すきぃ、」
「…もう、どこで覚えてくるのそんなの」
「んぅ、」
ゆっくり、痛くないように、丁寧にって思ってた。犬の散歩かなんかと思ってるんでしょ、と言ってたのと同じ声で。すき、すきだ、もう、なんか全然格好つかないけど、知るもんか。全部納めてほっとしてたら中がぎゅっと締まってきて、細い腰を掴んで奥をえぐった。そこから先は覚えてない。
「んー………」
は、だか。裸の俺とそしてまどかちゃん。全裸だ。枕元にぐしゃっとしたティッシュのかたまりがあって、なんとなくコンドームを外したことを思い出す。どうしよう牧さん、おれ大人になっちゃった。落ち着かなくてイマジナリー牧さんに話しかけたけど返事はない。適応に脱ぎ捨てたパンツを探し当ててとりあえずキッチンで水を飲む。
「ん、ぁ…じんさん?」
「ごめん、起こした?水飲む?」
「のむ」
「ん」
コップに水を入れてベッドに戻ると、起き上がりかけたまどかちゃんが、両手をついてうつ伏せに崩れたところだった。
「え!?なに!?」
「うごけない…」
「え?」
「力入んない、腰」
「ええ、大丈夫?」
抱き起こしてコップを渡すと、1口飲んで返却される。立ち上がることを諦めたらしいまどかちゃんは、頭まですっぽり布団に潜ってしまった。カーテンからは早朝の、眩しい光が透けて差し込んでくる。
「ごめん、加減がきかなくて、ごめんね」
「神さんのばか、すけべ」
「…でもまどかちゃんもえっちで可愛かった
」
「なんかさーあ、高1の最初に戻ってさあ、その人がわたしの好きな人だよって教えてあげたい」
「なっ!もー!やめてよそういうの!」
「…なんで怒ってんですか」
「じゃあ俺は高2の夏くらいに戻って、うまくいくから元気出せって言ってやりたい」
「ふ、その節は…」
「何があってもなびかないぞっていう気概があったよね」
「ないですそんなの」
「ふ、どの口が言ってんだよ」
もうちょっとだらだらしよ、と布団のなかに戻る。冷たい足先が当たって、目が合うとまどかちゃんは背中を向けてしまった。ふわふわの布団の上から抱き締めて、後ろ頭に顔を寄せる。
「ねえ、こっちで仕事探さない?」
「へえ、全裸でプロポーズする?」
「わあ、しまった。夜景の見えるレストランと昨日のお好み焼きやさんどっちがいい?」
「んー、こなもん好きです」
「うん、じゃあ夜また行こう」
「ふふ、神さんの奢りね」
(おわり)
おわった…………!?