神さんになびかないマネージャー
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「どうかした?」
「うん」
「そんなにじーっと見られると恥ずかしいんだけど。穴空いちゃう」
「うーん、」
結果、わたしの勘は当たっていた。ノブがわたしだけじゃなく、マミ先輩にまでそっけなくしていたあの数日。つかんだ腕を振りほどかれて、触んな!と言った顔は真っ赤で泣きそうで、あの人となんかあったに違いない。水族館で告白するって言ってたのはどうなったんだ。
マミ先輩の奢りでクリームののっかった甘いコーヒーを飲んで、桃子さんの部屋に向かった。部屋に入って私たちにお茶を出してくれた桃子さんは、わたしに手を合わせて大きな声でごめん!と言った。
「…ノブとなんかありました?」
「あんまり可愛くて…送られ狼しちゃった…」
「ええー!?もしかして金曜の飲み会!?」
「そうなんです…」
桃子さんは、ノブの好意に最初から気付いていたらしい。前の彼氏がひどい男でもういいと思っていたけどこの人ならいいかなと思った。水族館に誘われて、告白されると勘づいたけど、予定調和を崩したくなってしまった。ちょっとしか酔ってなかったけど動けなくなったふりをして送ってもらって、部屋に引っ張りこんだ。いろんな理由をつけて頑なに帰るというノブに、元カレが置いてったコンドームがあるといってとどめをさした。うん、翻弄されてんな。おねえさまの掌の上で転がされて本望じゃあないのかい?
「別にわたしに謝らなくても」
「や、だって幼馴染みなんでしょ?悪い女に騙されたら腹立てるかと思って」
「桃子さんは悪い女なんですか?」
「え、悪くない?」
「ノブのこと、本気じゃないんですか」
「もちろん本気!それは絶対」
「狩りに行ってるもんね」
「嘘つけないやつなんですよ。桃子さんのこと好きって全身からだだもれなんで、可愛がってやってください」
「やー、そろそろ付き合うのかと思ってたけど思ったよりあんたが痴女だったわ」
「えー、マミさんひどいです」
「まどかも他人事みたいな顔してんじゃないよ、神も気の毒に」
「ええ~!?わたしも酔ったふりするんですか?」
「だって、どんくらい付き合ってるの?」
「んーと1年と…半年ちょっと…?」
「神だって人並みに性欲あるだろうに」
「えー、そんなこと言われても…」
「神くんってあの、背が高くて白い人でしょ?まだしてないの?」
「全然そんな素振りないもん!刺激強いです!タイムタイム!」
ーーーーーーー
お姉さまたちとのお茶会はわたしにはレベルが高すぎた。いつものかっこうで登場すると、神さんはにっこりして頭をわしわし撫でてくれた。大きくてしっとりした掌の感触が気持ちいい。そして冒頭に戻る。土日の大学の裏庭はけっこうのんびりできてお気に入り。
「神さんもさあ、えっちなこととかしたいんですか」
「…野原さんたちか…」
「ノブがなんかおかしかったの、勢いでやっちゃったんだって。桃子さんになぜか謝られた」
「ええー!?あんなに水族館って浮かれてたのに?」
「うん、でも水族館にもちゃんと行ったって 」
「ふーん、よかったじゃん」
「それで?」
「………え?おれ?」
「だって神さん全然そういうこと言わないじゃん。酔っぱらったふりしなって言われたけどわたしたちどうせ実家だし」
神さんは両手で顔をおおって、もにょもにょなにかを唱えている。顔をあげた神さんは耳まで真っ赤で、初めて見る表情になんだかぎゅっとしてしまう。
「あのね、俺はもちろんしたいと思ってる」
「おお……」
「でもね、それ以上にまどかちゃんに、嫌な思いとか痛い思いとかさせたくないの!」
「…なんと…」
「もう、だからイヤだったんだよ。別に信長に先越されたってなんとも思わないし、もうやめよう」
「…痛いの?」
「んー、経験ないからわかんないよ。でも俺身長あるし、その分は大きいと思うよ、ちんこ」
「ち、」
「してみたいけど、でも、俺も変わっちゃうのもこわいし、今のままでいたいのも本当」
「うん、うん、」
「不安になったの?」
「だって2人して、神も気の毒とか性欲あるだろうにとか」
「大体揃って実家なのに」
「うん」
「ね、こっちむいて」
両手で頬を包まれて、神さんのかわいらしい顔が近づいてくる。くちびるがふわっと触れて、いつものように離れていかずに下唇をじゅっと吸われた。よくわかんないうちに舌が口の中に入ってきて、上の歯や舌の裏側をねっとりなぞっていく。ぎゅっと目をつぶって神さんのTシャツをにぎりしめたところで、ぱっと放された。
「かわいい」
「…かわいくない、神さんばかじゃん」
「もっとすごいこと残ってるの、すごくない?楽しみ」
「虫取りと同じ顔しないでくださいよ」
「まどかちゃんじゃなくて、自分をごまかしてるんだよ」
ぎゅっとされた左胸はけっこうな速さで走っていて、わたしは思わず身をこわばらせる。でももうとっくに、私にはこの人しかいないのに。