神さんになびかないマネージャー
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父さんが会いたがってるから、と言われたら断るわけにはいくまい。大通りのお菓子屋さんでシュークリームをたくさん買って、自転車でなれた道を進む。ベルをならすとお母さんが扉を開けてくれたけど、予想通り奥から信長の笑い声が聞こえてくる。最近のブームはマリオカートだ。
「おじゃましまーす」
「あっ!神さん遅いっすよ!次やるっす!ほら!」
「えーっと、」
「くっそー、神さん仇とってください~」
「もー!おれ今日お父さんほぼはじめましてなんだよ、もうちょっと緊張感だしてよ」
テレビの前でごろんごろんする2人を横目に、いつものように洗面所で手を洗って、ダイニングテーブルに座るお父さんの斜め向かいに腰かける。
「この間は悪かったね」
「いえ、もう大丈夫ですね」
「しかし背え高いねえ」
「はは、もうちょっとがっしりしたいんですけど縦にいっちゃって」
「ノブの先輩って聞いたときは正直うるせえ息子が増えると思って頭抱えたよ」
「息子カウントなんですか、信長」
「2つか3つの頃から交代で預かってね、母さんたちがパートに出てたんだ。週に何日かはうちにいたからオムツも替えたし風呂にも入れたし」
「まどかちゃんがピンポンしないで信長んちに上がってくの、最初みたときはびっくりしましたよ。普通に冷蔵庫あけてたし」
「3歳くらいの感覚で大学生になっちゃってるからねえ、迷惑かけると思うけどよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「もー、なに盛り上がってるのよ母さんも神くんと話したいのに~」
「あっお母さんこの前マリカー負けたんで、今日はリベンジしますよ」
「えー、勝ち逃げしたいな」
お皿にころんと盛られたバニラアイスとコーヒーに口をつけるまでこの間、テレビの前で相変わらず2人がワアワア言いながらマリカーに勤しんでいる。親戚のあつまりにでも来たみたいだ。
「ノブってどうなの?うまいの?」
「え、それは、もちろん」
「わ、よかった、安心したよ」
「よく跳ぶしよく走るし、元気もあるしバスケに関してはバカじゃないし、頼りになりますよ」
「あら、わりとべた褒め」
「よそにいい選手がいたんでMVPこそ取ってませんけどね、少なくとも牧さんが出てからはあいつがエースですから」
「なんか神さんがおれを褒めてる気がする!あっ!アイスずりい!」
「あんたは自分でつぎなさいよ」
「へいへい」
「で?信長は噂の彼女とどうなの?」
「えっっっ!?!?うわさの!?!?マミ先輩からっすか!?」
「いやまどかちゃんに聞いたんだけど」
「は!?おまえなんで!?」
「前会ったあのひとでしょ?モモコさん?」
「えーーーー!…………俺そんなにわかりやすかった?」
「肩叩かれて真っ赤になってたじゃん。どーなったのよその後」
「おめーにバレるって相当やべーな…どうしよ…」
「どうもこうもないだろ」
「来週水族館に…いくんす…江ノ島の…そこで告白しようと思って…」
「あらすごいわね、デートコースって私たちの頃から変わらないのね父さん」
「行ったねえ水族館。まどかたちは?」
「行ってないですね…」
「水族館ってさあ、なにしに行くの?」
「ほら、こんな感じなんで」
「なにって……魚をみに?」
「何いってんの父さん、魚をみるという名目で手を繋いだりイチャイチャするために行くのよ」
「あー、なるほどなあ」
「…行ってみる?水族館」
「んー、水族館より磯遊びがしてみたいですけどね」
「おれもそれは同感だけど。この辺は浜ばっかりだからねえ」
「ええ、本気で言ってる?いいよデートの相談するなら俺たち外すよ?」
「外すもなんも、直近は虫取だしねえ…あ、でも湘南でカブトムシ取れたのすごくないです?」
ふたりはどうやら娘を眺めてため息をついているらしい。俺は俺なりに、楽しくふたりの時間を過ごしていますのでご安心ください…