神さんになびかないマネージャー
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「えっ、高頭先生?」
「おー、原田、ほんとにお前だったのか」
「えっ、ご存知でしたか」
「おお、世界史俺の授業だからな」
「わたし社会めっちゃ好きなんですよ!なんだあ牧さん、昨日勿体振らずに教えてくれればよかったじゃないですか」
「まさかそうとは思わなかった」
「真面目で賢くていい子だとおもっとったがまさか清田の友達とはな。よく来てくれたな。あ、これ入部届けだから、親の判子もらってきてくれよ」
「あ、はい」
「まあそんな、急がなくてもいいから」
「いえ、今日は最後までいるんで」
「ああ、たのむ」
清田が連れてきた幼馴染みの原田は、どうやら今までやってきたマネージャーと、なんだか雰囲気が違うようだった。まず部員や練習に興味があまりなさそうだ。俺たちと仲良くしようとか、うまくやろうとか、そういう表情が見られない。かと思ったら顧問の高頭先生と顔をあわせると、満面の笑みだ。
じゃあ洗濯するんで、とあっさり体育館を出ていった原田をみて、監督も不思議そうに俺の顔を見る。
「牧さん!」
「お、どうした」
「魔境を見つけちゃって」
「まきょう?」
「シャワー室って、使ってるんですか」
「おー使ってるぞ!昨日言わなかったか」
「言ってないです!いちばんやばいじゃないですか!カビはえますよ!そんな顔でうっかりさんとかやめてください!」
「うっ、すまん」
シャワー室こそ唯一気をつけて換気してるんだけどなあ。カビ用の洗剤はないのかとつめよる原田の迫力に、監督は尻のポケットから財布を出して千円札を何枚か握らせている。原田は近くのドラッグストアーに行くといって、あっというまに飛び出していった。しばらくして戻ってきた原田は、監督にお釣りを渡して、洗剤の説明をしているようで、明日は朝から徹底的にやりますよ!と張り切った声が聞こえてくる。ミニゲームの時間になり俺達は、久しぶりに臭くないビブスに腕を通した。
「牧さん、あの人は」
「ああ神か、あいつは今から500本やるから」
「500本」
「1時間以上かかると思うぞ。遅くなるから帰っていいぞ」
「神さんがいるってことは、今から洗濯回してもまだ大丈夫ですね」
「そこまで頑張らなくていいんだぞ。暗くなったら危ないだろ」
「平気平気、図書館行っててもどうせ帰るの夜ですから。気にせず帰ってください」
「じゃあ、なにかあれば遠慮なく神に聞いてくれ」
「はい」
なんかこう、もはや職人のようで俺もあまり口出しができない。洗濯や掃除に夢中で取り組んでくれて、頭も上がらない。