神さんになびかないマネージャー
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インターハイとウィンターカップには出場できたし、冬のベスト4はまあ、海南キャプテンとして及第点と考えていいんじゃないか。家の近くでバスケに打ち込めそうという理由で選んだ海南で牧さんに出会い、あれよあれよとレギュラーにキャプテンになってしまったなんて、中学の頃の俺からは考えられない。年明け、3年が練習するのは最後という日、次のキャプテンを信長に託して軽くなった肩で、最後のシュート練習をした。最後だからってじっと見たりせず、自分の仕事に打ち込んでいたまどかちゃんは、いつも通り最後の方は球拾いをしてくれて、一緒に帰路に着く。これで最後、明日からはもう自然な口実なんかない。
お腹にまわった腕が、いつもより力強い気がする。今までありがとう、なんて言ったら、それこそお別れになりそうで、なんと言ったらいいのかわからない。いっぱい話したかった、どうでもいい楽しい面白いことをいっぱい話して笑って笑って過ごしてきたのにな。
家の前についてブレーキをかけると、荷台から飛び降りたまどかちゃんと目が合う。口が開いて、目線が泳いで、とうとう泣き出してしまった。困惑したように涙を拭って何かを言おうとする姿があんまりいじらしくて、自転車を放って両手を握った。
「じんさん」
「うん」
「…そつぎょう、しないでぇぇ……うぐ、ぐ、」
「うん、ごめん」
「ふぐぅ……っ、」
「……話がしたいんだけど。土曜の午後、迎えに来てもいい?」
「ん、あぃ、っ、」
「もー、俺のこと好きだなあ」
もっとも、信長はもっと泣いてたけど。
いつもより30分ばかり早めに集合をかけた先生が、じゃあ三年生から、と言い始めた時点で信長は涙と鼻水をぼろぼろにながし始めていた。用具室でせっせと掃除をしていたまどかちゃんのことは、1年生が慌てて呼びに行ってくれた。
2人揃ってしゃがみこんで、腕にすがって奥歯を噛み締めているらしいまどかちゃんのつむじを眺める。マイペースでちょっと変なとこも好きだ。義理堅いとこも、実は信長に甘えているところも。お母さんが心配するよ、と息を整えさせて、顔をごしごし拭いたけどフォローできない、ひどい、かわいい顔だ。じゃあ土曜、というと、まどかちゃんは大きくうなずいた。