神さんになびかないマネージャー
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合宿とは違うので、吐いてたおれるやつはいない。初日は試合もなく、近くの中学校の体育館を借りて調整して、湘北の試合を見に行った。一度宿に戻ってボトルとかボールとか余計な荷物をおいてきたもんで、持つものもなければやることもない。
ノブはというと牧さんと先生の間に挟まれた孫みたいなポジションで夢中で試合をみている。ハーフタイムの間にできれば明日使える水道を見つけておきたい。そーっと席を離れようとしたら、牧さんに言われたのを忘れたのかと1年の川本が一緒についてきた。合宿の時ぶっ倒れた川本を無理やり吐かせてからちょっと申し訳ない気持ちでいっぱいなんだけど、ありがたく並んであるく。
「ごめんね、付き合わせて。水道と、できれば冷水機が見つかるといいんだけど」
「入り口のとこに会場図あったぞ」
「行ってみていい?」
「うん、なあ」
「ん?」
「いや、みんながいるとお礼も言いづらいから窺ってた」
「へ?」
「お前のお陰でやめずにすんだわ、ほんとありがとな」
「えー?でもあのあとはあんたが自分で頑張ったんじゃんか。むしろこう、人権蹂躙してごめんね」
「いや、ほんとにあれで命拾いしたから。まじで意識もうろうとしてたからな」
「やー、やりすぎました」
「俺中学まではけっこう強かったんだけど、あの時まじであー、ここで終わりなのかって頭よぎって、親になんて言おうかなとか、中学の奴らにかっこつかねーなとか」
「走馬灯じゃん」
「そうだよ。でもやめずにすんだ。ありがとな」
「3年の冬、一緒に引退しよ」
「おー、頑張るわ」
見つけた冷水機は、よくあるチョロチョロ出るタイプのもので、氷をたくさん持ち込むしかなさそうだなあ。持ってきた製氷皿で宿の冷蔵庫で今現在も凍らせている最中だ。
水道はトイレの他にも何ヵ所かあって気兼なく飲用に使えそうだ。
ーーーーーーーーーーーーー
「トイレ行くから先戻ってて」
「待ってるよ」
「後半始まっちゃうよ」
「なんかあったら俺、神さんに殺されるから」
「へ?牧さんじゃなくて?」
首をかしげながら女子便所に駆け込んでいった原田は、清田の幼馴染みというだけでバスケは全くの未経験だ。普段は掃除や洗濯ばかりしているのであまり話さないどころか姿も見かけない。目の前のやるべきことを徹底的にやっつけないと気が済まないタイプらしく、まあ同じように徹底的にやる神さんが気に入るのも不自然はない。
合宿の最後の夜のことは、よく覚えている。たぶん俺だけじゃなくみんな。神さんはマネージャーのことをしたの名前で呼んでいるし、なんとなくみんな勘づいてはいたけど、俺だったらあの状況じゃパニックになって逃げ出していたかも。そこを本人にはばれないようにしれっと宣言…あれは、牽制だ。とはいえ当の原田が、神さんのことを近所のお兄ちゃんくらいに思っているので、若干不憫ではあるけど、まあ俺は俺で普通に部活の同級生として友好的に関われればそれでいいかな。
「ごめん、おまたせ」
「いいよ」
後半が始まってすぐのアリーナに戻ると、こっちを確認した神さんがわかりやすく胸を撫で下ろすのが見えた。
「ひとりでどっか行ったのかと思った」
「牧さんの言いつけですからね。てゆーか心配しすぎです神さん、ほんとわたしのことアホな犬かなんかだと思ってるでしょ」
「原田、そのへんにしといてやって」
「へ?」
本当にひとりだけなんとも思ってない原田が、ちんまり俺のとなりに座る。時々今のってどーゆーこと?と聞かれるので、まわりの何人かで説明をするとなるほど~と素直に頷いて、うん、本当にまじでお前だけがなにも考えてないんだよ。神さんファイトです。
ノブはというと牧さんと先生の間に挟まれた孫みたいなポジションで夢中で試合をみている。ハーフタイムの間にできれば明日使える水道を見つけておきたい。そーっと席を離れようとしたら、牧さんに言われたのを忘れたのかと1年の川本が一緒についてきた。合宿の時ぶっ倒れた川本を無理やり吐かせてからちょっと申し訳ない気持ちでいっぱいなんだけど、ありがたく並んであるく。
「ごめんね、付き合わせて。水道と、できれば冷水機が見つかるといいんだけど」
「入り口のとこに会場図あったぞ」
「行ってみていい?」
「うん、なあ」
「ん?」
「いや、みんながいるとお礼も言いづらいから窺ってた」
「へ?」
「お前のお陰でやめずにすんだわ、ほんとありがとな」
「えー?でもあのあとはあんたが自分で頑張ったんじゃんか。むしろこう、人権蹂躙してごめんね」
「いや、ほんとにあれで命拾いしたから。まじで意識もうろうとしてたからな」
「やー、やりすぎました」
「俺中学まではけっこう強かったんだけど、あの時まじであー、ここで終わりなのかって頭よぎって、親になんて言おうかなとか、中学の奴らにかっこつかねーなとか」
「走馬灯じゃん」
「そうだよ。でもやめずにすんだ。ありがとな」
「3年の冬、一緒に引退しよ」
「おー、頑張るわ」
見つけた冷水機は、よくあるチョロチョロ出るタイプのもので、氷をたくさん持ち込むしかなさそうだなあ。持ってきた製氷皿で宿の冷蔵庫で今現在も凍らせている最中だ。
水道はトイレの他にも何ヵ所かあって気兼なく飲用に使えそうだ。
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「トイレ行くから先戻ってて」
「待ってるよ」
「後半始まっちゃうよ」
「なんかあったら俺、神さんに殺されるから」
「へ?牧さんじゃなくて?」
首をかしげながら女子便所に駆け込んでいった原田は、清田の幼馴染みというだけでバスケは全くの未経験だ。普段は掃除や洗濯ばかりしているのであまり話さないどころか姿も見かけない。目の前のやるべきことを徹底的にやっつけないと気が済まないタイプらしく、まあ同じように徹底的にやる神さんが気に入るのも不自然はない。
合宿の最後の夜のことは、よく覚えている。たぶん俺だけじゃなくみんな。神さんはマネージャーのことをしたの名前で呼んでいるし、なんとなくみんな勘づいてはいたけど、俺だったらあの状況じゃパニックになって逃げ出していたかも。そこを本人にはばれないようにしれっと宣言…あれは、牽制だ。とはいえ当の原田が、神さんのことを近所のお兄ちゃんくらいに思っているので、若干不憫ではあるけど、まあ俺は俺で普通に部活の同級生として友好的に関われればそれでいいかな。
「ごめん、おまたせ」
「いいよ」
後半が始まってすぐのアリーナに戻ると、こっちを確認した神さんがわかりやすく胸を撫で下ろすのが見えた。
「ひとりでどっか行ったのかと思った」
「牧さんの言いつけですからね。てゆーか心配しすぎです神さん、ほんとわたしのことアホな犬かなんかだと思ってるでしょ」
「原田、そのへんにしといてやって」
「へ?」
本当にひとりだけなんとも思ってない原田が、ちんまり俺のとなりに座る。時々今のってどーゆーこと?と聞かれるので、まわりの何人かで説明をするとなるほど~と素直に頷いて、うん、本当にまじでお前だけがなにも考えてないんだよ。神さんファイトです。