神さんになびかないマネージャー
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2日目の午後にはタンクトップに短パンになって、時々頭から水をかぶりながらせっせと働いているマネージャーは、もはや誰より集中しているのではと思うほど部員に目を配っている。時々氷を取りに宿にひとっ走りしているのでなかなかの運動量だと思う。宿のおばさんともすっかり打ち解けて、俺達の様子を見ながら明日のメニューを相談している。夜のおつかいにどうしても同行したいらしい神の気迫も十分だ。3日目は朝から練習試合だったので、タンクトップのまま出かけようとしたマネージャーにTシャツを着せようとした神がやいやいやっている。神には悪いがやはり仲良しの兄妹にしかみえない。大体あんなに露骨に手まで握って相手にされてないんだからとりつく島もなそうだ。元祖相棒の清田の方は、1ミリも余裕がないらしくマネージャーになんの意地悪もしていない。1日目の夕方に離脱したのが悔しいらしく、うまいことちょっとずつ飯を食いながらなんとかついてきている。練習試合をふまえてまた午後練習、また明日の朝一試合して帰る予定なので、この宿で寝るのは今晩が最後だ。
明日試合の相手になってくれる大学に通うOBが、宿を聞き付けてアイスをたくさん持ってきてくれた。クリーム系は胃に障ることをよく知っているので、かき氷とかソーダ味とかそんなのばかりをどっさりと。小さなテレビのある宿の共有スペースに集まってみんなでありがたくいただいていると、宮益がマネージャーは?と言い始めた。
「風呂じゃないか?なんか音するし」
「呼んできましょうか?」
「いいよ清田」
「おお、今回のマネージャーはどんくらいもちそうだ?」
「それがなかなか骨がありますよ。清田がつれてきたんですけど」
「あれ、じゃあ牧狙いじゃないのか」
「俺はおじさんだと思われてるんで」
「そりゃひでぇな」
「神がマネージャーにちょっかいかけてるのは知ってるぞ」
「む、武藤さん!」
「あ、俺も」
「えっ……」
「まあ神は露骨すぎるからみんな気付いてるだろ」
「高砂さん!?」
「えっ!?えっ!?なんの話ですか!?」
「だから神がマネージャーのこと好きって話だよ」
「宮さんストップ!」
「は!?嘘でしょ神さんあんな貧乳!」
「あっ!ノブがわたしの悪口言ってる!」
すごいタイミングで風呂からでてきたマネージャーは、濡れた髪を拭きながら口をあんぐりさせている清田にげしげし蹴りを入れる。どうしようもない空気になって、神はソーダのアイスを一気にかじると、キーンとしたらしい顔をして頭を抱えた。
「ま、そーゆーことなんで応援してくださいね」
「なんの話ですか?」
「じ、神が…」
「牧さん!」
「がんばるんだそうだ」
「は?なんかよくわかんないですけど、ファイト神さん!」
「おお…ありがと…」
「あ、原田も挨拶しろよ、OBの岡田さんだ。アイスの差し入れ、お前の分もあるぞ」
「マネージャーの原田です。1年生です。よろしくお願いします」
「働き者なのは明日見てもらったらよくわかると思います」
「そりゃ見物だわ」
「へへ」
「お前今、俺の方が老けてるなって顔したな」
「あ、ばれました?牧さん疲れでおじさん度増してますよ、眉間のシワ伸ばしてください」
「お前!牧さんがやさしいからって言いたい放題」
「うっさい!みんなが死にそうな顔してるからここはひとつ笑いをとろうと思ったんじゃんか」
せっかく全員揃ったので、明日の予定を話し始める。みんなアイスを食べながらすきずきに聞いているが、原田はつい今喧嘩していた清田の肩に後ろから顔をのせてソーダアイスを口に含んでいる。なんだかんだ清田を安全基地にしているところが少なからずあるな、と神の方にチラリと目をやると、心ここにあらずって具合の顔でもうご愁傷さまとしか言いようがない。