クラスメイトの牧くん
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「ノートを貸してくれないか」
そう言われたのは、同じクラスになって始めてバスケ部が公欠した金曜、その週末があけた月曜日のこと。となりの席の牧くんは、バスケ部のキャプテンで、帝王と呼ばれているらしい。なんかわかる。1年の頃から休むことが多くて、手で写すのは諦めたんだ、とことわりをいれて、売店にわたしのノートをコピーしにいった。しばらくしてあのめちゃめちゃ渋い声で、ありがとう、ときれいに揃えられたノートを手渡された。でかいし黒いし迫力あるけど、牧くんはその名のとおり紳士だし、授業中はめがねをかけてまめにノートをとっている。成績も優秀だし困ってる人は放っておかない。なかなかよくできたお人なのでこっちから声をかけるってことはないもので、ノートなんてほら、反対のとなりの島田くんに借りたって良いじゃないか。
もっと驚いたのはそのしばらくあと、席はかわってもう隣じゃないのに、牧くんがまたわざわざやってきて、ノートを貸してくれと言ったことだ。
「あの、わたしそんなに、字もきれいではないし、その、そんなつもりではなかったから、落書きとかあるんだけどな」
「いや、この前の、すごく見やすかったから。迷惑じゃなければこれからも、休んだときノート貸してくれないか」
「え?うん、いいけど」
慌ててガサガサノートを出して、国語のここと、数学のここと、と開いて重ねて差し出すと、椅子に座った私に合わせて中腰になった牧くんと目があった。びっくりして思わず目を見開くと、牧くんは目を逸らして頬をぼりぼり掻いている。