「なかむあ！自主練しよ！」
「え？いいけど」
「おえ、イバンすうかあ、シュートうって！もいやまさん外れんかあ練習になあん！」
「お前それ……はずさないといけないじゃん、やだよ」
「えー！！青葉～～だえも打ってくえん！たのむー！」
「え？いいけど？」



じゃあ俺も飛ぶ、と中村と早川がゴールのしたに陣取ると、青葉は籠からボールを掬って、２度床に打つと軽やかに、綺麗な放物線を描いた。
ちらちら気にしていた程度だった部員達が、みんなぽかんと口を開けている。

「あれ？入っちゃった、ごめん」
「……つーか…上手いなお前」
「あったりまえじゃん私シューティングガードよ？」
「まじ？初耳なんだけど」
「だって聞かれてないもん」
「もんって………」
「すっげー青葉めっちゃうめー！すげー！」
「うっさい早川！次は外すからしっかり飛べ！」
「おお！」






「笠松？」
「あ、おお」
「見とれた？」
「おー、さすがだなあいつ」
「びっくりしたな」
「バカ言え。あいつ若葉台だろ、全国常連だわ」
「えっ！？そーなの？詳しいな」
「月バスで見ただけだ」


笠松っていつも怖い顔してるけど、実は童顔なんだよな。青葉が放ったボールをぽかんと眺める力の抜けた顔がなんだか可愛らしくてにこりとしたら殴られた。理不尽だ。

「女バスのあるとこに、なんで行かなかったんだろうな。もったいない」
「ほんと、そのうち私がでますとか言い出すんじゃないか？」




笠松はまだ、青葉の方を見ている。
なあ、何考えてる？