笠松くんと終わらない日々
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試合終了のブザーにベンチを振り返ると、青葉が目と口を大きく開いてぽっかりした顔をしている。
ウィンターカップ、俺たちの冬はベスト8でおわる。インターハイのベスト4と合わせてみても、決して去年にひけを取らない。俺たちの3年間の、部活が終わった。
いつものように少し遅れて、いっぱいのボトルを持って控え室に戻ってきた青葉に、ベンチコートをかぶせたのは早川だった。早川のお腹のあたりに抱きついた青葉を、早川が上からぎゅっと包み込む。足りないところを補い合える、2人でひとつのような関係だったと思う。俺も力になれただろうか。
「はやかわ、ありがと」
「おぇも、あいがと」
笠松さんが折れかけたあのインターハイのとき、ベンチにいたのは、当時の1年では早川と青葉だけだった。キャプテンに指名されたとき、はい、と静かに答えた早川はなにを思ってたんだろう。
「おまえら、一年生困ってるしそろそろ帰るよ」
「なかむぁ!」
「しんくん!」
「うわあ!俺はいいから!俺は!重い!」
涙でぐずぐずの目を隠しもせず、2人はこっちに向かってきた。なんて汚い笑顔だ、俺は泣かないぞ。
「どうする、俺たち今日から受験生だぞ」
「おぇ、バスケで推薦来た!」
「わたし緑が丘、A判定」
「は?なにお前ら。つーか緑が丘って笠松さんとこじゃん」
「先に行きたかったのはわたしなの!センター利用でサクッと決めるから!」
「なんだよ、余裕じゃん。頼むから俺に数学教えて」
「ふは、明日からやろ、明日から」
「そーだな」
性格も得意も性別もごちゃまぜだけど、居心地のいいやつらだな。今日で終わっちゃうのか、と考えると泣きそうで、目のおくに力をいれながら歩いた。