笠松くんと終わらない日々
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初詣には学校の近くの神社に毎年行っているので、家近いし青葉も誘おうと提案したら、なんでだよ!と笠松が文句を言ってたけど、今こうして青葉の家のベルをならしている。ドアを開けたおかあさんが、あら男前がいっぱい、と楽しそうな声をあげる。あー、似てるな。
奥のドアがあいて、めいっぱいだらけた格好の青葉が顔を出す。
「先輩たちどうしたんですか?あー、明けましておめでとうございます」
「初詣行くから、誘おうと思って」
「えーっ!うれしいですけどメールとか電話とかあるじゃないですかー!!見てほら、パジャマ!」
「せっかくだから一緒に行こう、待ってるから」
「5分!5分まっててください!」
だだだ、と大きな足音で、たぶん自室に飛び込んだ。寒いからあがって、と言われて靴を脱ぐ。食卓でコーヒーを飲んでいたらしい親父さんに挨拶をすると、ウィンターカップみたよー、と声をかけられる。ローカル局で中継されていたらしい。
「森山くん、あのシュートなんなの?」
「えっ……」
「あれであんなに入るのまったく理解できないんだけどどういう仕組みなんだ?いつからああやって打ってるの?」
「えっ!?いつかな……」
「高校入ったときはもうあれでしたよ」
「そうなのか~ほのかから聞いてはいたけど目がはなせなくなっちゃったよ、癖になるなあ」
「えっ…ありがとうございます?」
「それより源ちゃんよー、あんな渋い顔しちゃって」
「ちがうよ、あれは体が悪いって。昔は細かったからな」
「ほんと、ビールの飲みすぎ~」
「ところで笠松くんさあ、」
「お待たせしました!!」
5分は、たってないような。ワンピースとコートに、マフラーとニット帽でもわもわに仕上がった青葉がたっている。
「おまえ、ジャージじゃない服持ってたの?」
「森山さん失礼すぎません?かわいいねとか言ったらどうなんですか」
「それは笠松だろ」
「キャプテンのこと殺す気ですか!ほらほら受験生いきますよ!」
「えー!父さんこないだの試合のはなし聞こうと思ってたのにー」
「小堀さんはともかく森山さんとキャプテンはけっこうギリなの!受験終わったら呼んでくるから!」
「てめーなんで俺らの成績知ってんだ」
「監督に決まってるでしょ」
「くっそ……」
「ほらほらいきますよ!」
腰を下ろしかけた俺たちを押し出すように、青葉は玄関に。
「コーヒー淹れておくから、たい焼き買ってきて!先輩たちもよければ寄ってね」
「うす」
「キャプテン勉強したくないだけでしょ、もー!」
先輩達のと私たちのでむっつよ、と差し出された1000円札を受け取ってがま口にしまう青葉に、おかあさんが私はこしあんで、お父さんはつぶあんね、と言いつける。みんなでいってきます、と声をかけて家を出た。
「寒いですねえ」
「ああ」
「指の骨氷ります」
「んな大袈裟な、うわ!つめて!なんだこれ」
「冷え性でーす」
「手袋ねーの」
「急いできたから忘れちゃった」
「どーすんだよお前、おい小堀!」
よかった、ブラジャー事件のことはもう忘れてるみたいだ。振り返ると笠松が青葉のひだりの掌を握って、というより掴み上げている。
「どうなってんの?」
「どーもこーもねーわ!お前右手もて!」
「は?うっわ!こんなに冷たかったの?」
「えっ、先輩達冷え性が存在しない世界で生きてます?」
「うーん、これあげるから、左は笠松にあっためてもらいな」
ポケットからホッカイロ取り出して、青葉の右手に握らせる。両手でカイロ持てばいいじゃんって笠松が気付かないことを祈って、森山のとなりにならび直す。そろそろうまくいけよお前ら。