笠松くんと終わらない日々
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「ほのかさん~~オレも入れてほしいっす~~」
練習後、マネージャーと1年でシューティングガードの斎藤が始めた自主練は、今では1年生がわらわら参加して、3対3のゲーム形式になっている。マネージャーは技術も知識も確かな上に、端的に言語化するのがうまい。とうとう今日そこに、黄瀬が突っ込んでいった。はあ!?とブチキレるマネージャーに背後から抱きついてなかなかのガッツを見せている。
「じゃあ黄瀬はそっちから、オフェンス1本目のパス出して、それからみんなにちゃんとアドバイスしてね」
「えー!?オレもやりたいっす」
「あのねえ、あんたはそもそもオーバーワーク気味なんだからちょっとは大人しくしなさい!だいたいここまでセンスと身体能力でやってきてるんだから、脳みその方も貯金しとかないと!これはいいとかよくないとか、考えて伝えることがのちのちあんたの財産になるから、つべこべいわずにいわれた通りにしなさい」
「なるほど……」
あの黄瀬が、頭をボリボリかきながら、なんかー、えーと、スクリーン軽くないっすか?などと絞り出した言葉に、マネージャーが三浦は腰をもっとおとして、1秒踏ん張る間にこっちからヘルプが追い付ける、などとフォローしているようだった。
黄瀬が入部したときに、マネージャーと早川を呼んで、黄瀬係に指名したのは、間違ってなかったと思った。俺たちが引退したあと、更にもういっこ下が引退したあと、あいつが一人にならないように。どんなにすげープレーをしても、あの高い鼻じゃ同級生からそっぽむかれかねない。マネージャーはオレに負けないくらいあいつのことを足蹴にしてる。ひどい扱いをされるほどに黄瀬はあいつに懐いていく。黄瀬に1年のプレーを観察させながら、自分も楽しそうにまざっている。時々ぶつかってひっくり返りながら、大きな笑い声をあげている。俺の見立ては間違ってなかった。
「マネージャー、働くなあ」
「ああ」
「顔色もいいな」
「赤ちゃんみたいだな、ほっぺた赤くて」
「さみーからな」
そろそろあがるぞー、と声をかける。
向こうの一角から、1年生たちの返事と、マネージャーの弾むような声が届いた。