ひなたのクラスメイト
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ブラジルに来る前、からだ作りやビーチの基礎、語学の勉強をしながら毎日いっぱいいっぱいの日々。
ブラジルに来てからは、うまく行かないことだらけの日々。道も店もわからない、ことばも通じているのかどうか。肝心のバレーは風と砂に翻弄されて、俺一体何してるんだって、丸まった部屋の隅でバレー部の写真見て。
及川さんとの再会や、少しずつこつこつやってきたことがなんかいい方に出てきた頃、俺はもう一枚の写真を眺めることが多くなった。仲のよかったクラスメイトの名前。よくある言い方になってしまうけど、明るくて元気で、声をあげてよく笑う、だいじな友達、で、俺のすきなひと。今どうしてるかな。ブラジルにいくと決めている以上、好きだと伝えるのはよそうと思った。ついてきてなんて言えるわけないし、地球の裏側からあいつのこと縛るのは悪いと、俺なりに思った。卒業式の日に撮った写真の名前は、画面のなかでへたくそな笑顔を浮かべている。もっとまっすぐ笑うやつだった。言いたいことがあったのは、俺だけじゃなかったかもな、というのは、都合のいい解釈なんだろうか。こっちの陽気でオープンな人たちに影響をうけているのかもしれない。帰国して、次会ったその時に、必ず好きだと言おう。いつの間にかそれが決意になって、そうしたら毎日のように見ていた写真を開かなくても平気になった。
高校にはいる前、近くの靴屋で買った白のコンバースは、名前と同じだった。おそろいじゃん、と話したのが仲良くなったきっかけだったと思う。日に焼けて反射する頬がかわいい、あれ、と気付いたのは、ブラジル行きを決めた頃だった。毎朝の挨拶や、授業中の寝顔や、回し飲みしたジュースや、全部が密かに特別だった。でももう、迷わない。
SNSに帰国することを書き込むと、同級生から飲み会の誘いがあった。誰が来そうか尋ねると、名前の名前もあったので飛び上がってOKの返事をする。トライアウトを終えてその日は木兎さんや侑さんが飯をおごってくれるというので大阪に泊まった。朝イチで東京行きの新幹線に乗ると、今度は俺のスポンサーである研磨の家へ向かう。治さんのおにぎりをお土産に持っていくと、これは赤葦呼んだ方がいいかもね、と研磨はふ、と目を細めて笑った。そして東北新幹線に乗って実家を目指す。2年ぶりに帰ってきた日に晩御飯要らないってどーゆーことよと眉を潜める母さんに、クラス会に好きな子が来るらしいんだよねと言ったら肘でどつかれた。
「うっわ!まじで日向だ」
「黒っ!でかっ!」
「だよなー!なんかゴツくなった」
「みんな元気そーだな!」
「あったりめーよ!」
「あ、お前の相棒遅れるってよ」
「相棒?」
「名前、仕事が忙しいみたいよ。割といつも遅れてくるしね」
「そーなの?」
みんな服装や髪型が変わっても、笑った顔は変わらない。顔を合わせた全員と順番にハグすると、ブラジル人かと突っ込まれた。ごつくなったとか黒くなったとかそんなことばかり言われて、一番変わっちゃったのは俺なのかもな、とも思う。お前の相棒、と言われたら一瞬影山の顔が頭をよぎるけど、クラスメイトにとってはそれは名前のことをさす。だよな、と、ゆるんでしまった口許を隠した。
ブラジルに来てからは、うまく行かないことだらけの日々。道も店もわからない、ことばも通じているのかどうか。肝心のバレーは風と砂に翻弄されて、俺一体何してるんだって、丸まった部屋の隅でバレー部の写真見て。
及川さんとの再会や、少しずつこつこつやってきたことがなんかいい方に出てきた頃、俺はもう一枚の写真を眺めることが多くなった。仲のよかったクラスメイトの名前。よくある言い方になってしまうけど、明るくて元気で、声をあげてよく笑う、だいじな友達、で、俺のすきなひと。今どうしてるかな。ブラジルにいくと決めている以上、好きだと伝えるのはよそうと思った。ついてきてなんて言えるわけないし、地球の裏側からあいつのこと縛るのは悪いと、俺なりに思った。卒業式の日に撮った写真の名前は、画面のなかでへたくそな笑顔を浮かべている。もっとまっすぐ笑うやつだった。言いたいことがあったのは、俺だけじゃなかったかもな、というのは、都合のいい解釈なんだろうか。こっちの陽気でオープンな人たちに影響をうけているのかもしれない。帰国して、次会ったその時に、必ず好きだと言おう。いつの間にかそれが決意になって、そうしたら毎日のように見ていた写真を開かなくても平気になった。
高校にはいる前、近くの靴屋で買った白のコンバースは、名前と同じだった。おそろいじゃん、と話したのが仲良くなったきっかけだったと思う。日に焼けて反射する頬がかわいい、あれ、と気付いたのは、ブラジル行きを決めた頃だった。毎朝の挨拶や、授業中の寝顔や、回し飲みしたジュースや、全部が密かに特別だった。でももう、迷わない。
SNSに帰国することを書き込むと、同級生から飲み会の誘いがあった。誰が来そうか尋ねると、名前の名前もあったので飛び上がってOKの返事をする。トライアウトを終えてその日は木兎さんや侑さんが飯をおごってくれるというので大阪に泊まった。朝イチで東京行きの新幹線に乗ると、今度は俺のスポンサーである研磨の家へ向かう。治さんのおにぎりをお土産に持っていくと、これは赤葦呼んだ方がいいかもね、と研磨はふ、と目を細めて笑った。そして東北新幹線に乗って実家を目指す。2年ぶりに帰ってきた日に晩御飯要らないってどーゆーことよと眉を潜める母さんに、クラス会に好きな子が来るらしいんだよねと言ったら肘でどつかれた。
「うっわ!まじで日向だ」
「黒っ!でかっ!」
「だよなー!なんかゴツくなった」
「みんな元気そーだな!」
「あったりめーよ!」
「あ、お前の相棒遅れるってよ」
「相棒?」
「名前、仕事が忙しいみたいよ。割といつも遅れてくるしね」
「そーなの?」
みんな服装や髪型が変わっても、笑った顔は変わらない。顔を合わせた全員と順番にハグすると、ブラジル人かと突っ込まれた。ごつくなったとか黒くなったとかそんなことばかり言われて、一番変わっちゃったのは俺なのかもな、とも思う。お前の相棒、と言われたら一瞬影山の顔が頭をよぎるけど、クラスメイトにとってはそれは名前のことをさす。だよな、と、ゆるんでしまった口許を隠した。