桐生くんと転校生
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じいちゃんが倒れたので
大分に引っ越すと言われたのは
夏休みのことだった。
昔から時々行っていたじいちゃんちは
羽田空港の小さい出発口から
更にバスにのせられて乗る田舎路線待遇で
時々訪れるところだと思っていたから
正直頭がついて行かなくて
気が付いたらやたらだだっ広い空の下
古い日本家屋ひんやりした部屋の布団にうずくまっていた。
元気でなって笑ってくれた
光ちゃんに連絡したかったけど
弱音ばっかり吐いてしまいそうで
声を聴いたら泣いてしまいそうで
メールだってしなかった
連絡したいけどできずにいた
光ちゃんもきっとわかってくれて
待っててくれてるんだって、
それが微かな自分の支えになっていた
体育館の反響や
ボール、シューズの音、
硬い床、汗と熱気、
その中で自分の心が
自然にひらくのを感じた。
さみしい、かなしい、
もうそんなことは仕方ない。
大学に合格して東京に戻る。
それまでのちょっとの間
うじうじしてたら自分が腐っちゃいそうで
わかつくんには考えると言ったけど
もう答えは出てる。
『もしもし!名前か?」
「光ちゃん?ひさしぶり」
『おお久しぶりだな、どーだ、そっち慣れたか?』
「慣れたってほどじゃないけど、わたしね、バレー部のマネージャーに誘われて、やってみようって思ってるの。なんかそれで、元気出た」
『お、そりゃよかった!こっちも盛り上がってるから春高で会おうぜ』
「そうだね」
『名前』
「ん?」
『お前~、元気が一番だけどさ、弱った時は頼ってきてもいいんだからな』
「…ありがと。もう大丈夫」
おやすみ、と
あったかい声がおなかに響く
高校に入っていっぱい仲間ができてからも
光ちゃんはいつも私の味方でいてくれた
そういう人がいるからこそ
私は一人でちゃんと立って歩きたい