桐生くんと転校生
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私大の入試なんてのは
筆記で受けてしまうと
結構問題の何度高めだったりするけど
センター利用入試ってのを使えば
結構手軽に済んだりする。
転校前は指定校推薦を使おうと思っていたけど
狢坂は私の志望校の枠はなくて
でもセンター試験も英語+文系1科目で
特に面接等もないので
大分から一歩も出ずに東京の大学を受験できてしまう。
なんて便利な世の中なんだ。
センター試験と言えば
実施そのものが全国ニュースのトップになるほどの
全国的な一大行事
特に国公立大学を狙う人間にとっては
文系理系たくさんの科目を受験する必要があり
長時間にわたって集中力をキープしなければならない
といった面でも難しい試験である
…というのはあくまで
国公立を受ける人の話で
英語と社会だけを受験する私は
なんと参加するのは1日目のみ
英語の方はもともと自信もあったので
そんな張り詰めるほどのものでもなかった。
で、センター試験さえ終わってしまえば
3年は自由登校週間
就活や入試の関係で必要あるやつだけ
その時だけ行くって感じ。
卒業式だって3月の1日の予定で
そのあとの一か月間は春休みなんだから
どんだけ高校3年生暇してるんだって話。
私は図書館とかにいることが多かったけど
早く帰ってた日、部屋で休んでいたら
ぴんぽんの音がして、
じいちゃんがデイサービスから帰ってきた、のではなく
母さんに呼ばれて行ってみれば
煩悩ありありの顔をしたわかつくんが
眉間に皺を寄せて立っていた。
「わかつくん、部活は」
「毎日は出らんよ、あいつらの邪魔になってもいけんし」
「どしたの、ラインくれればよかったのに」
「これ渡そうと思って、」
八くんがポッケに手を入れたところで
母の視線に気づいて
散歩に行こう、と誘い出す。
広くてきれいな大分の空の下にいると
東京での色んなことが夢みたいに思えるけど
上と下を交互に見ながら
ことばを探しているらしいわかつくんを見ると
ほんとうだった、って思い出す。
「そいえば、渡すものって?」
「余計かち思ったんやけどな」
拳を差し出されて
思わず手を出すと
桜の形らしい可愛いお守り
「お守り?」
「雲南が試験受けるゆうて話ちょってから…そういえば苗字も受験やったなって…でも勉強の邪魔してもいかんし、プレッシャーになってもとか思って迷っとったらセンター試験終わっちょったき…でも二次とかあるんやろ?」
「ありがとわかつくん、わたし私大のセンター利用だからあとはまさに祈るだけだったの」
「え、試験は?」
「センターでおしまい。祈るだけって言ったでしょ?」
「は~、俺いらんことした…」
「なんでよ、嬉しいんだけど。合格通知届くように祈ってて」
「まあお前なら間違いないき」
「ありがと、わかつくんに言われるとそんな気がする」
いつかのスーパーまで歩いて行って
移動販売のたこ焼きをつついて
わかつくんはクマさんみたいだ
「わかつくんは、いつまでいるの」
「来週から一週間行って、帰ってきて、卒業式終わったら、一週間で出るつもりや」
「そういえばどこのチームに入るの?」
「名古屋」
「名古屋かー、行けなくはないね、時々は試合見に行くから」
「そうか」
「さっき母さんがみててさ、うわって思って出かけてきちゃったけど、ここから出れば誰も見てないからいっぱい悪いことしよう」
「…お前、俺んことおちょくるの上手くなったな」