偶然出逢ったイケメンさんが超ドsで困ってます。
夢小説設定
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電車が走る。
景色が流れてゆく。
もうすぐ日が沈みそうな景色に、秋も深まったなぁと、どことなく感慨深くなってしまう。
私、梨花は大学からの帰り道、いつものように電車に揺られていた。
だけど、今日はいつもと少し違う。
今日は友達と遊んだから、帰りが遅くなってしまった。燃えるような夕焼けに、少し紫が混ざり始めている。
また、いつもは混んでいる車内も座れるくらいには空いていた。
左から二番目の席に座って──両隣には綺麗なお姉さんと、疲れて寝ているおじさんがいた──反対側の車窓を眺める。
夕日、綺麗だなぁ。
私はよし、と心に決める。
……次は風景画を描こう。それも、今日みたいな夕焼け空で、幻想的なやつ。
わくわくしながら鞄を抱いた。
それからしばらく電車に揺られていたが、だんだんと眠くなってきた。今日ははしゃぎ過ぎたのだろう。
……凛ちゃんと遊べて楽しかったな。また一緒にお買い物したい。
最近仲が良い友達の川澄凛ちゃん。今日は彼女とキャンパスのある渋谷で遊んでいた。
今日のことを思い出しているうちに、私はついに眠気に抗えなくなって。
……ま、いいや。駅までまであと10分くらいあるし、寝よ。
カタンコトンと心地よく揺れるその振動に身を任せ、安らかな眠りへと誘われた。
♦
「!」
とんとんと、肩を叩かれた。
ハッとして辺りを見渡す。そうだ、私電車で寝ちゃったんだ。
……というか、今まで何かに寄りかかって寝ていたみたい。
恐る恐る隣を見ると──
「起きましたか? おはようございます」
さっきまで綺麗なお姉さんがいた席で、優しそうな青年が微笑んでいた。
青年の言葉からして、多分何度も起こしてくれたんだろう……。
「……ごめんなさい!!」
人に迷惑をかけてしまったことで頭がパニックになり、慌てて謝る。
「いえ、大丈夫ですよ」
青年の言葉に棘が無いことに安堵しつつ、あらためて周りを見渡す。
どうやら大分寝過ごしてしまったようだった。文京区なんてとうに通り過ぎたみたい。
がっくりして、私は再度謝った。
「……あの、本当にすみませんでした」
「大丈夫ですって。……まぁ、俺も君も乗り過ごしちゃったみたいですけど」
──なんですと?!
もう罪悪感で押しつぶされそう。
「……私のせいで……何かお詫びをさせて下さい」
「いえいえ、そんな気を使わないでいいですよ」
「お願いします、そうしないと私の気が済まないんです……」
自分勝手にまたぺこぺこと頭を下げていると、青年は頷いてくれた。なんて優しいんだろう!
「君がいいのなら、お言葉に甘えて。……じゃあ、俺と食事でもどうですか?」
「はい、勿論です」
「それでは、降りましょうか」
私たちは次の停車駅で降りた。
……まさかの東京まで来ていた。これもう一周した方が近いじゃん。
そして青年の案内で、おしゃれなお店に着いた。少し並んでいたので、椅子に座って待つ。
「俺は京と言います。島崎京」
「あ……私、上野梨花です」
「梨花ちゃんですね。可愛い名前」
「……ありがとうございます」
とことん紳士な京さんである。
「……ところで、梨花ちゃんは大学生?」
「はい。美大の1年です」
「俺の方が年上だったんですね。俺は3年生、歴史を中心にやっています」
改めてよく見ると、京さんはとても綺麗な顔立ちをしていた。
私自身そんなに身長が高くないのだけど、京さんは背が高かった。180くらいありそう。
青系でまとめたシンプルでおしゃれな服に、これまた青のシャツを羽織っている。
綺麗な耳より少し長い金髪と、青い瞳が印象的だ。
……金髪碧眼……
スケッチしたい!!!
「? 梨花さん、大丈夫ですか?」
「あ……だ、大丈夫です。それより京さん、私の方が年下なので、どうぞ普通に喋ってください」
「そう? なら再びお言葉に甘えようかな。よろしくね、梨花ちゃん」
優しく微笑む姿を見て、絶対モテるタイプの人だなぁと確信する。
……確信したから何だというわけではないけど。
「こちらこそよろしくお願いします」
店内に入り、向かい合って座る。
「ここはワインが美味しいんだよ」
「そうなんですね! 京さん、今日は私が払いますので、好きに頼んで下さい」
「うーん、俺としては君と食事が出来るだけで十分なんだけどな……。でも、そう言うと君が納得しないよね。分かった、ありがとう」
そうして彼は何やら注文していった。私はメニューが読めないので挫折。彼に全部まかせっきりになってしまった。これ如何に。
少しして運ばれてきたフランス料理とワインをいただく。
英語とフランス語の羅列に終始頭がはてなでいっぱいだったが、京さんの神対応によってとても美味しい食事だった。
……大人って、こういう人のことを言うんだな。
しみじみと実感した。
「さて……少し遅くなってしまったね。今日は送るよ」
私はお会計を済ませた後──意外と安くて、そこも京さんの優しさを感じた──、京さんにそう言われた。
「大丈夫で……」
す、と言おうとした時に、急に視界がぐらついた。
「おっと、飲み過ぎちゃったかな」
京さんに肩を抱かれる。
ほぇ~。
頭がふわふわしてしまうのはワインのせい? それとも……。
「電車乗れる? 揺れると気持ち悪くなっちゃうかな」
「す、すみません……私また迷惑かけて……」
「いや、ワインを薦めたのは俺だし、面倒見させて」
ぼやけた視界に彼の優しい笑顔が写った。
「今日は近くのホテルに泊まろう。明日、万全の状態で帰った方がいい。ね」
「……はい……」
物凄く申し訳なさでいっぱいだけど、身体が重くて仕方がなかった。