Target7:四天宝寺中男子テニス部
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白石に大人しゅう椅子に座っとけ言われて、うずうずしながら白石を見とったら、少しして眼鏡のにーちゃんが来た。そん次は氷帝のねーちゃん。
ねーちゃんは、なんや白石とは目を合わせんと、眼鏡のにーちゃんとワイにおはよう、と挨拶をした。
「金ちゃん、汐原さんにちゃんと挨拶しぃや。」
「白石はせぇへんの?」
取り敢えずオカンも挨拶はちゃんとせなあかん、言うとったからねーちゃんの方を向いて、声を上げるとねーちゃんは一瞬目を大きくして、それから少し細めて笑った。ワイの名前を遠山と呼ぶんはなんやむずむずするけど、名前で呼んでーな、と口にする前に白石が口を開いた。
「金ちゃん、水汲んで来てや。」
「えー!ワイ、ねーちゃんと話したいわ!」
まだワイの呼び方、遠山のまんまやん。めっちゃむずむずすんねん。
「金ちゃん。」
「毒手はいやや!」
それやのに、白石が毒手を封印する包帯を少し緩めると、それから逃げるためにも大人しゅう従うしかない。近くにあったポリタンクを両手に掴むと、ねーちゃんの方からワイと一緒に水を汲みに行く言うてくれる。ねーちゃんと一緒なんやったら何でもええわ、と思うて黙っとたんに、それは白石の所為で叶わんかった。
「ちょい待ち。汐原さんは女の子なんやから力仕事はさせられへんわ。……柳生クン、お願いしてもええか?」
「えぇ、構いませんよ。遠山くん、行きましょう。」
白石の言葉にねーちゃんがええ、と口にするよりも早く、白石がさっき包帯を緩めた腕を持ち上げる。毒手はいやや!、と眼鏡のにーちゃんに付いて行った。
「ところで、遠山くんは汐原さんと一緒が良かったようですが、彼女と何か話したい事でもあったのですか?」
ポリタンクに水が溜まるまでの間、眼鏡のにーちゃんが話しかけてくる。
ねーちゃんと話したい事、と思い返して、せやねん!と声を上げた。
「ねーちゃんワイの事、遠山、呼ぶやろ?アレ、めっちゃむずむずすんねん!」
「つまり名前で呼んでほしいと?」
にーちゃんは人差し指で眼鏡を持ち上げる。ひっと声が漏れた。
「にーちゃん、眼鏡ははずさんとってな!!」
「理由を聞いても?」
「にーちゃん眼鏡外したら、目からビーム打てるんやろ?合宿所吹っ飛んでまうやん。」
銀髪のにーちゃんが言うとったんを思い出して言うと、にーちゃんは溜息を吐いた。それから少し考える素ぶりをして、口を開く。
「……貴方が少し羨ましいですよ。私は名前で呼んでほしいなんて言えませんから。」
「なんでなん?」
にーちゃんはワイを羨ましい言うけど、別に名前で呼んで欲しいなら言えばええやん。謙也やって昨日ねーちゃんにやないけど、皆に名前で呼べ言うとったし。誰もねーちゃんに名前で呼んで、言うたらあかんなんて言うてないんやから。なんでにーちゃんは言えへんの?
「なーなー、なんでなん?なんで言えへんの?」
「……さて、水も溜まりましたし食堂に戻りましょう。」
にーちゃんは一杯になったポリタンクを持ち上げてワイに背中を向ける。置いてかれんようにワイも自分のポリタンクを持ち上げて追いかけた。
「なー、にーちゃん。なんでなん?」
にーちゃんの背中にもう一度疑問を投げると、にーちゃんは振り返った。眼鏡がきらりと反射する。
「遠山くん。それ以上聞くと言うのなら、ビームですよ。」
「あかん!!」
にーちゃんの言葉にワイは大人しゅう口を噤むしか無かった。