Target7:四天宝寺中男子テニス部
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電波が届かなくても充電さえあればアラームは鳴る。朝の五時半に設定したそれは、予定通りの時刻に夢の淵に立っていたあたしの鼓膜を揺らした。
けたたましく鳴るアラームを止めようと伸ばした手を引っ込める。里がまだ起きていない。彼女は朝に弱く、恐らく自力で起きて来る事は無いだろうからもう少し鳴らしておいて、それでも起きなかったら声をかけよう。そう心に決めたあたしの頭は既に覚醒していた。
ベッドから這い出て、氷帝のユニフォームに腕を通す。元井に予備を貸したままの所為で洗い替えの無いユニフォームは、昨日着た分と今着ている分の二着しかない。早速今日洗濯をしなければならない事実に人知れず溜息を吐いたところでアラーム音が止まる。里が起きたのかとも思ったが、どうやら里よりも先にアラームの鳴動時間が白旗を上げてしまったらしい。あたしは荷物からタオルを取り出して、仕方なく里の布団を剥いだ。
「里、そろそろ六時になるよ。朝食の準備いいの。」
「あと五分……。」
「顔洗ってくるから、五分後に起こせないからね。手塚に怒られるよ。」
むにゅむにゅと明らかに寝惚けている指先であたしが剥いだ布団を探す里の姿を見てあたしは諦め、アラームの設定時間を五分後に設定し直して、里の耳元に置いた。時刻は五時四十五分。起床時間は六時だと指定されたから少し余裕があるが、里がこの調子なのだから少し早めに準備して山側の朝食の用意も手伝いに行こう。間に合わないかもしれないが、今日は古庄寺くんが山側だから最悪なんとかなるだろう。幸い人手は充分な程ある。
湧き水で顔を洗って、持っていたタオルで拭く。そのタオルを持ったまま食堂に向かうと一番乗りだった。多分まだ六時になっていないのだから当たり前か、と船から持ち出した缶詰めやらを確認していく。大方昨日の昼夜で消費してしまったが今日の朝食分はあるだろう。恐らくきちんと計算して持ち出されている筈だ。
「あ、これって。」
山側から分けて貰った米はあたし一人で炊くには知識に不安があるから後で誰かが起きてきたら声をかけるとして。見慣れたパッケージを見て、
「取り敢えず水汲んでくるか。」
あたしは頭の中でカレーの作り方を思い出しながら、空のポリタンクを手に、先程顔を洗ったばかりの場所へ向かった。