Target7:四天宝寺中男子テニス部
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スキップしながらえらいご機嫌に進む汐原が、小枝に足を取られてバランスを崩し、それを足を踏ん張る事で耐えたところまで横目で見届けて俺もロッジに戻った。
「一氏さん、お帰りなさい。」
与えられたロッジに入ると古庄寺が此方を振り向く。古庄寺の言葉に氷帝の滝は便乗してお帰り、と軽く投げて来るが財前は苛立たしげにスマホの画面を睨みつけたまま完全にスルーやった。まぁここは電波が届かへんし、ブログが更新出来へんねやろうから仕方ない、とは思わへんで。俺やって小春に連絡したいのに出来んで苛ついとんのは一緒や。
古庄寺と滝の言葉を無視して、二段ベットの上段に置いた自分の荷物の隣に寝転んでポケットからスマホを取り出す。そんで、さっき電波の届く場所が無いかとふらついとった時にすれ違った汐原を思い出した。
「汐原……。」
「琹ちゃんがどうかした?」
「……えらいご機嫌やったで。」
ただの独り言やったんに、滝がそれを拾った所為で話題を広げざるを得んくなる。大した落ちがつく話じゃない話題を広げとうなかったんに。
スマホのアンテナマークを凝視するも"圏外"の文字は変わる事はない。あかんわ、と諦めて枕元に放った。
「そっか、琹ちゃんご機嫌だったんだ。何か良い事でもあったのかな。」
「そうやなかったらスキップなんかせぇへんやろ。」
「あの人、昼はえらい不細工な顔してはりましたよ。」
「アイツのテンションどないなっとんねん。」
俺のベッドの下から財前が口を挟んで来る。どうやら財前もようやっと諦めがついたらしい。何しとるんかは見えへんけど、スマホと睨めっこしながら話に混ざって来るような奴やない。
財前の言う"不細工な顔"を話の流れからへこんだ
「別にへこんどったんとちゃいますよ。ただ、あのアホ面めっちゃ腹立つんすわ。」
「どんな顔やねん。」
というか、絶対話の流れ可笑しかったやろ。何でご機嫌な汐原から汐原のアホ面の話になっとんねん。
あーせやけど、何やもう色々面倒くさいわ。俺は口を閉じた。
「それで二人はご機嫌な訳だ。」
「は?」
「何言うてはるんですか。」
滝の言葉に財前と二人して即座に否定する。どこをどう見たら俺達がご機嫌やねん。明らかに不機嫌やろ。
「気づいてなかった?二人共琹ちゃんの話になってからずっと笑ってるよ。ねぇ、古庄寺くん。」
「え?あぁ、そうですね。」
古庄寺の言葉を聞いて、さっき放ったスマホを手繰り寄せる。暗いホーム画面に写った自分の顔。それは確かに口角が上がっとった。
「琹ちゃんの表情に釣られるのはよく分かるけど、あげないよ。彼女は俺達のだからね。それじゃ、お休み。」
その言葉を最後に布同士が擦れる音がして、滝が布団に入った事が分かる。お休みなさいと返したんは古庄寺だけで、俺と財前は口を閉ざしたままやった。