Target7:四天宝寺中男子テニス部
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「……
丁寧に下げた頭上から聞こえてくるのは、平古場の疑問の声。当たり前だ。
あたしが先程並べ立てたのは、辻本彩夏の言葉。彼女からすればそれが本心だったのだろう。けれど、あたしが同じ言葉を並べたところでそれは建前にしかならない。微塵も彼等の事を心配していないあたしが、キミ達の為に言っているのだと訴えたところで心に響く筈がないのだ。きっと。だって、竜崎先生はそう言っていた。だから、飾らないあたしの本心を口にする。
「……正直、キミ達の事は全く心配してない。自活の知識もキミ達は持っているんだろうし、それを実行する実力もあるんだと思う。でも、ここでキミ達の説得に失敗したら、あたしは跡部の役に立てない。失望、されたくないの。」
「
「分かってるよ、自分勝手で一方的なお願いだって。でもこれが本心だから。」
跡部に比嘉の説得を指示された訳ではない。もしかしたら跡部は、今ここにあたしが来ている事すら知らないかもしれない。その状況で失望なんてされる訳はない。それでも、人間は無意識に期待をする生き物だ。
絶対に失望なんてしない、この人の全てが好きだと言っていても落胆をする事もある。少なくとも、あたしはそうだ。
跡部に大切に思われている自信はある。跡部があたし以外の女の子を選んでも受け入れようと覚悟もしている。けれど、実際に跡部があたし以外の女の子、杏ちゃんに声をかけた時、あたしは落胆して、そして失望したのだ。絶対など、人間の感情には存在しない。
「いいでしょう。……後半は兎も角、キミが建前として言う事には一理ある。明日からミーティングだけは参加しましょう。」
「永四郎……。」
「
がばりと顔を上げる。今のあたしは多分、嬉しそうに尻尾を振る犬のような
「ありがとう……!」
「わかったなら、早々に立ち去りなさいよ。そうでないとあちら側で心配されますよ。」
組んだ腕から左だけを一瞬持ち上げて誤魔化すように組み直した木手は、自分の言葉の優しさに気づいていない。けれどもあたしには、その一言で充分に彼等が不用意に力をひけらかすような輩ではないと伝わってしまって、先程彼等に対して抱いていた恐怖心は何処へやら、一瞬にして離散してしまった。
「ありがとう、また来る!」
あたしは彼等の返事を聞かぬまま、スキップ混じりに跡部のロッジへと向かう。跡部の疑問に繰り出す言葉を一つだけ胸に抱いていた。